黒い狼
お久しぶりです!今回も長いです!
なので分けて読んだ方が読みやすいかもしれません。
あと、今回の話、少しきつめの描写が出てくるので、苦手な方は飛ばしてもらった方がいいかもしれません。
「まったく、妾の試練はいつになったら受けさせることができるのか……」
「そうカリカリすんなって朱雀。それより、俺は獄晩狼のほうが心配なんだが?」
俺たちが馬を走らせている間、その上空を飛んでいる朱雀と、俺たちの横を馬とほぼほぼ同じ速度で走る悟空は、何やら二人で話していた。おそらく二人の言う獄なにがしとやらも八聖獣なのだろうが……話を聞いた二人の反応は、同じ八聖獣であった贄喰の時のそれとは明らかに違っていた。
「なあ、玄武さん。獄晩狼ってなんなんや?」
「獄晩狼……その名が表すとおり、夜と地獄をつかさどるものだ。」
「Sure。元は俺の部下だったんだがな。俺の部下の中でもかなりの切れ者だった。それよりも……死んだってなんだ?」
「普通に考えるのならば、寿命ということもなかろう。それとも、悟空。そなたの部下というのに嫌気がさしたのではないか?」
「寿命じゃねぇなら?さっきのあいつらか?いや、あいつらは味方につけていっているはずだ。ならなおさら誰だ?」
「妾のあおりも聞かぬほどに馬鹿になりおったか。」
「なってねぇよ。」
あまりそういうようには見えないが実際、悟空はかなり衝撃だったのだろう。今まで似せたことの無い真剣な顔で、必死に可能性を見つけ出そうとしている。
「……悟空。」
「なんだ朱雀。すまないが、今はお前にかまってはやれないぜ?」
「なんで妾がかまってほしいということになっておるのじゃ!そうでなくてだな…………第三者だとするなら、心当たりは、一つあるじゃろう?」
「……まさか、奴がもう一度来ているって言いたいのか?」
「おそらくな。最悪の可能性じゃが、今の状況では最も高い可能性でもあるじゃろう。」
「なあ悟空。あいつって?」
「……すまない、輝。お前には関係のないことだ。それよりも急ぐぞ。異物が奪われていないとも限らなねぇ。」
「だな。二人とも。少し急ぐが、着いてこれるか?」
俺は振り返って、少し速度を抑え気味に歩いていた双子の方を見る。ここまで連日何かしらの方法で精神的な負荷を負っているのだ。ここで一度引くといわれても、正直俺許すと思うのだが……
「………わかった。」
二人は何も言わないまま、その代わり、俺の目をまっすぐと見る。その目を見れば、何を言わんとするかなど、必然と見えてくる。
「悟空、朱雀。」
「言われなくともわかっておる。」
「OK。飛ばすぜ!」
「これはまた……」
「随分と手ひどくやられたようだ。慶斗。何かないか捜しに行くぞ。」
「もうやっとる。」
俺たちが獄晩狼がいた祠についたのは、ちょうど日が傾いて、背景がすべて茜色に染まり始めたころだった。
「………獄晩狼…」
「悟空、何か見つけたのか?一人でみるのではなく、全員に見える…よう……に………」
獄晩狼の祠の中、悟空が見つめる視線の先には、言葉では表しようもない、凄惨で、明らかに異様な光景が広がっていた。
祠の周りには、大量の赤い液体と、おそらく獄晩狼の物であろう黒い体毛が散乱している。よく見れば、それが狼の四肢や体の部分であることがわかる。そして悟空が歩いて行った先には……
「これが、獄晩狼の…」
そこには、無残に身体から切り離された、狼の頭部が転がっていた。その金色の瞳は怒りに染まり、その美しく濃い黒色の体毛も、赤い液体にべっとりと濡れそぼっている。
「片づけるか。」
「……だな。遺物を見つければ、あいつの意思自体は、お前の中で生きることができる。」
そうして俺たちがその場から離れようとした時だった。
「ごく……………様………………」
「……!獄晩狼!」
地面に付していた狼の黄金色の目が少しだけ光を取り戻し、わずかながらも口を開く。
「獄晩狼……すまない。」
「はは…………奴に……攻められれば……誰も………助かり……ますまい……。」
「やはり、奴か。」
「遺物は…………祠の中にありますゆえ……お取りください………」
「わかった。あとは、ゆっくり休め。」
「最後に…………一つ、よろし……ですか?」
「ああ。なんだ?」
「ここに………あなた様がいらっしゃるということは………………すなわち、あなた様を……復活させたものが……いるということ………そのものが……私の遺物を継ぐことになるで……しょうから………最後に…………そのものの顔だけでも…………」
「わかった。輝。」
「あなたが………」
「おれは輝。焔雲輝だ。」
「輝……わしらがこうして祠に入らず………奴を目の前にあがいた時期にも……あなたのような…………光に関する名を持つ者がいた……………わしはその時…………唯一、加勢することが………できなかった。………わしは闇や夜を操る………一言でいえば……それがかき消されそうで怖かったのだ………」
「俺、夜は好きだよ。昼間じゃ見えないものが見れるような気がした。」
俺は向こうの方で慶斗や鎖、桜と一緒に遺物を捜している双子の方を見て、それからもう一度、獄晩狼の方へと向き直る。
「俺、今、すごく大切な人がいるんだ。そいつらに出会えたのだって、夜があったからだ。夜は、たぶん、人が一番本性を出す時間だと思う。確かに暗い印象はあるし、犯罪もあるけど………その代わり、いろんな出会いがあるも夜だと思う。地獄だって、地獄に行って、全部積みを洗い流すことができれば、晴れてもう一度人生を歩むことができるんだろ?」
「そうだな…………ならお前に…………託してみるとするか…………期待は…………裏切るなよ?……わしも………青龍様も………」
「わかってるよ。」
「なら……よい。」
「獄晩狼。あとはゆっくり休め。主君の命令だぞ?」
「承知……つかまつり…………もうした……悟空様……」
そういうと、獄晩狼は静かに目を閉じた。
「輝!あったよ!関節の部分の鎧だと思う!」
「ってことは……膝あてと肩あてと肘あてってところか?」
「そう!」
「多分。」
「わかった。そっち行く!」
「で、輝。」
「輝よぉ~」
俺が振り向けば、何やらにやにやした悟空と、いつの間にか後ろに来て、同じような顔をしている慶斗がいる。
「大切な人って、誰のことで~?」
「別にええんやで~?代わりに言ったっても~」
「ああ、そういう…………俺は、言うつもりはないよ。」
「なんでだ?」
「怖気づいてんのか?」
「違うよ。あいつらがここにいるのは、俺がつけた制約があるからだ。それもあと一か月だ。」
「てことは、あいつらは俺たちが黒曜と戦う前に抜ける可能性もあるのか。ならつぶしておいた方が……」
「俺はそれは嫌だ。ただでさえあいつらは自由を奪われ続けた生き方をしてきた。親に自由を奪われ、捨てられた後は選択肢なんてあってないようなもの。了解か了解の問答だ。だから、俺はあいつらの自由を奪いたくない。だから、言わない。少なくとも、あいつらとの制約が切れるまでは。」
「切れて、それでも出て行かないっていうなら?」
「…………それは、その時考えるさ。」
「ヒーカール―!!」
「遅い。早く来て。」
「わかったわかった。」
「………あいつらが嫌っているようには見えないんやけどな。輝の過小評価野郎。」
俺の後についていた慶斗は、俺に聞こえるか聞こえないかぐらいの声で、そう呟くのだった。
どうでしたか?それにしても、悟空や朱雀、獄晩狼の言う「あいつ」、いったいだれなんでしょう。八聖獣の一角を短期で倒すほどですから、相当の強者なのでしょうが……
あと、輝のことですが………明らか過小評価ですよねぇ……………。
輝はあまり自分自身にじつは自信が持ていないキャラです。この性格は、過去の出来事が一種のトラウマになっているようなのですが………それはまた、どこかでお伝えしましょう。
それと、「ベラウィズ」の方は明日の朝7時に二話以降の話を削除しますので、もし読みたい話などがあれば今日の間に読んでおいてください!




