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13代目の破壊神  作者: 千路文也
1st #1 生徒会長誘拐事件
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081  心に触れる指先


遠い記憶の縁で……獣は培養液に浸されたビーカーの中で目を覚ました。新しい命が生まれたのだ。


「成功です。所長」


「ありがとうー。ハッシーのおかげだよ」


小さな子供が隣の大人に抱きついていた。まだ幼い肌に大人の髭が擦り付けられている。


「おい」


ビーカーの中の獣が声を発した。


「なーに? どうしたの熊さん」


「俺は……誰だ」


「合成恢飢(ケントニス)だ。人間によって作られ、意思を持った恢飢」


橋谷副所長がルリバカスを地面に下ろして、そう言った。


「意思だと?」


「そうだ。君には意思があり、人間と言葉を交わしてコミュニケーションを取る事が出来る。他の低俗な恢飢共には到底不可能な芸当だよ」


「しゃらくせぇ」


獣は橋谷の言葉を吐き捨てたのだ。


「君は何をキレているのだね」


あくまで冷静を装う橋谷だった。


「恢飢の本能は人を潰して、生き長らえる事だ。意思なんて邪魔な物はクソ喰らえだ」


「それが……君達恢飢が人間を襲う理由か。人を殺す事への罪悪感は持ち合わせていないのかね?」


「俺達は、皆が心無き獣だ。虫一匹殺しても、罪の意識なんか持つハズもねえだろ」


橋谷は黙って頷く。まるで、何かを考え込んでいる様に。


「ねえ、熊ちゃん」


「ちょっと待て。容易く俺を熊呼ばわりすんじゃねえぞ。お前みたいな小さな命なんてよ、一握りだ!」


獣は唸り声を上げて、ビーカーを吹き飛ばした。ガラスの破片が辺り一面に飛び散る。


「所長!」


橋谷はこの惨状に思わず声を出した。


そして、ビーカーから這い出た獣は、真っ直ぐにルリバカスを睨みつけている。


「まずはお前から血祭りダアアアア!」


ルリバカスに向かって獣の腕が伸びた。


「親に喧嘩を売るなんて……もーう、お仕置きが必要だね」


ルリバカスは口角を上げて笑った。その瞬間、獣の視界がスパークした。









「何」


さっきまで瀕死寸前だった聖人が起き上がり、ガルシアの一撃を受け止めたのだ。


「バカな!」


ガルシアは戸惑いながら後方へと後退りした。


「エクソシストは死地を乗り越える度に強くなるのさ」


「ありえねぇ……現にお前は」


「黙れ」


「!?」


聖人の一言に圧倒されるガルシア。

魔法収容力(セルペンス)が上昇していくのを肌で感じ取っているのだ。


「常夜叉鎚矛(ラグナザール)がてめぇの世界を、てめぇの血で塗り潰したいと言ってるぜ」


雀羅したモーニングスターをガルシアに向けて言い放った聖人。


「かっこつけやがって、今に後悔するぞ」


「後悔は今感じるものじゃねぇ。後に後悔するから後悔って言うんだろう」


「減らず口を!」


二人は、同時に駆けた。

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