第九話 俺と美咲の休日 壱
「うぅ……まだ耳がジンジンする…」
もう寝れそうにも無いから仕方なく起きて……ゲームをしている。
いや、起きるといってもあれだよ、ベッドからじゃなくて睡眠からだから。
せっかくの休日くらいゆっくりとしても罰はあたらな…
ドタドタドタドタバーン!!
「お兄ちゃん!!」
またなんか来たし…
「ん?」
「お兄ちゃん、顔から声からオーラから『めんどくせ~』って感じが|滲≪にじ≫み出てるよ…
ホントに昔からわかりやすいね」
「だろ?表情筋だけは発達してるからな!」
「ホントにね!……じゃなくて!!起きてって言ったじゃん!」
「何だよ…起きてるだろ」
「布団から出てって意味だよ!!」
「え~~」
「『え~~』じゃないよ!!
も~…今日は一緒に出かけるって約束したじゃん!」
「え?……」
そんな話は全くした覚えがないが……昨日美咲とした話といえば、最近話題のアニメのことぐらいだし。
まあ、美咲のことだからどうせ…
「そんな約束したか?」
「うん、さっき美咲が決めたもん」
「お前が勝手に思ってるだけじゃねえか!」
「いいじゃん別に!」
「一方通行な取り決めを人類はまだ『約束』とは呼ばん」
美咲は『う~…』と、悔しいが何も言えない的な感じでうつむいて……あれ?なんか半泣きになってね?
「う~……いいじゃん!行こうよ!どうせ予定ないんでしょ!」
そしてキレました~
たく…しょうがねぇなぁ…
「わかったよ…行けばいいんだろ」
「……え?いいの?」
美咲はまさに目を丸くして驚いた顔をしている。
「ああ、いいよ」
「ホ、ホントに?……やったーー!!」
美咲はウサギのように、大層うれしそうにピョンピョン跳ね回っている。
「あ~もう、うるさい!ほら、着替えるから出ろ」
「え~お礼に着替え手伝うよ!」
「やめろ!……行かないぞ?」
「もう!シャイなんだから~!」
はぁ…せっかくの休日なのに……大変なことになりそうだな…
まあ、たまにはこんなのもいいかな…
※
「お兄ちゃーん!こっちこっちー!!」
ぶんぶん手を振って、大声で兄を呼ぶ妹。
「ハァ…ハァ…ちょっと…待てって……」
くたびれた様子でふらふらと後ろからついてくる兄。
「もう…だらしないなぁ……」
汗ひとつかかず、ぴんぴんしている妹。
「お前…自宅警備員予備軍の…体力を…なめるなよ…」
汗だくだくで、今にも死にそうな兄。
「私もだよ?」
「お前は…例外…だ…」
ちくしょう…なんだってんだ…
チャリで駅まで10分。
大きな街に出るために電車で20分。
駅を出て、さらに路電で5分。
ここまではよかった。だが…
そこから3つ4つ店を回り(ダッシュ)、
かなりの荷物を持たされ(俺のもあるけど…)、
少し離れたショッピングモールへ(ダッシュ)。
そこでさらに本屋やゲーセンなどを回り、今に至る。
「ハァ…ハァ…そろそろ…休憩…」
「ん?休憩?いいよ~」
やった……これでHPを回復でき…
「あとふたつお店|回≪まわ≫ってからね~」
おぉ…神よ…
かなりお久しぶりです。
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