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双狐炎狼伝  作者: おかかのみやつこ
四神八聖黒ノ獅子
25/39

いらぬ客2

「…」

「寝、大丈夫でしょ。私だって強くなってるんだから、心配することないのに………鎖?」

「ハァ…そのようなことを言われましても、今までの行動を見ていると、そういうわけにもいきませんよ。大前提、焔雲に使える身として、このような事態に駆け付けないわけにはいきませんから。」

「輝も影ちゃんもいたでしょ?あの二人は信用できないってこと?私含め。」

「決してそういうわけでは…」

「何があっても、私たちはあくまで主従の関係。いくら鎖に思惑があっても、家中はまだしも、外に漏れれば面倒ごとになるんだから、そこらへんは気を付けてほしいんだけどな~」

「へぇ、主従恋愛ねぇ。性格も頭もいい鎖と、絶世の美姫と称される桜。そりゃあお似合いだわな。」

「「⁉」」

不意に桜と鎖にかけられた声。その声の主は、近くに生い茂っていた森から、ゆっくりと姿を現した。

「そんな顔しないでくれるか?うちの部下から話は聞いたんだろ?大体予想ついてたことだろ?想定内中の想定外ってやつだ。」

「…なんでここに」

「そりゃあ、部下の様子を見に来たからに決まってんだろ?俺が部下に配慮するのがそんなに不思議か?桜。」

「そうであっても、私たちがここにいたことはわかっていたでしょ。なんでわざわざ出てきたの!そのまま逃げればよかったじゃない、黒曜!」

「優しいこと言ってくれるなぁ、桜は。親父は、あのことは話してくれてねえみてぇだな。安心安心。」

「………は?」

「んで、親父は元気か?せっかくの機会なんだ。言伝(ことづて)ぐらい残しても罰は―」

「………黒曜様。閃光様は、お亡くなりになられましたよ。」

「…え?」

「一年ほど前、焔雲と呪骨家との戦があったのですが、そのさなか、呪骨家の当主により、その命を絶たれました。」

「ふぅん………………………そか。」

「よくそんな乾いた返事ができるわね。その返事、聞きたくないから、口ふさがせてもらってもいいかしら?」

そういい、桜はゆっくりと鞘からその鈍く桜色に光る刀身を見せる。刀身がすべてあらわになったと同時、桜の桜の花弁が待っていく。その色は今までよりも混濁した、まばらな色をしており、桜の中にある数多の思いが、具現化されているようだった。

「もう一度聞いておくわ。何しに来たの」

「お前らの顔見に来ただけだよ。うちの部下は全員処理されちまったみたいだしな。それに、あの話の通じねぇ父親が死んだなら好都合だ。覚悟は決まったよ。」

「何の話ですか?」

「今知る必要はねぇ。どうせ、じきにわかるさ。」

そういうと黒幕は、森の暗闇へと姿を消した。誰に見えることのない、目から出る汗に、顔を濡らしながら。






「ま、大体予想はついてたけど…てか、鎖も出てきてたのか。」

俺は次の日の朝、俺たちが帰った後何があったのかを、おばあさんと慶斗の二人を抜いて話していた。あの二人はこういう話をしているよりも、地元話で花を咲かせるほうが楽しいだろう。

「影ずるーい!輝のえこひいき~!」

「別に起こそうとしなかったわけじゃねえよ。影が起きた後お前だけは起こそうとしたけど、爆睡中じゃ気が引けるだろ?」

「ム~」

「何かしたいことがあるなら後で付き合ってやるから。だから許してくれ。」

「やった~」

「影もそんな顔するな………クナイ出そうとしない!家の中だぞ⁉てかそんなにいや⁉俺と陰だけなのそんなにいや⁉」

「…………………………………………いや」

「ヒ~カ~ル~」

陰のほうは俺と影を見て数っとジト~っとした目を向けてくるし、その影のほうはというと、恥ずかしそうに顔を隠して、いつもの三倍ぐらい不機嫌そうな眼だけをこちらに向けている。こっちを見るなということだろう。

「………二人ともこっち来い。とりあえず話をつづけるぞ。好きにしてていいから。」

そういって俺は、二人を半強制的に膝の上に載せ、話を続けることにする。

「やった~。フフン」

「んぅぅぅ……」

このままの状態で話を続けることは、本来は極力やめたほうがいいのだろうが、それだと一日はかかりそうだ。

「で、まあいったんは解決したわけだな。」

「正直、完全に解決した、とは言えないけどね。」

「でも、鎖とか輝とかの話だと、お兄さんはもう追放されてるはずでしょ?なんで…」

「あ、意外と持ち直すの早かったな。たたくな叩くな!反対側に陰もいるから!で、さっきの話だけど、追放されても、近くに町はいっぱいあるんだ。し、もし町がなくても、お前らみたいにしばらくは生きれるって話だろ?」

「ああ…」

「へぇ…」

「でもまあ…ねえ、鎖?」

「はい。そちらにせよ…」

「いますることは、青龍の入手?か。盗人っていうのも、おそらくあいつらのことだろう。割と手勢はいそうだったから、こっからは巻きで行かないとな。」

こうして俺たちは、改めて、青龍の祠に赴くことになったのだった。

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