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双狐炎狼伝  作者: おかかのみやつこ
四神八聖黒ノ獅子
34/39

斉天大聖

ごめん、昨日出せなかった!あと、9月からは元の投稿頻度、土~日「双狐炎狼伝」、月~火「ベラウィズ」に戻すので、よろしくお願いします。

「ここらでいいか?」

「いや、俺はいいんだけど……ここ、普通に山じゃね?」

一時間ぐらいたっただろうか。俺はあの後孫悟空の操る雲に無理くり載せられ、はるばるここまでやってきた。どうやら御供は俺に試練を受けさせたいらしいのだが……ここ、どっからどう見ても山である。それも霊峰とか、霊山とか、神峰とかでもなく、いたって普通の山である。そう、探せば一つは見つかる、ぐらいの、いたって普通の山。友人に聞けば、「ほら、名前わからないけど、ほら、あれ」といわれるぐらいの、名もない「山」である。

「Sure。山だぜ?」

「………山だぜ、じゃなく。何すればいいんだ?」

「戦闘。」

「………へ?」

「ここの山は花果山につながってんだ。」

「花果山……」

花果山。それは孫悟空が生まれたとされる、猿たちの山。その山は孫悟空が治めていて、何匹もの猿が住んでいるとか。

「そこにあるんだよ。祠が。ひでぇ話だよな。さすがに国外に祠作らなくてもいいだろ。お前もそう思わないか?」

「ハァ…てか、この渡航禁止の時代に清にわたれと?」

「Don't worry。みつかることはねぇよ。じゃ、行くぞ!」

「え、ちょま………」

気づけば悟空は俺を小脇に抱え、その何の変哲もない…はずの山にある変哲がありまくる大穴へと飛び込んだ。

次に見えたのは、今の日ノ本でも見ることが少ない、大いなる美しい自然の姿だった。

「Isn't it beautiful?ここが俺の古郷だ。」

「えっと……」

「きれいだろ?ってことだ。」

「ああ……すごくきれいだ。今の日の下でもあまり見ないぐらいには……」

「ここは、日ノ本とはまた違った美しさがある。時間があったら、町の方も見せてやるよ。先にこっちだ。」

悟空が案内したのは、いわゆる闘技場のようなところだった。

「ここで俺と手合わせしてもらう。制限時間は一回につき五分。お前は五分のうちに俺にふれられたら勝ち。俺はお前から逃げ切れたら勝ち。やり直しに制限はない。簡単だろ?」

「……ああ。わかった。」

簡単なことではないが……何せ相手が神話級の怪物なのだ……やらないとどうしようもない。それに……

「あの斉天大聖と手合わせ…………逃すわけにはいかないよな!」

「そうそう、その意気だ。あ、刀は使ってもよし。」

それを聞くなり、俺は刀を抜き悟空に斬りかかる。さっきも言ったが、こいつは伝説級の化け物。最初から全力で行かなければ、触れることすら難しい………が、正直、俺は舐めていた。どんなものでも、所詮は生き物だろうと。が、天にも斉しい大聖者は、そんな生ぬるいものではなかった。

悟空は、俺が完全に不意打ちで放ったはずの斬撃を、いともたやすくよけてみせる。それも、その場から一歩も動かずに。

「そんなことしてて、あたりはするだろ!」

そう俺が足に向け刀を振るうと……

「如意金箍棒」

そう唱え、どこからか取り出した赤と金の棍棒は、俺の刀を米粒のように弾き飛ばす。その棒の長さ、わずか一分。

「なっ……!」

「人間は弱いな。さすがに俺まではいかないが、もう少し手ごたえがあるものかと思ったぜ。これなら正直、土地神のほうがまだやれる。」

「焔流 草薙!!」

「おっと、早いな。いいぜ、今の気に入った!」

悟空の心に火が付いたのか、悟空は棍棒を己の身体と同じ長さにする。そして、

「ぐぅ…カハッ!!」

俺はみぞおちに如意棒をもろに受け、闘技場の壁に思いっきりぶつかる。

「はい、一回目終了な。」

「クッソ…」

「続けてやるか?大概の奴はここでリタイアするんだが…」

「………あいつらを助けるには…お前の力が必要なんだ。今の俺たちじゃ、どこにいるかもわからない……わかっても攻め込むことはできない……だから、ここでお前に駆った、絶対お前を仲間にしてやる!!!!!」

「……わかった。」

とたん、悟空の纏う空気が一気に重みを増す。それと同時に吹き荒れるのは、悟空から出る黄金の波動。

「正直舐めてたが………そこまでの志があるなら、こっちも本気で行く。俺にふれてみやがれ!!一コマのスキも与えてやらねぇよ!!!!!」

「やってやる……日ノ本の剣士なめんな!!」


― 通算、一五七回目 —

「ハハッ。まさかここまで動けるとは思ってなかったぜ。人間と戦ってて楽しいと思ったのはお前が初めてだ!!」

「………」

あれから一回も、悟空にふれることができていない。分身、如意棒、火炎放射、変化、強風、巨大化…。もはや悟空のそれは、まさに、神の片りんを見るようだった。

「大丈夫か?死なねえかぁ?」

「……死ぬ前にふれてやるよ!」

「へッ、keep it up!!」

………あそこなら、いけるかもしれない。

悟空が如意棒を振る時は、確実に隙が生じる。が、今まで何回底に攻撃しようとしても、何かしらの方法で防がれていた。でもそれなら……!!

「………へぇ、まさか、本当に俺にふれる奴が現れるとはな。打つ前じゃなくて撃った後を狙ったのか。こいつ、なかなか賢いな。おい、こいつ寝かしてやれ、どうやら急ぎの要がある道だから、なるべく早くな。もし真面目に起きないようなら、また蟠桃勝会(ばんとうしょうえ)の桃盗ってきてやるから。」


「ここ、どこだ……てか腰イタッ!」

「お、起きたか。」

「悟空…」

「めでたいな。お前、最後の最後に俺に触ったんだよ。」

「…てことは!」

「ああ。しばらくはお前に使えてやる。」

「よっしゃー!」

「Oh、そんなにうれしいか?」

「そりゃもう!」

「ならよかった。あ、それと、もう一個約束、果たさせてもらうぜ。」

「?」

「見るんだろ?町。」

悟空に連れられたのは、清の町の一つ、江蘇省だった。

「こういうところに来るのは初めてか?」

「ああ。今の日の下じゃ、外界の文化にふれるには出島ぐらいしかないからな。」

「詰まんなくなったな、日ノ本は。」

「……」

「どした?」

「ほかの、北欧の国も、こんな感じなのかな…」

「さあ。でもきっと、面白いことはあると思うぜ。」

「俺、思うんだよ。俺の持ってるこの能力が、何のために生まれたのか。何か目的があったのか。作られたものだとしたら、誰が作ったのか…」

「それを知って、どうするつもりだ?」

「もしできるなら、この能力は消えるべきだと思う。」

「…」

「便利な能力ではあるけど、平等とは言えないし。」

「………分かるさ。」

「?」

「いつか、わかる時が来るさ……て、これ、青龍も言ってそうだな。」

「ああ、言ってた。」

「やっぱりw……ただ、一つ。」

「なんだ?」

「行ってみたい、と思うなら、願うなら、行ってみるが吉だ。お前の求める答えは、そこにある。俺が言えるのはここまでだ。」

「……わかった。」

「んじゃ、戻るぞ。俺も、無駄に朱雀に怒られたくはねぇからな。」

「わかったよ。ただ、帰ったら…」

「ああ、わかってる。お前の恋人二人の救助、だろ?いいとこは全部お前に譲ってやるから。」

「恋人じゃない!!」

「ハハッ、そっかそっか。俺はそういう感情に縁がねぇからな。」

「うるさいぞ!」

「はいはいわかったよ。でも、仕事は多そうだな。」

「ああ………絶対に助け出す。」

「俺が、が抜けてるぞ。」

「………そうだな。」

どうでしたか?前回のイラストだと想像がつきにくいかもしれませんが、孫悟空はあくまで猿なので、輝より身長は少し低めです。その力量は、まさに身の丈に合わない力量ですが…。それを操れるってすごいですよね。

ちなみに、今回一番最初に輝の刀を受けた際の如意金箍棒の長さは、約三センチです。人によっては小指より短いかも…

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