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一方、そのミーナさんを嫁にという、怪物とやらの名は、レヴィアタン。
クジラのようでいてウミヘビのようでもあり、はたまた大魚のようでいてドラゴンのようにも…って、なんだか想像するのも面倒です。複雑すぎて。
面倒といえば、同レヴィアタンなる怪物は、もし村で最も美しい娘を差し出さぬのならば、この川岸でゴルフをやって、近隣の皆さんに迷惑をかける。と豪語しているそうなのだ。
あな恐ろしや。そもそも当川岸では、ゴルフクラブの『素振り』すら禁止されているというのに…
でも、そういうことなら、ここはルカの出番かも知れない。
なにせ、一国の王に仕えたほどの騎士ですからな。
そう、その剣の腕前をもってすれば、いかな怪物であろうと退治できるのではなかろうか。
事情を知るや、すでにルカ本人も、その気になっていることだし…
どっこい、それをルカが伝えたところで、オギーンさんは首を横に振るばかり。
「いえいえ、旅のお方…お気持ちは大変ありがたいのですが…しかし、あのレヴィアタンというのは、巨大な上に鋭い歯や太く強い尾を持つ、めちゃ恐ろしき怪物。失礼ながら、とてもあなた様の手に追えるような代物ではございませぬ」
ミーナの両親も、また、もうひとりの若き従者も、すっかり諦めたように頷いている。