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さらに、ルカが背に剣を突き立てようが、あるいは切っ先で腋をくすぐろうが、結果は変わらず。その前向きな怪物は、ただただ嬉しそうに、ルカにすり寄ってくる始末。
いやはや、一流の騎士に違いないルカの剣も、このレヴィアにとっては、ほんのお戯れ程度のものでしかないというのであろうか。
となると、これは困りましたね。こうしていても、当然ラチがあきませんし…
おっ、ちょっと待ってください。どこかで誰かが、なにか言ってやしませんか。
「旅のお方ーっ…その怪物めは、身体のほんの一部でも水に浸かっている限りは、なにをしようと、強い力と心を維持できてしまいますーっ…」
誰の声かと思えば、川岸からオギーンさんが望遠鏡など手に、ルカに向かって叫んでいます。
「それゆえ、そやつめの全身を水から浮かせた上で、耳元でエッチなことを囁きながら、懐かしの真空ハ〇ケーン撃ちを剣によって決めれば、きっと倒すことが出来ましょーうっ…」
めちゃ難儀。せっかくですが、実現不可能。だいいち純粋無垢なルカは、エッチな言葉など、ひとつも知りません(?)のでね。
したがって、その川岸からのオギーンさんの助言も役に立たず。まさに、水の泡と化してしまったようだ。
と、そういえば、いまのこの様子をば、あのジールカはどう見ているのであろうか。