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恋 3
そんなときだった。
あの知らせが耳に入ったのは。
その日の学校の帰り、私は友達を待っていた。
廊下を通り過ぎる人、人、人。
昔から人ごみが苦手な私は半ば酔っていた。
そんな中に一組の女子連中
甘ったるい声でぺちゃくちゃとおしゃべりをしてた。
「ねぇー、知ってるぅ~?」
「なになにー?」
「7組の建一ってやつと同クラの美奈実が付き合ってんだって」
「マジでっ!? 建一趣味ワルぅ」
「ねー」
私は一瞬耳を疑った。
ありえなかったよ…
だって
美奈実だけは信じてたのに…。
笑顔で「応援するよ!」
って言ってくれたあなたは誰だったの…?
私は人ごみに背を向けて
走り出したんだ
後ろから友達の呼ぶ声も
周りの声も聞こえなかった。
涙で前がかすんで
今時分が何をしているのかさえも…
誰を信じていいのかも分からなくなった。
もういい。
もういいよ。
もう誰も信じられませんでした。