一話 復讐を目論む青年
大昔王に命じられたドワーフが作り出したとされる呪いの魔剣。
長い時の中で呪いの魔剣は持ち主のみならず周囲の人間をも呪い殺し、多くの血をその身に吸い取って行った。次々と周囲の者が魔剣に殺されていく様を見た人間達は恐ろしさのあまり魔剣を手放し、こともあろうに人間界と魔界の間の世界――中世界の土地に魔剣を捨ててしまった。
中世界の者達が知らぬまま、呪いの魔剣はそれから土の中で眠り続けた。幾多もの朝を迎え、夜を迎え、また朝を迎え……
捨てた当人達が老いて死に、彼らから魔剣の話を継いだ者も寿命を迎え、更に彼らから語り継いだ者も皆また長い時の中に死んでいき、いつしか呪いの魔剣の存在は人間達の間で希薄になっていった。否、忘れたという方が正しいだろう。今現在人間界には、一部の家に家宝として受け継がれているような、色があせ過ぎて肉眼では解読不可能な程の古い文献にしか呪いの魔剣の名は載っていないのだから。
人間はすでに魔剣の脅威を忘れていた。
だから呪いの魔剣の報告を未だ受けていない中世界の者達がその存在を知るはずもなかった。知る術などとっくに絶たれていたのだから当たり前だ。
本来ならば呪いの魔剣は生み出した人間達によって完全に消滅させるか、誰の手にも届かない地下のずっと奥深くで厳重に管理していなければならなかった。呪いの魔剣はそれほどに危険なモノだったのだ。
だが人間達は放置した。放置してしまった。それも他の世界に。
人間達のその行為が全ての元凶の始まりだった。
放置された魔剣は中世界の者の手に渡り、再び大昔の惨事が繰り返されて行くこととなった。人間界ではなく、中世界で暮らす者達の間で。
だがその事実が公になる事はなく、時は過ぎ、魔剣は血を吸いながら中世界にあり続けた。
第一章 出会い
虫の声だけが嫌なほどに木霊している沈黙の中、気温はぐんぐんと上昇していく。上昇率は並ではなく、今日はどうやら猛暑日となりそうなことが肌で感じて取れる。恐らく、今年記録している中で一番の気温を更新することだろうことは明白だ。
どうしてこんなに暑いんだ。
場違いな感想の下、空を見上げる。ぎらぎらと光を放つ太陽の前には遮蔽物は一切なく、それだけでもうこの暑さの原因はわかったようなものだった。遮蔽物をなくした太陽はその能力を最大限に活かし、真っ青な空の上、絶えぬことなく地上に小さな天災を降り注いでいる。ふいに太陽がいつもと違って見えたのは、きっと気のせいだろう。いくら暑いからといって太陽自体に異常はないはずだ。それにもし異常があったとすれば今頃世界は大騒ぎしているところだ。それがないということは、やはり、気のせいなのだろう。
ここはニコミッテ国とレイファン国との国境にあるグロダンド山脈の内部。中級魔獣が多く出没するという話だが、今の状況を考えるに、どうやら幸いにも彼らの縄張りからは離れているようだった。
まあ、魔獣が出てこようが出こまいが、どっちでもいい話ではあるが。
「ぐああぁッ!! あう、ぐ……!! う、腕がぁ……俺の腕があ……ッ!!」
絶え間なく出血する右肩の切断面を押さえながら、目の前の男は芝生に倒れ込み苦悶する。
「キルクッ!! 大丈夫か!? しっかりしろ!」
「てんめぇ……ッ!! なにもんだ!? キルクに何をした!!」
早くも赤い水たまりが芝生に出来つつある中、男達の間に一瞬にしてこれ以上ない緊張が走る。各々が己の武器を握り締め、足下で呻き声を上げ続ける男をちらちらと気にするような素振りを見せながらも、こちらを見る目が全く消えることはなかった。
「俺はそいつを斬っただけだ」
「嘘を吐くな!! おれにはなんも見えなかったぞ! 何か仕込んでいるんだろ! えげつねぇ! 絶対おれは許さねぇぞ!」
「あっそ。好きにすれば? その代わりどうなっても俺は知らないぞ?」
「――ッ!! こんにゃろう! 好き勝手言いやがってッ!! 舐めてんじゃねぇぞ!!」
おらあああああああ!! と雄叫びと共に図体のデカい男が斬りかかって来る。無駄にデカい体してるなー、適当にそんな考えを巡らせながら、あまりにも隙のあり過ぎる大振りな一振りを軽々と避けると背後に回り、手に握る剣の柄で男の後頭部を勢いに任せて思い切り突く。ぐあ!? と男が間抜けな声を上げながら芝生に倒れ込み、彼の手から離れた剣が主人同様力無く芝生に投げ出される。
「馬鹿な奴」
気を失った男の無様な背中に吐き捨てる。主導者を失ったことで男達の間に静かに、だが確かに動揺が顕著に表れた。隠そうと必死に虚勢を張っているようだが、それも手に取るようにわかった。
既に俺に対して恐怖心を持っている様子の彼らを鋭い眼光で威圧し、冷酷に言い放つ。
「最後の警告だ。これ以上俺の邪魔するってんなら、お前らにもこいつらと同じ運命を辿って貰う。それが嫌なら荷物置いてさっさと俺の前から消え失せろ。無論、どっちにするかはお前らの勝手だが」
ま、俺はどっち道その荷物の中身が手に入るから何でもいいけどな、と心の中で付け足す。俺を金目目的で襲ったところを見ると彼らはどうやら山賊らしいので、恐らく荷物の中には一般人から奪ったもの、つまりは俺にとって有益なものが大量に入っているはずだ。それが手に入るというのなら俺はどちらでもいい。彼らが俺に攻撃されるかされないかなど、まったくもって興味がない。はっきり言ってどうでもいいことだ。
一応俺には彼らがどちらの選択肢を選ぶか傍観するしかない――俺自身がそう決めたが――のだが、できれば一々攻撃するのは面倒なので帰れ帰れと内心で願いつついると、ふと一人の男が武器と荷物を投げ出し、一目散に逃げて行った。するとそれを皮切りに次から次へと男達が俺に背を向けて逃げて行く。いや、確かに敵対しないなら攻撃しないみたいなこと言ったけども、こうも簡単に敵だった俺に無防備な背を向けていいものかね。……うん。きっと変わり者じゃなかったらお前ら今頃不意打ちされて全員大怪我してるだろうよ。相手が変わり者でよかったね、本当に。
内心でぶつぶつ呟きながら、俺以外誰もいなくなった森林の中に立ち尽くす。剣を鞘に納めながら辺りを見れば、どうやら彼らは相当焦っていたらしく、数を見るに本当に皆が皆荷物を置いてってくれたようだった。いや、焦っていたというより、彼らが正直者だっただけの話かもしれないが。
まあともかくこれで当分は暮らしていけそうだ。
「はぁ……」
いつになく燦々と降り注ぐ日射しに対し、俺は憂鬱な気持ちを吐き出すようにため息をついた。男達の置いて行った荷物ひとつひとつをあさり、金目の物、食料など必要なものだけ自分のバック――という形の亜空間――に詰めると立ち上がり、また別の荷物をあさっていく。黙々とその作業を繰り返し行う。
行いながらふと、なんで俺こんなことしてんだ? と思い、答えを導き出そうと思考を開始するが、それはものの数秒で終わってしまった。この疑問を感じるのが今回で初めてだったならばもう少し時間がかかったかもしれないが、なにせ今日だけでもこの疑問が頭を占めるのは十を超えている。もう考えることもなくとも答えが勝手に出てくるようになってしまった。
よいしょっ、と最後の荷物をあさり終え立ち上がり、許容量の限界まで仰け反る。同時に頭をぐるりと回すとこきこきと小気味よい音が鳴った。
「さて、そろそろ行くか」
バックを肩に下げ、俺は夏の熱気籠もる森林という灼熱地獄の中を歩き始めた。早く町に下りて今夜の宿を探さないとな。そんな思いに駆られ、自然と歩幅を早める。
歩き始めて数分と経たない内に汗が全身を濡らすという参事に見舞われ、俺はそれを気にしないようにしようと、深く考えを巡らすことにした。
何について考えを巡らすのか。
それは疾うに決まっている。
なぜ普通の暮らしを送っていた俺が、山賊を返り討ちにして彼らの荷物を奪わなければ生活していけないほど切羽詰まった日々を送っているのか、だ。
話は少し遡る――
四年前、アンチェル国とレイファン国との間で戦争が勃発した。戦争は見る見る内に激化し、特にアンチェル国都市ジャスニでは昼夜問わず、民も兵も関係なく無差別殺人が繰り返されるようになった。その戦争により俺は家族を失い、更に居場所をも失ってしまった。レイファン国の圧倒的な戦力によりアンチェル国は完敗し、終戦後、アンチェル国はレイファン国の植民地とされ、抵抗する者は生き地獄を味わった。
生き地獄――レイファン国の繁栄に全力で貢献するという名目の下、レイファン国軍の奴隷として一生を過ごすというものだ。レイファン国に貢献するために労働する……その事実はまさに元アンチェル国民にとっては生きて死を味わうに等しかった。
毎日毎日、それこそ休みなくレイファン国民のために田を耕して食料を生産し、レイファン国軍の兵士のために彼らの武器を作った。だがどれだけ尽くしても運命が変わることはなく、ひと時の休憩も与えられず、満足な食事も摂れない中重労働を繰り返した俺らは肉体精神ともに疲れ果てていった。近所でも評判の元気を持った老人など三日で息絶え、その内一週間も経たずに絶望と壮絶な労働に堪えられなくなった者が次々と死んでいき、彼らの死に様を見たことで自らの人生の末を悟ったのか、同僚達の中で自殺者が多発した。
それはもう、酷い有り様だった。
朝起きればどこからか死臭が漂い、田を耕していればまた一人目の前で力無く倒れて行く。寮――と言っても屋根と壁があるだけの小屋――に帰り何気なく天井を見上げると、何度か話をしたことのある知り合いが首を吊って死んでいるというのはシュールな光景だった。中でも死に方で一番心に焼き付いているのは、やはり、どろどろに溶けた鉄の入った窯の中に頭を突っ込み自殺したアレンだろう。何事にも努力し希望を捨てず、常に皆の中心で元気な笑顔を絶やさなかったアレンが自殺という選択を選んだことに同僚の誰もが驚愕し、アレンという支えがあったことでぎりぎり正気を保っていられた者はその日の内に彼と同じ道を歩み、同僚の数は激減した。自殺者は増加する一方だった。
そうやって、どこにでも腐臭死臭が漂っているような状況が一年も続いた。
幸いにも俺は幼い頃から剣士であった亡き父に心身共に鍛えられていたため自殺の道を選ぶことはなかったが、それでも日に日に増える死体にはうんざりしたことを覚えている。やがて同僚で一番の親友であった者も死に絶え、俺はとうとう堪え切れなくなった。ここから逃げるんだ、逃げて逃げて――
奴らに復讐してやる――
今まで死んでいった奴らの眠る土地に親友の骸を足しながら、俺は彼らの前で決意した。俺が15歳のことだった。
俺達が労働していたところは森で囲まれた場所だった。ここに連れてこられるとき目隠しをされたからどれだけの規模の森なのかは想像がつかないが、少なくとも一日あれば抜けられるだろう。そう考えるのはここに来る時、車で数時間揺られたことを微かながらも覚えていたからだ。
俺達を警備する兵士は常に森の出入り口を見張っている。帽子の星の数から、恐らく二等兵だろうと推測する。銃など俺達よりも優れた武器を持っているようだが、彼らと戦闘する場合、その点ではそれほど支障はないと見えた。一年も休む間もなく田畑を耕してきた俺達と、訓練課程を終えたばかりの二等兵では筋力や反射神経など、基本的な実力が違うのだ。
だからここは問題ではない。
問題は魔獣だった。
一年もの間、なぜ脱走を試みず自殺を選んだ者が多いかと言えば、要因は森にあった。ここに来たときに最初に兵士に教えられたように、俺達を四方に囲む森には多くの魔獣が存在するのだ。それは兵士の言葉を信じなくとも、夜の森から聞こえる獣の叫びから明らかだ。森には魔獣がいる。それもそこらにいるような下級魔獣ではない。中級かそれ以上のモノだ。
いくら二等兵に勝る実力を持った俺達でも、魔獣に勝てるとは到底思えなかった。それに下級ならともかくそれ以上ともなれば、普通の武器では太刀打ちできない。魔剣と呼ばれる魔術師が持つような代物がないと、魔獣が本能から体を常に保護するために放出している魔力により傷ひとつつけられないようになっているのだ。そんなモノに遭ってしまえば腕の一本や二本軽々と持っていかれてしまうし、悪ければ自殺よりも残酷な死が待ち構えているかもしれない。
俺達のいる場所には国軍の魔術師によって張られた結界が張ってあり、魔獣は入れないようになっている。それはここに来たときに教えられた確固たる事実であり、そして即ちそれはここから一歩でも外に出れば魔獣に襲われるという絶望でもあった。
魔獣に喰い千切られて死ぬより、自分で人生に終止符を打つかこのまま一生ここにいたほうがましだと言う者は同僚の中に多数いる。それも今まで脱走志願者が少なかった原因の一つだろう。たしかにその考えにも一理ある。というより俺も今まではその考えを持つ一人だった。
だがやはり、犠牲になった同僚達のためにも行動を起こさなければならない。俺達がそうしなければ無念の思いで死んでいった彼らはいつまで経っても報われないのだ。
しかし一人というのには流石に無茶があった。ここを出るまではいいが、その後どうなるかが全く想像もつかないせいもある。やはり仲間は多いに越したことはないと、俺は同僚達に脱走計画を提案し、彼らの反応を見た。最初、彼らは計画に対してとても否定的だった。だがそれも魔獣というリスクを考えれば至極全うなことだろう。なんと言っても命を懸けるのだ。自分の命を尊重して反発するのは当然のこと。俺としても逆に最初から肯定的な反応をされてしまうと説得要らずで楽でいいが、後々「お前のせいでこうなった」などと責任を負わされるのも嫌なので、ここできっちりと決めてもらった方がいい。
夜の話し合いではやがて肯定組と否定組に分かれ、否定組の方々には早々眠って貰い、俺は肯定組の奴らと朝方まで綿密に話し合った。
話し合いの翌々日の真夜中。俺達は計画を実行した。各々が同僚の作った武器を持ち、森の出入り口へと忍び足で急ぐ。思った通り兵士が二名その場で監視していた。同志の中で最も素早いヤエルが計画通り彼らを背後から襲う。悲鳴も上げさせない内に二人の息の根を止め、他の兵士に見付からない内に俺達は安全地帯から夜の――魔獣が活発に行動する森の中へと入った。
いくら忍び足でも魔獣には一発でバレた。すぐさま全方位から下級魔獣と思しき獣が襲ってくる。避け、時に手の武器で奴らを葬りながら俺達は東へ直進した。魔獣の群に遭遇するごとにどんどん同志が減っていく。十一人いた同志は森に入ってから十分後には既に俺を含めた七人になっていた。誰が消えたのか、それを確認する余裕は俺にはなかった。
逃げるんだ!
ただそれだけしか頭になかった。
俺達は走り続けた。途中先頭を走る俺の背後から悲鳴があがったりしたが、もう誰も気にしなかった。気にしないようにした。話し合いのときにそう決めたから。
みんな走り続けた。無我夢中で走って走って走って――
そして出遭ってしまった。
上級魔獣に。
同志の顔に緊張が走る。皆がそれぞれの武器を握り締め、決しの覚悟で魔獣へと飛びかかった。
上級魔獣との戦闘で俺達は”達”ではなくなった。巨大な骸の前には俺だけが立っていた。他は皆、死んだ。
足下には同志が転がっている。見知った顔がズタズタに斬り裂かれていた。そっと近寄り、布をかけてやる。そして合掌した。彼らの犠牲の上に生き残ったというのに、俺には横たわる彼らにそんなことしかしてやれなかった。
空を見ればもう太陽が顔を出している。魔獣の返り血と同志の血で濡れた体を引きずりながら、俺はその場を静かに立ち去った。
半年後、俺は偶然出会ったアラストール氏の慈悲により、彼の自宅で暮らしていた。アラストール氏は剣道場を運営しており、有名な剣士でもあった。俺は彼の弟子となり、そこで二年半という月日を過ごしながら剣の腕を上げていった。
「師匠、俺行きます」
訓練の後立派な顎髭を生やした彼に言うと、どうやらそれだけ通じたようでアラストール氏はいつものように苦い顔をしてみせた。
「ジュノ……お前まだそんなこと言っていたのか。いい加減諦めろ。お前にはできない」
木刀を片付けながら彼は真剣な表情で俺を一瞥した。
「師匠……。そりゃあ、確かに前の俺なら駄目だったかもしれないけど……今の俺なら――」
「駄目だジュノ。諦めろ。復讐なんて、やるもんじゃない。お前の気持ちはよくわかっている。だからこそ復讐は」
「違う。師匠はわかっていない。平凡な人生を歩んできた師匠にわかるはずなんてないんだ、俺の気持ちなんて……」
俯く。アラストール氏は困ったように顔を歪ませ、俺の頭に幾多もの傷が刻まれた手を乗せた。
「……復讐は己の身を滅ぼす。それだけはよく覚えておけ。いいな……」
彼はそれだけ言い残し、剣道場から出て行った。
彼が出て行った後、俺は予め用意しておいた荷物を手に取り、外へと出た。外はもう夕暮れだった。小さな星がちらほらと窺える。
剣道場を振り返る。町の中でも飛びきり目立つほど巨大な剣道場は、それだけでアラストール氏の財政力を物語っていた。最初この光景を目にした時、心底驚き感動したことが今でも記憶にしっかりと焼き付いている。この剣道場で師匠と何度剣を交わせたことだろうか……二年半という月日で刻んだ思い出が脳裏にフラッシュバックされる。放浪していた俺を引き取り、未熟な俺に剣を教えてくれた師匠。そんな師匠の優しさにも今日でさよならだ。そしてこの剣道場とも。
剣道場に背を向け、俺は歩き出す。
その日から俺は復讐者となった。
――そして今。
俺――ジュノ・ラドはグロダンド山脈の森を抜け、レイファンの土地を踏んでいた。こここそが復讐を果たす土地。憎きレイファン国国王の治める土地……そう思うと怒りと憎悪が体の中で爆発しそうなほどに暴れ狂い始めた。胸が不快感を示す。俺はそれらをぐっと堪え、血走る瞳で前を見た。崖の上からはレイファン国土が遠くまでよく見渡せた。だがそれでも首都ギンガタムは視界には映らない。それがレイファン国がどれほど広い土地なのかを見る者に暗に示唆していた。
「どんなに遠くても、辛くても、難しくても、孤独でもやってやるさ、絶対に。お前らに思い知らせてやるんだ。俺らの痛みを」
レイファンの全てを見下し、怨念に支配された声で彼は吐き出す。彼の事情を知らない者でも、今の声を聞いたら声に込められた彼の思いの一片に気付き、戦慄するだろう。それほどまでに憎しみの籠った声だった。
「――復讐してやる」
アンチェル国民の悲しみ怒り憎しみ悔しさ未練恐怖……彼らの数々のやり場のない感情を一心に背負い、青年はレイファンの土地に剣を突き刺した。剣が一瞬、だか確かに黒い炎を帯びるが、レイファン国土を睥睨する彼が気付くことはなく、黒い炎は空気に溶けた。
読んでくれてありがとうございます♪
こんにちは
作者の梅玉 サキと申します☆
あらすじにもあるようにこの小説は魔剣をめぐる物語シリーズの過去編になる予定(汗)です。作者が無計画大雑把なもので確定はできません;
ちなみに更新は章を書き終わらないとしません。章を書き終わったらズダダダーっと更新していきます(小心者なんでw)
では、よろしくお願いします




