7/13
偽り
家について私は死人のように
ベッドに倒れこんだ。
何で私が本気の恋をするときに限って邪魔するの?
あのときもあのときも…
いつだってそうだった。
ぼろぼろと布団をぬらしていく私の涙は
冷えきった私の心には暖かく感じて
その暖かさがおかしくて逆にまた泣けてきたんだ。
散々泣いて
涙が尽きたころ。
思った。
でもおかしいな…
何か違う。
確かに私は本気だった。
今までで一番だったともいえるくらいに。
だけれど…
今まで本当に建一一人だけを見てきたのかな?
そうだとしたなら
私は立ち直れないくらいの絶望感を味わうはず、なのに。
この違和感は何なのだろう?
私はこの時気付いていなかったんだ。
建一を好きになるとっくの前から
好きな人がいたことを。