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双狐炎狼伝  作者: おかかのみやつこ
四神八聖黒ノ獅子
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北風の化身

あけましておめでとうございます……そんな挨拶をしようと思ったら、投稿準備は1月中にできないしうち喪中だしでできませんでした。すいません。もしかしたらどこかで、輝たちの冬の過ごし方の絵を出すかもしれません。多分その時は、新しく「お便り絵(自作)」みたいなコーナーを作ることになるかもしれません。というわけで読んでくださっている皆様。今年もどうか、よろしくお願いいたします。

空高く伸びる光線の中で、何かが光ったと思った瞬間、そこを中心とした、大きな吹雪の竜巻が、俺たちを襲った。

「なっ…!」

「なんや…これ…」

「吹雪…のように見えますが……」

「そんなこと言ってる場合じゃないでしょぉ!ほら!影だって吹き飛ばされてるじゃない!!」

「まぁまぁ、このくらいは想定……え⁉」

俺が陰の言葉に驚いて振り向くと、間に合わなかったのか、それともつかむ気などなかったのか。影の体は、まるで風に吹かれた枯れ葉のように向こうに飛んで行っていた。その状況を真顔で受け入れている影も影だが。

「お前、何してんだ。」

「……踏ん張りがきかなかっただけ。」

「悟空が呼ぶほどの妖怪なんだし、予想はできただろ…」

そういうと、回収に来た俺に抱きかかえられている影は、「別に覚悟してなかったわけじゃないし……」といいながら顔をそむける。いや、してなかっただろ。絶対とまではいかないが。

俺が影を抱えて戻ると、まだその吹雪は続いていた。ただ先ほどとは違い、その中から、一本の氷柱のようなものが出ている。それが一瞬動いたかと思うと、目の前で荒れ狂っていた吹雪を一刀両断にした。

「久方ぶりに呼ばれたと思い来てみれば、また人間か。いやはや、何百年ぶりだろうかな。特に悟空。お前と会うのは。」

切り裂かれた雪の嵐の奥から、透き通った、だがそれでいて、今まで感じたことの無いような重厚感のある声が、あたり一面に響き渡る。まるで、四肢を鉄球で押さえつけられているかのようだ。

「Don't ask me。いちいち覚えてなんかいねぇよ。……あいつら、どうなった?」

俺たちや、呼ぶ手伝いをした玄武さん、朱雀までもが動けずにいる中、一人だけいつものように立っていた悟空が質問をすると、その中から出てきた一人の男—前の悟空の話だと、紫氷帝という名前らしい—は、吹雪を切り裂いた氷の槍を持つと、少し遠くを見ながら答えた。

「あいつらか……お前も、懐かしい話をするな。」

「お前に任せたんだ。結果を聞くのは当然だろ?」

「……そうだな。一言でいうならば……強かったぞ。」

「もう少しないのか?」

「この言葉ほどふさわしいものも、そうないだろう。」

「何の……話だ?」

「おっと、すまないな、輝。なんでもねぇ。……それで、紫氷帝。お前にまた、頼みがある。」

「そんなことだろうと思った。よもやお前が、こうして昔語りをするために吾を呼んだのではあるまい?」

「Definitely。お前に、こいつらの稽古を頼みたくてな。」

「またか。少しはお前がつけることも考えればどうだ?」

「俺はいかんせん、稽古をつけるのが苦手でな。」

「それは前にも聞いた。……しかたがない。いいだろう。お前、名前は?」

紫氷帝は、俺の方を向くと、その濃い紫の瞳で俺を見つめた。

頭の中をすべて見通すかのようなその鋭い眼光に、俺は後ずさりをしそうになるのをぐっとこらえ、まっすぐ紫氷帝の方に向き直る。

「……ほう、まだましだな。鍛えがいがある。お前、名は?」

「焔雲 輝だ。」

「我が名は紫氷帝……いざ、尋常に勝負!」

紫氷帝は手に持っていた槍を刀に変えると、一気に俺の懐に飛び込んできた。それを防ごうと刀を抜けば、紫氷帝はもうすでに後ろにまわりこんでいる。

「よけるか。身のこなしはいいようだな。変身はせんのか?」

「こんなところで使ってたら、俺の兄には勝てないからな。」

「兄を倒すというか。なかなか面白い。では、もっと強くならねばなるまいな。」

「ああ。だから―」

そう言いかけた時にはもう、俺の体が宙に吹き飛ばされた後だった。

圧倒的な力量差。以前戦った父や鮮血、黒曜、蒼い侍とも違う。だが確かにわかるのは……

「You've gone too far、紫氷帝。」

「やりすぎも何もないだろう。それしても、この程度か。随分と持て余しそうだな。青の奴も、よくもこのようなものに託したものだ。もっとも、あいつらしいものだが。」

「蒼は、お前に何か言って行かなかったのか?」

「さぁ。言っていたとしても、聞くつもりもない。あいつも言うつもりがないだろうしな。」

「どうだろうな。」

悟空と会話をしながらも、その紫の瞳は、まっすぐ俺をとらえている。隙が無い。なさすぎる。今、俺以外の誰かが攻撃をしたとしても、少なくとも、俺の仲間たちなら、あっという間に首が吹き飛ぶだろう。朱雀や玄武さん、悟空なら、大戦争が始まってしまう。そんな未来が、容易に見える。

「お前……何者なんだ…?」

「そういえば名乗ったままだったな。我自身も、自分が何者かなど知らぬ。」

紫氷帝はそういい、足元に咲いていた一凛のカタクリを拾う。手に取った瞬間、それは薄い氷のように砕け散った。

「人からの評価は、人に聞いてみるしかあるまい。無論、正直な者のみの話だが。」

「お前は、なんて言われてるんだ?」

「さぁな。だが……『北風の化身』とかいうのは、時折耳にするな。事実、我が通った後に残るのは枯れた物のみだ。お似合いの名だろう。」

「自虐ネタは面白くないぜ?紫氷帝。」

「自虐をしているつもりはないのだがな。ありのままだろう。」

「Not sure about that。……稽古をつける気にはなったか?」

「……まぁいいだろう。輝。お前の稽古は我がつけてやる。」

「感謝する。……なぁ、悟空。」

「?」

「俺の仲間の稽古は、どうするんだ?」

「この双子は妾に任せるのじゃ。存分目にかけておいてやろう。」

俺が尋ねると、一番最初答えるのは、双子の上を飛んでいた朱雀だ。

「ほんとに大丈夫か?朱雀。」

「無論じゃ。少なくとも、自分で稽古もつけられんような奴に言われたくはないがな?」

「二人とも、こんな時まで無駄に労力を使っていては仕方がなかろう。慶斗と…鎖の稽古はつけてやろう。」

そう言うのは、いつも通り慶斗の足元にいる玄武さんだ。正直、どんな稽古なのか一番気になる。

「そうじゃ、桜もこちらに来い。主には少し興味がある。」

「は~い。」

「悟空は何かしないのか?」

「俺は、適当に仲間集めでもしてるよ。」

かくして、俺たちの個別特訓が始まったのだった。

……ベラウィズも頑張ります。

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