第八話 俺たちの戦闘後
「ん~…」
夕日の赤に染められている道を歩きながら舞が伸びをする。
「疲れたねぇ~コーちゃん」
「あ、ああ…」
どうしても会話がぎこちなくなってしまう。
さっきの舞はなんだったんだろうか…
いつもとは明らかに違う、まるで別人のようだった。
みんなもそのことを考えているのか無言でうつむいたまま学校へと歩く。
舞も今は何か考えているのかボーっとしている。
どうすればいいのかなぁ…
※
部室に着いた。
まだみんな無言のままだ。
「マイ、ちょっと用事があるから先に帰るねー」
舞が鞄を持ちながら突然口を開いた。
「また月曜な」
「うん、バイバーイ!」
舞は元気に部室から出て行った。
…………
部室を再び沈黙が包む。
「俺たちも帰るか…」
大路が口を開いた。
「はい」
「そうですね…」
愁哉と来夢ちゃんも小さな声で返事をする。
……みんな悩んでいるんだな。舞のことを自分の中でどう整理するかを…
ここは会長の俺がいくしかないな。
「みんな、聞いてくれ」
みんなが顔を上げる。
「今日のことはもう…忘れよう」
「まぁそれが一番だろ」
美咲も同じことを考えていたようだ。
「まぁ、こんなことは逃避するに限るかな」
「杉田先輩はもっと現実直視するべきでしょうが今はそれが最適でしょう」
「ですね…」
これで実質的な解決に至らないことはわかってるけど今はこうするしかないよな…
「じゃあそういうことで解散!」
俺が声をかけるとみんな鞄を持って帰っていった。
「俺らも帰るか」
「ああ…」
美咲はまだモヤモヤしているのか表情が晴れない。俺もだけど…
「美咲」
「ん?」
「こういうことはさっさと切り替えねぇと人生楽しくやっていけねぇぞ☆」
「…そうだな」
「じゃあ帰ろうぜ」
「おう」
そう…こんなことは早く忘れてしまった方が良い。
長々と引きずってもいいことなんてない。
人生なんてさっさと割り切ったもん勝ちなんだ。
※
「もうこんな時間か…」
せっかく早めに布団に入ったのに…布団の中でゲームやらなんやらやってたら日付変わっちまった。
「まぁいっか。明日明後日休みだから朝ゆっくり寝れるし」
まだスッキリしてはいないが…美咲にもああ言ったし…さっさと忘れようかな
※
眩しい……朝か…
ベッドの脇の机の上に置いてある時計を見る。
まだ7時か…寝よ…
もう一度目をつむり、眠りの中へ…
ドタドタドタドタバン!!!!
「お兄ちゃん!朝だよーー!!」
俺の睡眠を妨げた張本人は俺の部屋の入り口で何度も「お兄ちゃん!お兄ちゃん!」と言っている。
俺にとって休みの日は8~9時まではまだ夜なんだよ!寝よ寝よ…
「あ~お兄ちゃん無視?こうなったら…」
あ~まだ全然眠いわ。早くもう一度眠りの中へ…「うぐはぁ!」
横を向いている俺の脇腹に突然何かが強烈にのしかかり、俺は変な叫び声を出してしまった。
「お兄いいちゃああああああん!!!!おおおおおおきてええええええええ」
とどめと言わんばかりに耳元で壮絶なモーニングコール(?)をされてしまった。
今俺に強烈なコンボをくらわせた奴が誰かは分かっている。
「なん…なんだ…美咲……今何時だと思ってんだ…」
そうですこれ美咲です。
「お兄ちゃんこそ何時だと思ってるの!」
昨日のキャラとは違う美咲です。
「夜の7時だ!」
「朝の7時だよ!」
「一般人にとってはな!」
「じゃあお兄ちゃんはなんなの!」
「ダメ人間だ!」
「自分で言わないの!」
自分もあんま変わらないくせに…
「ああもう、分かったよ。分かったからまず一旦俺の上から降りてくれ」
「うん」
美咲がベットから降りる。
やっと解放された…
「じゃあ……おやすみ」
もう一度枕に顔をうずめる。
「あ!もーー!!起きてよー!!」
美咲が体をゆすってくる。
「はいはい」
しょうがない…起きるか…
それにしても…
「美咲」
「ん?何?」
「今日のお前のキャラ何?また違うのににハマったのか?」
「?何言ってるの?これが美咲だよ?」
「?まぁ確かにキャラがコロコロ変わるのが美咲だが…」
「そうじゃなくて!これがもとの美咲!ノーマル!通常!オリジナル!」
「あ~…」
そう言えば久しく普通の美咲を見てないなぁ…どんなんだったかもう忘れてる…
こんなだったような気もするが…どうだったかなぁ…
「そうだっけ?」
「そうだよ!」
ああ…確かに…こんなだった気がしてきた。
一回友達に美咲のことを話したら「そんなものは二次元の中だけだと思っていたのに…この幸せ者め!」って言われたことがあったような…
「確かにそうだった気がする」
「でしょ?」
まぁ、はっきり言って作ったキャラでもどっちでもいいけど……………
「………美咲」
「ん?」
「何普通に抱きついてきてんだ」
気づくと美咲が俺の首に手をまわして抱きついてきていた。
「ダメ?」
顔超接近状態で超うるうる眼で俺の方を見てくる。
「……ダメ、イヤ、キモイ」
「ガーン!お兄ちゃんのバカー!」
美咲は泣いてんのかは分からないが顔を掌で覆いながら俺の部屋を出ていった。
……普通口に出してガーン!とか言うか?
でもこれが普通の美咲だった気がする。
せっかくの休みが思いやられる2日間の始まりだった――
どうも月です。
なんの構想とかもなく勢いで急いで書いたんで無茶苦茶というか…
前の話を書いた時点でちょっと曲がり始めて、今回でさらに曲がりました。ちょっと続けられる自信が無くなってきた…(泣)
もしかしたら何かしら策をとるかもしれませんがその時は察してあげてください…
アドバイス等々よろしくお願いします。
折れかけの月を助けてやってください。
↑
修正しました。一旦はこれでいこうと思います。…でもこれでも一部想定外のシリアスさなんで自信ないです。
また行間とは試行錯誤していくので前の話と違うと思いますが、どんな感じがいいかご意見を頂けたら幸いです。