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13代目の破壊神  作者: 千路文也
1st #2 足若丸魔法学校
251/647

250  彼女募集中


 聖人とは部屋にこもって宿題をしていたが、中々捗らずに、窓から見える夜景を感情を失くした目でボゥーッと見ていた。横では二体の猫がじゃれあって遊んでいる。一匹は普通のメス猫だが、もう一匹は聖人が契約した使い魔である。脂肪でタプタプのお腹を持ち、首がどこにあるのか分からない程太っているが、猫の世界では太ったオスが一般的にモテるので、使い魔のアッシュは彼女とイチャイチャしているのだ。一方、強面で感情を前面に押し出す聖人は女子にまったくモテないため、家に女の子を連れた事など一度も無い。神代月波という同じクラスの同居人は存在しているが、今の今までお互いに意識したことも無い。半ば家族のような立場となっているのだ。


 しかしだがである。玖雅聖人も青春待っただなかの男子高校生だ。無論、彼女を欲しいと思っているが、どうも聖人はタイプの女の子と出会う事が出来ないでいるのだ。それもあって、宿題に集中せず、ただひたすら夜景を見ているのであった。


「ああ、ちくしょう。彼女が欲しいぜ」


「彼女であるか?」


 話を聞いていたであろうアッシュが近づいてくる。


「そう彼女だよ。俺にピッタリの彼女が欲しい」


「作ればいいだろう。吾輩のように」


 聖人が振り返って後ろを確認すると、丸まって可愛らしく寝ているエリザベスを、アッシュは横目で見ていた。


「人間様はそう簡単に彼女は作れないぞ」


「何故であるか?」


「俺は今まで自分の好きなタイプの女子と会ったことが一度も無い」


「一度もか?」


「ああ、一度もだ」


 聖人は悲しげな表情を浮かべている。


「聖人の好きなタイプは確か……」


「おしとやかで口数が少なくて黒髪が似合う女子だ」


 所謂、優等生趣向だ。


神代月波かみしろつきはと正反対である」


「本当に逆だな」


「今まで、告白された事は無いのか?」


「ねーよ。っていうか、俺はラファエルに番号で呼ばれる事もあるし」


「番号とな?」


「囚人番号だよ。俺の顔が怖いからってネタにしやがって」


「随分とノリが良いあるな」


「囚人番号十三番、今日も宿題を忘れたのか」


 聖人は低い声を出してラファエルの声真似をした。


「教師にもネタにされるのは災難であるな」


「それで、女子は陰でクスクス笑ってるんだぜ。もう無理だろ」


「確かに、告白される望みは薄いである」


「だろう?」


「しかしであるよ」


 しかしだがである。アッシュが閃いたとばかりに片手を挙げた。


「どうしたよ。いきなり右手を挙げて」


「聖人は幼馴染はいるのかな?」


「いるぜ。同じクラスに」


「幼馴染も囚人番号ネタで笑っているのか?」


「いいや、あいつだけは否定的な顔してるな」


「フムフム。為らば、聖人を好きになる女子もいないことはないな」


「なんでそうなるんだよ」


 聖人は不思議に思って尋ねる。


「聖人の幼馴染は、きっと優しい子である。付き合ってしまえ」


「何を馬鹿な事言ってるんだ。お互いに好きじゃないと付き合う意味ねーだろ」


「聖人は好きじゃないのか?」


「好きとか嫌いとか、思ったことも無いな」


「中途半端であるな。女子に言えば一番嫌われる答えである」


「なんでだよ。俺の正直な気持ちなのに」


「きっと幼馴染は聖人が告白してくるのを待っている筈だ」


「ンな訳ねーよ。あいつは恋沙汰に興味無さそうだし」


 聖人はぶっきらぼうに答える。


「恋沙汰に興味を示さない女子高校生がいるとでも?」


「あいつは部活一本だよ」


「成程、体育会系の女子か」


「あいつは陸上に精を出してるよ。話すと陸上の会話ばっかりだし」


「聖人の好みとは違うな」


「そうだな。俺は図書館で静かに本を読んでいる女子が好きだな」


「ピッタリの女子がいるではないか」


「誰だよ?」


妃片愛里ひかたあいり


「おいおい、あんな知りたがり娘を好きになる訳ねーだろ」


 愛里の知りたがり力は群を抜いている。


「そうなのか」


「そうだよ。口数もめちゃくちゃ多いしさ」


「聖人の通うクラスに、物静かな女子は少ないであるな」


「そうなんだよ。みんながみんな肉食系ばっかりだぜ」


「こうなったら転校生を期待しよう」


「そんな来るかどうか分からねー物を期待できるかよ」


 聖人は不機嫌そうに、机の上に両脚を置いた。


「大丈夫だ。足若丸は世界中から生徒を集めるから、きっと転校生は来る」


「根拠が無さすぎるだろ。来たとしても他のクラスかもしれねーし」


「ということは、探偵部の新入部員を期待するか」


「そうだな。それしかねーよ」


「して、新入部員は入ってくるのか?」


「活躍次第だろうな。まだ無名も無名だし、何百もある部活の中から過疎ってる部活をわざわざ選ぶ輩は愛里ぐらいだったな」


 それだけ、愛里の知りたがり力は他人の知りたがり力を凌駕しているとも言える。


「学園七不思議を全て解決すれば名声も上がるかもしれん」


「そう、部活に大事な事は名声だな。特に探偵部という曖昧な部活には、はっきりとした名声が無いと、誰も近寄ってこないぜ」


「探偵部はまだ無名なのか?」


「無名も無名。魔法の杖部より無名だな」


「魔法の杖部とな?」


「世界中の魔法の杖を集める部活だよ。ほとんど幽霊部員の集まりだって聞いたけどな」


「幽霊部員の集まりに、探偵部は負けているのか?」


「神代探偵部は創設して一週間ちょっとしか経ってねーしな。その点、魔法の杖部は三十年以上の歴史を持つ部活だし多少の知名度はあるみたいだな」


 聖人は喋るために口は開いているものの、手は全く動いていなかった。




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