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しかし、ルカも引き下がろうとしない。
だいいち、そのような怪物と結婚したとしても、果たして人間のお嬢さんと、どのようにして〇〇〇をするのか。
また、もし仮に赤ちゃんが出来たとして、クジラにウミヘビに大魚にドラゴンに、さらに人間を足したら、それは一体どんなに恐ろしい姿で生まれてくるのか。
以上、2点についてルカは、ミーナの両親に訴えたのである。
ちょいと説得のポイントが微妙な気もするが、いずれにせよ、その甲斐はあったようだ。しばし考えるような素振りを見せた後、ミーナの父親が、
「分かりました。そこまで、しかも見知らぬ方に仰って頂けた上でお断りしたとあっては、それこそ失礼。ならばお嬢さん、ここはあなたにお任せしてもよろしいでしょうか」
そこまでがどこまでなのかは分かりませんが、とにかく逆にルカに向かって言ってきた。『お嬢さん』じゃないけど。
「はい、お任せください」
これにて、ルカの怪物退治が決定。
こうなれば善は急げ。やり取りの間に、小屋へ戻って来た渡し守に頼んで、さっそくルカもまた岩の方へ向かう。
そこでミーナと入れ替わって、自分が生け贄のフリをしつつ、怪物を待とうという訳だ。
まあ、とりあえずルカも、見た目は美少女ゆえ、怪物さんも気に入ることでしょう。たぶん。