序話:黒き鬣、篠突く雨
※注意 この話は、本編に入る前の導入の話になっています。そのため、今後の多少のネタバレが含まれる可能性があります。もしネタバレが嫌な方は、この話を見ないことをお勧めします。(ちゃんと第一話は作ります。)
…雨が、降っていた。
空は、何か祝福でもするかのように晴れ渡っていて。
でも、雨も同時に、涙のように激しく、降り続いていて。
それは、俺たちを祝福するようにも、嘲笑うようにも見て取れた。
さっき目の前で起こった惨劇が、現実だったのか、幻想だったのかさえ分からないほど、感情の整理が追い付いていないのだ。大分、頭がやられてるんだろう。いや、そう願いたい。
「…輝さま」
「…少し、静かにしててくれ、鎖。」
「—はい。」
「輝…」
「…っ」
鎖の、陰の、影の、ほかの仲間たちの目線が、痛い。
「—鎖」
声が、震えてしまった。
「?」
「勝どき、あげなきゃ…だよな」
「—っ」
「喜ばなきゃ、だよな」
「…」
「じゃないと、報われないよな…!」
目じりをつたった水滴は、単なる汗か、それとも別の何かか。
口をついて出そうな、情けない声を押し殺し、そして…
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by輝