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東方亜幻空 ~Fantasia of another sky  作者: とも
二章 「虐殺異変」ACT2
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19 変遇

 「やっと戻ってこれたな」


 俺達は神社に戻っていた。

 この世界に移動しても、神社は全く変わっていない。

 備蓄されていた食料はそのままだ。


 「そろそろ、ご飯にしましょうか」


 霊夢が言う。

 この世界は空が赤いうえに、太陽が存在しない。

 よって、夜かどうか見極めるのは困難である。

 先程一瞬で辺りが真っ暗になった時は驚いた。

 どうやら、突然昼と夜が入れ替わるようだ。


 「私はいい」

 「純狐、食べないの?」

 「私は食べなくても暫くは平気だ」


 そういえば、純狐は霊に近い存在だ。

 食べなくても平気なのは頷ける。

 

 「少し夜風に当たってくる」


 夜風、か。

 純狐も少し疲れているのかもしれない。


 「さあ、食べましょう」


 そう言って霊夢が差し出してきたのは、おにぎりだった。


 「食料に困っているのか?」

 「いいえ。いつでも戦えるようにするためよ」


 てっきり、食料が足りないからおにぎりなのかと思ったが、そうではないようだ。

 結構霊夢も頭がいい。


 「そういえば、純狐はどこに行ったんだ?」

 「夜風に当たってくるって…………」


 待てよ。

 この世界には風は無い。

 何か嫌な予感がする。


 「少し行ってくる」


 俺は急いでおにぎりを食べ終わると駆け出した。

 神社の境内に出て見渡す。

 

 「純狐…………?」


 見ると、境内の片隅でうずくまる純狐の姿があった。


 「どうしたんだ?」


 俺は駆け寄って純狐を見た。

 服が赤く染まっている。

 地面にも少し赤い液体が。

 俺はそれが何なのかを理解してしまった。

 

 「まさか……吐血?」


 聞くと、純狐は力なく頷く。

 

 「辰、いきなりどうしたの___!?」

 「純狐!?」

 「あなた、どうして…………」


 純狐は口を開かなかった。

 気絶している。

 

 「霊夢、手伝ってくれ」 

 

 俺は純狐を抱き抱えた。

 そのまま神社に走る。


 「ここで良いか?」

 「ええ、良いわ」


 神社の畳に寝かす。


 「どうしたのかしら」 

 「疲れている、では無さそうだな」


 霊夢が純狐の額を触る。

 霊だから体温は無いと思うがどうなのだろうか。

 

 「辰、あなたあっち行ってて」

 「どうして?」

 「分からないの? 着替えよ」


 俺は急いで離れた。

 霊夢に殴られそうな気がしたからだ。

 それにしても、純狐はどうして倒れたんだ?

 もしかしたら、異界の神々の力に当てられて気分が悪くなったのかもしれない。

 

 「静かだな」


 何も聞こえない。

 空を見上げると、異様に大きい月が浮かんでいる。

 これだけ大きいと、かなり近いところに月があるだろう。

 地面を月の光が照らしている。もっとも、その月も赤く染まっているのだが。


 「そろそろ出来たか?」


 俺は少し振り向いた。

 それが幸運だったのか何なのか。

 俺の首のすぐ近くをナイフが通過した。


 「ちっ…………」


 俺は振り返った。

 どこだ?

 どこから投げられている?

 俺は探した。

 投げたと思える人物どころか人すら見つからない。


 「相当のんきだったわね」

 

 声だ!

 俺はその方向に駆け出した。

 神社の屋根の上に、メイド服の女が立っている。

 

 「霊夢も殺したのかしら?」

 「何を言ってる?」

 

 てっきり異界の神かと思ったが、霊夢の名を出してくるあたり、そうではないようだ。

 どちらかと言えば、俺が異界の神と思われているようだ。


 「……………」


 女は無言でナイフを投げてくる。

 それも、三本同時に。

 軽くステップで避ける。


 「俺は敵じゃない」

 「嘘でしょう?」


 くそ、信じてもらえないか。

 最悪この女を殺すことも考えなくてはならない。

 

 「何やってるのよ」


 霊夢だ。

 後ろに立っている。

  

 「咲夜? 何をやってるの」

 「霊夢? 殺された筈では」

 「死んでないわよ」


 この女と霊夢は知り合いだったようだ。

 どうやら、誤解も解けそうだ。


 「誤解だったわ。それでは」


 そう言うと女は姿を消した。

 

 「何だったんだ?」

 「ああ、あれ?」

 「敵にしないほうが良いわよ」


 さっきまで余裕で戦っていたんだけどな。


 「時間止めれるわよ」


 そうか?

 俺は全然そんな気はしなかった。

 もしかしたら、無意識の内に能力を発動してしまっていたのかもしれない。

 ある意味便利なことだ。無意識に発動できれば、戦いが優位になる。

 自分で自在にコントロールしたいが、まだ敵とあまり戦ってない。

 使い方は分かるが、自在に使えるわけではない。

 これからも練習が必要そうだ。


 「ああ、咲夜を仲間に引き込んでおくべきだったわ」

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