050 親子の会話
「それが親父の答えか」
「そうだ。そして、俺が歩んだ道でもある」
「親父は何で魔法界に行かなかったんや?」
「他にやりたい事があったからだ」
轟厳は少し寂しそうに言った。
「ワイだって、やりたい事は山程あるで。それでも、エクソシストになるって決意したんや」
「親子は似るという結論だな」
「結論て」
「俺はな。平凡な人間で居たかった。だが、今は違う。特殊な才能を持った奴は広い世界に出るべきだと悟ったのだ」
「何でそう悟ったんや?」
「明だよ。奴は昔、俺より弱かった」
「マジか」
「それがどうだ……今ではエクソシストの頂点だぞ。俺もサラリーマンをやらず、若い時からエクソシストの道を歩んでいれば良かったかもしれんな」
「親父」
「まあ、過ぎた事を悔やんでいても仕方ない。大切なのは今だ」
「せやな!」
浪太は何かを決意したかの様な感じであった。
「だからだ」
「何がや?」
「今が大切だと言っただろう。今から恢飢退治におもむけ」
突拍子も無い事を言い出す轟厳であった。なぜなら、外はもう真っ暗であるからだ。
「親父、もう夜や」
「知っている」
「ニュースで見たやろ。夜中に警官二人が殺されたって」
「ああ」
「それでも行けと?」
「そうだ」
頑固親父は一度言った事は曲げないという性質があると、浪太は直感した。
「分かったよ。行けばええんやろ行けば」
「その前に、これを持っていけ」
轟厳はトンカチを浪太に渡した。
「敵が現れた時に破鏡と叫べ。そうすれば、このトンカチは武器に変化する」
「了解や」
「くれぐれも注意を怠るなよ」
轟厳はそう言って、念押しした。
「本当に大丈夫だよな?」
「しつこいぞ。さっさと行けゐ」
息子の背中を押した轟厳であった。




