表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/3

#2

 さて、あれは確か、長かった冬が終わり、本格的な雪解けが始まってから一週間ほど経った早春日のことだったように思う。


 久しぶりに実家へ帰省した僕は、物置と化して久しい自室の整理整頓に精を出していた。両親は所用で出かけていて、家には僕ひとりしかいなかった。


 部屋をあらかた片付け終え、なんとはなしに居間へ。でかでかとした棚にびっしりと並べられた本を、隅から隅まで漁ってみる。(僕の母親もまた無類の読書好きで、書籍収集には常に余念がないのだ)


 その時、僕は運命の二作に邂逅した。ひとつは、カナダ人である父方の祖父母が晩年に執筆した自伝冊子。もうひとつは、韓国人である母方の祖父母が若い頃に書いたエッセーを掲載している、教会の季刊本だ。


 四人の祖父母には、生前、会う機会があまりなかった。その理由は他でもない、僕がどうしようもなく薄情な奴だからだ。


 もちろん、ずっと離れて暮らしていたことが一番の原因ではある。だけど、それにしたって、親戚付き合いを丸ごと嫌煙して生きてきた節は否めない。


 躍起になって夢を追いかけたり、日々の生活に追い立てられたりしているうちに、皆、バタバタと天国へ旅立っていってしまったのだ。


 興奮を覚えた僕は、そのまま冷たい床に座り込み、冊子と本のページを交互にめくった。


 両作とも読み終え、窓の外に目をやると、西の空へ傾いた太陽が、最後の一吠えみたいな夕焼けを放っていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ