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双狐炎狼伝  作者: おかかのみやつこ
四神八聖黒ノ獅子
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次なる指示

久しぶりの投稿です。お待たせしてすみません。ほかの話もぼちぼち投稿していく予定ですので、何ぞとよろしくお願いします。

随分と前に、鎖から聞いたことがあった。

鎖の一族は代々傭兵家業を営んでいて、同じ業界では、割と名の通った家だったそうだ。だが、家が小さかったためか。江戸時代初期のお家解体の時に、他家とともに解体されてしまったらしい。それからしばらくは今までと同じように傭兵家業をしていたのだが、それも戦がなくなるといらぬ商売となり、ついには咆哮をするようになったのだとか。その時に鎖は、もともと縁のあった桜を頼って、焔雲家につかえるようになったらしい。

だが、家が解体されて間もなくたったころ、一人の姉が突然行方不明になったらしい。その姉は幼いころから才能豊かで、文武両道・天下名将とたたえられ、他家からの誘いも多かったらしく、家中では「欲していた家にさらわれた」とか、「落ちぶれた家に嫌気がさして抜けた」など、様々な憶測が飛び交ったらしい。

「まさか、このようなところで再開するとは、夢にも思いませんでしたが。ですが、そうなると厄介ですね。本当に頭のまわる姉ですので。」

「まあ、向こうの経緯がどうであれ、いつかは倒すことになる敵。情報があるだけでもましだ。それに、頭が利くか否かで言うなら、鎖も負けてないだろう?」

「どうでしょうか。姉は、まさに才色兼備といった感じの人でしたから。」

「なんというか、俺の周りには才能に恵まれたやつが多いな。双子といい、鎖といい、桜といい、慶斗は……まあいいか。」

「俺だけ扱いひどないか?どちらかといえば俺は、その上に立ってる輝がびっくりだけど。」

「俺の人望だ。」

「家の力だろ?」

「それは一番の禁句だぞ?」

「家だって、お前とお前の父が、そのまた子孫が作り上げた、立派なものや。人一人でできることなんか限られてる。道具も、地位も、名前も、その人がどう使うかやろ?」

「そんなものか?」

「そのようなものです。」

「そんなもんや。それにしても、ここで白虎が出てくるとが思わなかったな。悟空は、戦ってみてどうやった?」

「Nah。どちらかといえば、向こうも利用してるっていうかって感じ。何かしら理由はあるだろうしな。な、朱雀?」

(わらわ)に聞くでない。戦っても見てもないから知らぬ。」

「遅いから置いて行かれるんだぜ?」

「お前が速すぎるだけじゃ。」

「I'm flattered。」

「褒めとらんわ!」

俺が言い争っている朱雀と悟空を見ていると、慶斗の肩からのっそりと玄武さんが顔を出す。

「白虎は少し気難しいところがあるが、青龍の次に忠義は深く、悟空の次に芯が通っておる。心配せずともよい。あなたのお兄様も、守ってくれると思うぞ。」

「俺が黒曜を心配してるって?」

「そう感じただけですじゃ。青龍も、同じ状況ならほおっておくでしょう。」

「ならいいか。」

俺たちが話していると、向こうの方から双子が歩いてくるのが見える。なんだかんだ、離れることの無い二人だ。

「……と、そうだ。なあ、」

俺が声をかけると、二人はそろって振り返る。そういうしぐさを見ていると、つい笑いそうになってしまうから、油断も隙もない。

「あの狐の姿、見せてもらいたいんだけど。詳しく聞けてなかっただろ?」

「あ、そういえば。」

「そのまま戦ってたもんねぇ。」

二人は話しながら、徐々にその姿を狐に変える。そしてその尻尾をこするように重ねると、今まで二匹並んで立っていた狐が、両方の色の混ざった一匹に変化した。右目は水色でほそながく、左目は桃色で少し大きめ。ちょうど、二人の個性が半分半分になっているといった感じだ。正直、見ているだけで面白い。

「これ、どっちの技も使えるんだよねぇ。」

「技を出すのをそろえるのが難しいけど。」

声を出す時は特に狐の口が動くわけではなく、どちらかというと念話に近い感じだ。少し違和感を感じるが、二人の意識がしっかりと残っているのは喜ぶべきことだろう。

「ちなみに、二人はどんな感じなんだ?」

「なんか、二人だけで水の中にいる感じっていうのが一番近いかなぁ。」

「フワフワしてるなぁ……て感じ?」

「……まぁ、つらく無いようならいいけど。」

「もし辛かったら、あの状況でこの姿で来てないでしょ。」

「それはそうだな。」

「妾の力をわざわざ急ぎで授けてやったのじゃ。そこで使わぬのは無礼であろう?」

「Yeah, kind of。」

「何か不満でもあるのか?」

「いや、なにも?」

「ならよい。返事が少し不満そうだったからの。」

「んなわけ。」

「あと、輝よ。その指輪、何か言いたげじゃぞ?」

俺が朱雀に言われ、青龍にもらった指輪を見ると、それは今までにない、澄んだ青色の光を放っていた。

「なんだ…?」

俺がその指輪にふれると……いつの間にか、俺は青白いふわふわとした空間の中にいた。自分の体の重さは、なぜかあまり感じず、正直、立っているのか、浮いているのかすらわからない、不思議な感じだ。

俺が違和感を持ちながら前を向くと、そこには、消えてしまったはずの青龍の姿があった。

「蒼……偽物じゃ…ないよな?」

「まさか。この世に偽物がいるというのなら、私こそ見てみたいものだ。」

「まあ、青龍神様の偽物なんか、いたら困るよな……でも、じゃあなんでここに?というか、ここは何だ?」

「ここは世界から隔離された場所だ。お前たちの世界で時間は進まないから、安心するといい。ここは、私の意識を閉じ込めてある場所だ。私がもうすぐ死ぬだろうなと自覚したときに、せっかく力を渡したものを放っておくのも無責任だと思ってな。力を授けることすらできないが、せめてもの助言ぐらいはできるようにと、私の魂の一部を指輪に閉じ込めたというわけだ。」

「なるほどな。でも、しんどくないのか?」

「もちろん時間制限はある。大体五分といったところだ。」

「じゃあ俺、だいぶ無駄にしちまったな。……じゃあ、そろそろ本題に入ろう。なにか、伝えたいことがあったんだろ?」

「ああ。その前に、一つだけ言わせてもらいたいことがある。少し厳しい言い方になるのだが……」

「イイよ。そのぐらいの覚悟はできてる。」

「ならいいが……はっきり言って、お前たち、弱すぎる。」

「………まあ、だよなぁ。正直自覚はしてた。ずっと、朱雀とか悟空とかに頼りすぎてたもんなぁ。」

「自覚しているならいい。お前たちは兄に勝ちたいのだろう?だが、あまり本気を出していないようなあの状態であそこまで負けているようでは、残念だが、とても勝てるとは言えないぞ。」

「とはいえ、俺はもともと、そこまで才覚に恵まれてるわけじゃないからなぁ。相手も扱うのは炎だから、弱点を突こうと思ってもつけるものではないし…」

「だと思ってな。私の友人の仲に、人を鍛えるのが得意な者がいる。詳しくは悟空が知っているだろう。あいつは妖怪だが、玄武なら呼び出すことができるはずだ。そいつに鍛えてもらえ。」

「わかった。ありがとうな、蒼。そこまでしてくれて。」

「力を授けた者に、できる限りの助力をするのは当たり前だろう?だが、それで手を浮くようなことがあれば、私はすぐにでも離れるからな。」

「わかってる。落胆されないように頑張るつもりだよ。」

「ならいい。」

蒼がそういうと、周囲の青白い壁にほころびが出始め、次の瞬間には、元居たところに俺の意識は戻っていた。しっかりと地面を踏みしめる感覚に、戻ってきたのだなと実感する。

「 Got it。青龍と話してきたのか。」

俺の反応に違和感があったのか、それとも本人も話してきたのか。悟空が俺の体験してきたことにすぐに気づくと同時に、少し驚いたような顔をした。

「その指輪に意識を入れてたわけか。なかなか面白いことをするな、青龍は。で、なんて?」

「悟空とあお…青龍の知り合いで、人を鍛えるのが得意な…妖怪?を、玄武さんの力を使って呼び出せってさ。」

「人を鍛えるのが得意なやつ?そんなのいた………ああ、あいつのことか。青龍もきわどいやつを。いいぜ。玄武さん。」

「わかっておる。」

ふと後ろを見るといつの間にか慶斗の方から降りていた玄武さんが、その体を平たく広げ、不思議な緑色に輝く円を甲羅に描いていた。そこに、悟空が首から下げていた5つの首飾りの一つを投げると、その縁につくと同時に、紫と青色が混じった光と、とてつもない冷気が俺たちを襲った。

「Stay sharp… or you’ll be dead。」

悟空が何を言っているのかはわからない。だが、今まで見せたことの無い緊迫した顔の悟空は、獄晩狼の時とは違い、冷や汗を流しながらも、少し、挑発的な笑みを浮かべているようにも見えた。

「来いよ、紫氷帝。…久しぶりの、力比べだ!」

悟空が叫んだ瞬間。高く天に上る光線の中で、何かが怪しく光った気がした。

時代は巡り、それとともに命もめぐります。妖怪は年を取ることはないですが、死ぬときは死ぬ。ですがその後、何らかのきっかけがあれば復活するといわれています。

歳もとらず、永久の時を生き続ける、人ならざる者たち。その流れは、何世紀を超えようとも、費えることはない。

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