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人通り
「おかしいな……何でこんなに人が居ないんだよ」
ㅤとある街の入口を見下ろす、1人の男。
「俺の居場所が悪いのかな。でも、あそこの街でけぇし……」
ㅤ街の入り口に居るが、人通りが少ない。
ㅤ何もない場所で何を探しているのかはわからないが、退屈そうにあくびをして大きく伸びを1つ。
ㅤ人を探しているのなら街に入ってしまえばいいものを、何故かわざわざ入口に佇んでいる。
「ん?あー。また……か」
ㅤ全くと言ってもいいほど、人の通らない街の入り口に人が現れた。
ㅤ女だと都合が悪いのかもしれないが、彼はこの場でまた何十分も待っていられる程、我慢強い方では無いらしい。
ㅤ「仕方ない」とだけ呟き、その場から姿を消した。