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東方亜幻空 ~Fantasia of another sky  作者: とも
二章 「虐殺異変」ACT3
24/56

23 システム

 「なあ、あんたは一体」


 俺が聞くと、彼女は答えた。

 

 「………後で話しましょう」


 彼女は一言残して家に上がっていく。

 どこか博霊神社を思い出させる。

 

 「さあ、座ってください」


 俺と彼女は畳に座った。


 「さて、どこから話しましょうか」


 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


 「では、私の事から説明致しましょう」


 彼女は少し間を置いて言った。


 「私はシオンと申します」


 彼女____シオンが言う。


 「少し質問させてくれ。何で俺を助けた?」

 「あなたに死なれては困るからです」


 シオンは俺が最初に言ったときと変わらないように答えた。


 「俺と異界の神々は敵同士だ。助けられる筈がない」


 それを聞いたシオンの瞬きが早くなった気がした。

 少し目も細くなった気がする。


 「長くなりますが、お話ししましょう」

 「遥か昔より続く闘争を」


 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


 「元々、私達は一人の神の元に付いていました」

 「創造神様、そう呼んでいました」


 そこで彼女は少し目を閉じた。


 「しかし、ある日私達を二分する大きな事件が起こりました」

 「一部の神が創造神様に離反を起こし、世界を侵略し始めたのです」

 「侵略され"混沌"に混ぜられた世界はこれで716万………」


 混沌とはあの赤い空の世界の事だろう。

 それにしても、716万か…………

 途方もない数の世界が侵略されていたんだな。


 「侵略された世界は例外なく破滅の道を歩みました」

 「恐らく、あなたが居た世界も、同じ道を辿るでしょうね」


 悲しそうにシオンは言った。


 「今、我々は二つの勢力に分かれています」

 「一つが、世界を保存し継続させようとする神々」

 「一つが、世界を無に還し一から作り直そうとする神々」


 俺は驚きを隠せなかった。

 これまでこのようなことは知らなかった。知った瞬間、全てが吹き飛んだような気がした。


 「私は継続派。彼____ハザマは回帰派」

 「ハザマも最初は継続派でした。しかし、我々の規則がそうさせなかった」


 俺は考えた。

 ハザマが俺を「敵でなければ」と言っていたのは、そういうことか。


 「世界は一つの"システム"で動いています」

 「あなた方の世界も、勿論他の世界も」

 「システムとは言わば世界の情報の図書館。世界の情報全てがデータで表された巨大なコンピュータ」

 「あなたが見ている物も、言ってしまえばシステムで構築された数字の羅列。そして、私も、あなたの存在もシステム上ではただの数字の集合体」

 

 俺は話に着いていけなかった。

 少し分かった事と言えば、世界は情報の固まりだって事ぐらいだ。


 「システムの中で、我々、神はランクが決まっています」

 「神は永久の時を生きるもの。生きた時が長ければ長いほど力は強くなる」

 「神の位階はピラミッド状になっています」

 「上級であればあるほど少なく、下級であればあるほど多く神は存在します」


 ここは中々分かった。

 俺の頭に浮かんだのはインダス文明のカースト制度だった。


 「基本的には神はどこかの神に仕えます」

 「この私も仕える身なのですから」

 「そして、上位の神には基本的に逆らえない。だからこそ、ハザマは自分の意思と関係なしに回帰派になってしまった」


 厳しい制度だ。

 俺が過ごしてきた環境とは違いすぎる。


 「話を戻しましょう」

 「創造神様は我々の二分された勢力に手を加えなかった」

 「創造神様がその気になれば、これまでの事を全て無かった事に出来る。それこそ、全ての世界を一瞬で無に還す事も可能なのです」

 「だからこそ、創造神様は手を加えなかった。そのまま傍観していた」

 「そして、実質的に我々のトップが創造神様の側近12柱、最高神達になりました」

 「最高神達はやはり分断されたまま。そのまま部下達も巻き込んで対立を始めた」

 「私の仕える神の元を辿れば最高神の一人に辿り着きます。全ての神___創造神様を除き__に共通する事です」

 「だから、私とハザマは対立した」

 「システムの規則に縛られた故の運命です」


 シオンは拳を握りながら言った。


 「一つ、この状態に決着を付ける方法があります」

 

 俺はそれを聞いて意気込んだ。

 方法さえ分かればこっちのものだ。


 「継続派か回帰派、どちらかのリーダー…………… 最高神が消滅すること」

 「創造神様は消滅しても作り直せます。我々は困りません」

 

 俺は唸った。

 今分かった事で、神に勝つことが難しくなった。

 俺のシステムに支配されているらしい。つまり、システムとより深く関わる最高神は滅ぼせる確率は殆どない。


 「あなたはいつかこの状況を打開する切り札的存在になる。それまで死なれては困るのです」

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