095 固定砲台
ヴォルフガングは何も言わずに、闡帝銃の引き金を引いた。
「効かないぞ」
先ほどまで、リオンの体を撃ち抜いていた魔法弾はリオンに傷一つつけることはなく、消滅した。
「バカな」
さらに引き金を引き続けるヴォルフガング。マクシディオンから次々と魔法弾が発射されるものの、どれもリオンに致命傷を与えることもなく、消滅していく。
「弾丸が私の胸を貫通しない事が、そんなに不思議かな?」
ヴォルフガングは一筋の仮説を導き出していた。
「まさか、能力者か」
「いいや違う」
すると、リオンの青い目が赤く染まった。
「そういうことか」
ヴォルフガングは確信した様子で、頷いた。
「恢飢か。しかも、ハプスブルグ研究所から逃亡した合成恢飢」
「よく御存じで」
「これでも朝のニュースは欠かさず見ているからな」
「私も随分と有名になったものだ」
「悪い意味でな」
「賢景皮膚」
リオンはそう言った。
「何?」
「賢景皮膚は、攻撃を喰らうたびに防御力が上昇する能力だ」
「そうか。それはやっかいだな」
「いかにも、貴様がマクシディオンの弾丸を発射する度に私の装甲は上がるのだ。生半可な攻撃では勝ち目はないぞ」
「為らば、これでどうだ」
そういったヴォルフガングは、空間転移でリオンの一歩前まで近づき、額に銃口を向けた。
「超至近距離の魔法弾だ」
ヴォルフガングは引き金を引いた。衝撃でリオンは数メートル吹き飛ばされたが、目立った外傷をつけることは出来なかった。
「痒いぞ」
「化け物が」
ヴォルフガングが吐き捨てるように言った。
「私を今まで相手にした恢飢達と同等に考えると……死ぬぞ」
「こんな場所で死ぬつもりは無いさ。ガキたちが見てる前ではなおさらな」
神代、聖人、香久弥が心配そうにヴォルフガングを見つめていた。
「がんばってー」
「分かってるさ」
子供たちの応援を背にすると、ヴォルフガングの魔法収容力がグングンと上昇していった。
「まだ余力を残していたか」
ヴォルフガングはホルスターから二つ目の銃を取り出した。そして「破鏡」と言うと、ハンドガンはデザードイーグルに変化する。
「死隼の拡散機関銃(ファルコ・ペッレグリーノ」
二丁拳銃から放たれた無数の魔法弾がリオンを襲った。その衝撃が校庭に土煙を舞わせている。
「やったか?」
聖人は右腕を前に出して眼に土煙が入らないようにガードした。
「残念無念だ」
「!?」
土煙から身体を現したリオンは、平然とした顔でその場に立っている。
「もはや、破鏡程度の攻撃力では私を捉える事は出来ない」
「それがどうした」
「何?」
「俺にはまだ、お前に見せてない技が残っているぞ」
次の瞬間、ヴォルフガングの二丁拳銃から魔法弾が収束された。魔法弾は光を輝かせて、巨大化していく。
「死隼の固定砲台」
巨大化した魔法弾がリオンに向かって発射された。




