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双狐炎狼伝  作者: おかかのみやつこ
四神八聖黒ノ獅子
32/40

痛恨のミス

ごめん!まただいぶ遅くなった!今回文の量少なめです!

『三……いや、五人か。』

あふれだす殺気が充満する政務室。その中心で俺は、こんな状況でも寝息を立てている二人をかばいつつ、周りの様子をうかがっていた。おそらく忍びだろうが………

「随分と限定的だな。狙いは俺か?」

とにかく、今この二人に危害を加えられるわけにはいかない。朱雀の捜索には絶対にいてほしいし、それに…………………なんか、いやだ。よくわからないけど。

「少し待っててくれよ………さっさと出て来いよ。かまってやるから。」

俺がそう挑発すると、向こうも、これ以上は進展がないと察したのだろう。五方向から、微妙な時間を開けて一斉に攻撃を仕掛けてくる。

「焔流 五連焔槍撃!」

俺は迫る五つの人影に対し、その首を的確についていく。焔槍撃は連続の突き技。連続の回数によっても体制が変わるから、正確な判断が求められる。ちなみに、俺が放てるのは六連までだ。

これで、最初に感じた五人は一掃したが……目測を誤った。

「ッチ………もっといるって?」

再び部屋に現れたのは、先ほどの者たちと同じように黒装束を着込んだ忍び。その数、先ほどとは打って変わり、ざっと二十はいそうだ。

俺は攻撃を仕掛けてくる忍びたちの攻撃をいなすが、忍びは接近戦だけでなく、弓矢、手裏剣、小刀などの遠距離も使ってくる。ただでさえ狭い政務室でそれをされると、双子を守りながらはじくのが精いっぱいで、とても攻勢に回れるような余裕はない。

相手もそれを察しているのか、絶対に攻撃の手を緩めないと意志を感じる。

一瞬たりとも気を抜けないその戦いは十分ほど続く。政務室は防音性能が高いため、外からこの中の惨状に気づくのは時間がかかる。つまり加勢は来ない。

「上等!」

俺は常に投げられる刃物や迫りくる敵の攻撃をはじき返しつつ、一人ずつ敵をさばいていく。

ここまではよかった。ここまでは。十一人目を倒した後、少しだけ集中を緩めてしまったのが、悲劇の始まりだった。

「油断したな?運の尽きだ。」

「…!!!!!!!!!!!!!!!!」

「己の無力を詫びるがいい。」

「……狙いはそっちか!!!!」

おそらくこの集団の長であるものの右手には、襟首をつかまれた双子の姿があった。

「………離せ。」

「寝起きでこれはないってぇ…」

「おまえら!」

「何も守れぬものは黙って吠えていろ。」

相手の長がそういった瞬間、俺の首筋にいくつもの刃があてられる。ここで抵抗すれば、今度は二人の命が危ない。

「……目的は?」

「この二人に決まっておろう。この二人に目的がないなら、このような面倒なことはせん。」

「………」

自分の無力感を改めて知り、奥歯を痛いほどにかみしめる。

敵が目の前にいて、それでいて、何もできない。ここで炎を出そうものなら、双子はおろか、城ごと燃えることになる。かといって、今は刀も抜けない状況だ。双子のほうも、首筋に小刀を当てられ、四肢は縛られている。

『………詰み、か。くっっっっっそ!』

「「輝」」

二人が、突然俺に声をかける。その顔を俺が見ると、二人は無言でうなずいて見せる。

「……………………………降参だ。」

「余計なことはするなよ。」

「わかってる。」

俺がそう答えると、先ほどまであたりを取り囲んでいた男たちは、双子を連れて、闇の中へと消えていった。

「輝さま!」

「輝!大丈夫か………て、あぁ……すまねえ。」

「いや、大丈夫だ………大丈夫……スゥー……ハァー………大、丈夫…だ。」

「……」

「………」

「鎖。予定を変更する。明後日出るぞ。」

二人がいなくなった今、最優先事項は、二人の救出と、一刻も早い四神獣、八聖獣の奪取。一番早く出れる時間は明後日だ。

「将軍様には、適当言って予定をずらしてもらってくれ。あいつなら察してくれるはずだ。」

「はい。」

「慶斗も。予定をずらして悪いが、やることがあるなら明日のうちに片づけてくれ。わかっているだろうが…」

「異論は許さん、やろ?わかってる。てか、こんな状況で洒落を言うやつはただのバカや。」

「今すぐ動き出せ。あと、鎖。ここに転がっている畜生どもの遺体から、どこの患者が割り出せ。大体の予想はついてるがな。」

「……はい。」

「どこのどいつだろうが、うちの……いや、”俺の”二人に手を出したやつは、地の果てまで追いかけてやる。」






「………ここは?」

「今の貴様らに、そのようなことを聞く余裕はあるのか?」

「うるさいなぁ。そういう人は嫌われるよぉ?」

「無駄口をたたくな。()()()()が。」

「はぐれ者……てことは、あなたたちは…」

「ああ。……………お前たちの村の一族だ。」






「黒曜様。」

「わかってる。そろそろあいつらも動き出す頃だろう。正直、輝たちに嫌がらせする案は飲めなかったが、さすがにこれ以上反対したら、あいつらに殺されそうだからな。」

「どうすんだ?頭。」

「うちのに見張らせておく。」

「お頭は何がしてえんだ?」

「まあほら………………また、()()()が来たら困るからさ。死なれたら困るのよ。さて、俺たちも動き始めるぞ。準備をしろ。」

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