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第三幕 第三話【 深淵を覗く 】

第三話です 秘密基地ってかっこいいよね

その後、俺は謎の倦怠感にのまれながら、深い眠りへと落ちていく。

——ふと気づくと男が燃えるばらばらに崩れ落ちた車を道路が面する崖の上から睥睨する様子が映る、その車の前に膝をつく男子。その男が言葉を発する。

「おうおう、よく燃えてるな、カカカッ!」

その声のほうを向く『過去の俺』。

「お兄さんがやったのこれ?」

その声に反応し、男が口を意地悪くゆがめる。

「ああ、そうだ。人が燃えるのはきれいだし面白い」

それを聞いて『俺』が顔を憤怒に染める。

「悔しいなら殺してみろよ、一緒に乗った女とどんな関係かは知らんが」

煽るアルベルトに『俺』は言う。

「死ね」

その瞬間真紅の奔流が空に伸びた。その中に立つのは彼岸花が咲きほこる赤黒いコート。まだ《鮮刀》は持っていない。『俺』はアルベルトに一瞬で肉薄し、けりを叩き込む。

「グアァァァ!!!」

アルベルトの腹に穴が開いた。倒れるアルベルトの顔面を殴る。何度も執拗に。

「死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね」

顔面をひたすらゆがめさせる拳。勢いはさっきほどないためひたすら男の顔には激痛が走り続ける。

「アガッ……やめ……グハァァ!……ろォォ………」

最初のほうは痛みに叫んでいたが次第にその声がフェードアウトしていく。ついには拳の音しか聞こえなくなった。

「はあ、じゃあそろそろ殺るか。」

と、力を込めて手を心臓に突き刺そうとした瞬間———

「すまんなキミ、怒るのはわかるがコイツは今後に必要なのでね。」

とひょうひょうとした男の声がし、手がアルベルトの皮膚を薄く切り裂いたところで止まった。そこに人影が現れ、『俺』の手を止めている様子が映る。

「邪魔だ。死にたくなければどけ。」

しかしその影は何も気にした様子もなくこれまたひょうひょうとした声で俺を止めようとする。闇夜とはまるで似つかわしくない上から白から氷のような色にグラデーションしていて、ローブを羽織り、

「だから言っただろう。コイツは必要だと。って、その様子じゃ判断することもできなくなっていそうだな。」

『俺』の目は血走り、もともと黒かった髪は一部が血赤に染まっている。力を体の限界を超えて出した影響で、血の涙が頬を伝い常にアルベルトの顔に滴り落ち、その滴り落ちた血は男の細胞を壊死させ男の顔には黒い文様が浮かび上がっている。止まらない『俺』にあきれたように息を吐くと、空気が変わった。

「やめろ」

その男はただ一言で『俺』の動きを止める。何の変哲もない制止の言葉。その圧は怒りで何も思考できない『俺』を圧倒した。思考すらできない『俺』を止めるほどの格の差。動けない俺をひょうひょうとした顔から一変、冷徹な目で『俺』のことを睥睨する。

「まあいい、もう会うことはない。」

その男はアルベルトを抱え空間のゆがみを開き消えていった——


「……なるほどあれが俺が覚醒した瞬間か。」

ショックの大きさで記憶が消えていたようだが昨日《核武装》を展開したせいか、それが蘇ったようだ。昨日の一軒で組織にはこれからお世話になりそうなので伝えておくべきだろう。が…

「おい、起きろ」

横にはいつもの無表情を崩し、あどけない顔をして眠る漆川が寝ていた。薄いシャツ一枚で眠る漆川。俺のシャツを貸したせいかぶかぶかでそれがはだけ胸が見えかけている。そこに朝日が差し込みその様子は天使が寝ているかのように美しかった。その肩を軽くゆすぶり、起こそうとする。しかし、漆川は寝ぼけて、

「……ニャァ………もう少……寝せt……」

猫のような声で手をまわして抱き着いてきた。俺の胸に。ふくよかななにかが大きくつぶれる。天使のような美しい銀色の輝きを放つ白髪から洩れる甘い匂いが俺の鼻をくすぐる。

——これはどうすればいいのか

何もできずに考え込むと、()()()()()()

「起きなさ……あ、ごゆっくりぃ」

本当は隣の部屋で寝ているはずの彼女が俺の部屋にいて抱き合って寝ているうえにシャツははだけている。そこから何が想起されるかは明らかで…。母さんは何も見なかったように流れるような動作で扉を閉める。まるでどこかの職人のように。

「起きろ」

母さんに誤解が生まれたが、とりあえず漆川を起こすことにした。声をかけるとともに漆川の頬をぺちぺちと叩く。

「……イヤァン………………………寝るのぉ~~………」

ツンツン、ぺちぺち、べしべし……。

手でつついたりして叩く音が強くなったところで漆川は目が覚めた。

「ん?」

そこで自分の異変に気づいたようだ。

「~~~~~っ!いやぁ~~~~!!!!」

どごっという人間からしてはいけない音がして、俺の意識が体ごと吹っ飛んだ。


すぐに目を覚まし、俺は漆川にずきずき痛む頬を撫でながら夢で記憶が少し戻ったことを伝え、それが《核武装》が原因ではないかということ。それを聞いた漆川は、

「その可能性は高いわね、でも少し引っかかるわね」

その、小骨が引っ掛かったような言い方に、

「どうした?」

「《意核》は別に記憶媒体ではないのよ。だから記憶が戻った理由がはっきりしないの。」

少し引っかかっているような言い方に納得していると、

「じゃあ、今日は《意素課》にいくわよ。」

突然いわれたので、

「学校はどうするんだよ。」

「勿論、仮病よ。そこらへんは本部がうまくやってくれるわ。」

するりとサボるという答えが返ってきた。

「本部の影響力強くないか?」

「それはそうよ。国防に影響するものなんだから。」

「それもそうだ。だがとりあえず下に行こう。降りてこないことをいぶかしんでいるかもしれない。」

というわけで、普通に朝飯を食べ学校に向かうふりをする。

「そういえば、覗かれて生まれた誤解を解くの忘れたな。」

独り言のようにつぶやく。漆川には聞こえなかったようで、聞いてくるのをごまかす。

「何か言った?」

「なんでもない」

すると漆川は一つの公園に入った。住宅街でほぼ陰になっており、道行く人のほとんどは気づかないか気づいてもすぐ忘れる。そのような印象の場所。そこに入った漆川は公園にあった防災倉庫に近づく。古びた倉庫は汚れが付き、震災時には崩れてしまいそうなほどボロボロだった。漆川は鍵を開けるのかと思いきや扉の前に立ち、手をかざす。すると倉庫に青く光る手形がつき、鍵穴から光が照射され、漆川の紫苑の瞳孔の周りにリングが現れる。

『認証完了』

機械音が響くと音もなく扉が開き、地下へと続く階段が現れた。その階段を下ってゆく漆川を見て、

「アレほかの人が間違えて手をかざしたらどうするんだ?それに、もうホログラムなんて存在したんだな。」

ほかの人があのようなものを見たら大騒ぎになるだろう。

「もともと監視カメラである程度の見分けをつけるのよ、他人だったらまず反応をしないわ。あとあれはホログラムじゃないわ、ただの投影技術よ。プロジェクターってあるでしょ。あの光の反射を利用して虹彩を確認するの。今は普及率は少ないけれど、他人受入率が低く、精度も高いのよ。特に経年変化がないっていうのも重要ね。ついでに言うと手のひらを確認したのは静脈認証で、手のひらの静脈を見て認証するものね。」

雑談を交わしながら降りていくと狭いホームのようなところに出た、地下鉄のような通路があるがそこには電車がない。

「少し下がって。」

漆川が言った瞬間、ホームにものすごいスピードで先が流線型になっている筒のようなものが入ってきた。

「小型リニアよ。基本的にどこでもつながっているわ。真空状態の空間の中を進むから相当な速度が出るの。大体日本の端から端まで2時間くらいね。」

「日本の技術ってここまで進んでるんだな。」

感心したように言うと、

「基本的に本当の技術は今の表の世界の30年先くらいまで発展してると思ったほうがいいわよ。」

答えが返ってくる。そのような話をしていると何もなかったような壁に切れ目が入り横にスライドして開く。そこには、6人分の座席があり、俺たちは一番扉に近い席に座る。すると音もなく機体が動き出し、ものの1分くらいでついてしまった。本部は地下深くにあるため階段を登ることもなく、近未来的な扉が目の前に現れた。まず六本の鋼鉄の横向きの棒が扉をふさぎ、その後ろには今度は縦の真っ赤なレーザーが何本も照射されている。その背後に重々しい巨大な金庫についているような錠前がついている。漆川が扉の前に立ちさっきと同じ手順を踏むと、今度は体を青い線がスキャンしていく。

『認証完了』

同じ機械音がすると、まず、鉄の棒が左右に飲み込まれていき、レーザーが停止する。その後錠前が一回転し扉が両開きになる。

その先には真っ暗な通路が続いていたが、足元のライトが手前から奥に向かって蒼く点灯していく。その白い壁面には様々な回路があり、光が輝きながらその回路を変則的に進んで、幾何学的な模様を作り出していた。そこに俺たちのカツカツという足音と吐く息の音が響く。いくつかの扉や分かれ道を進んでいくと、漆川は一枚の扉の前で立ち止まり扉を押し開ける。そこは会議室のようになっており長い机と合計12個の椅子があった。机の片側の真ん中の席に漆川は座り隣の席を指さしてきた俺がその席に座ると、

「ただいま到着しました。」

彼女は虚空に向かってしゃべりかけた。その声に呼応するように一人の男が俺たちの前の席に現れた。髪は白く顔にはしわが寄っているが右目には大きい傷跡があり、右目は見えていないようだ。そして何よりその男が放つ「圧」からその男が歴戦の戦士であったことがわかる。しかしその男の体は透けていることから、これはホログラムのようだ。ホログラムであるのにここまでの「圧」を放つ力とはどれほどのものなのか。

『久しぶりだな漆川くん。そして、君は七瀬君だったかな』

「お久しぶりです長官」

「初めまして七瀬龍二です」

順番に挨拶をすると漆川に長官と呼ばれた男は朗らかに笑った。

『ハッハッハ。そんなにかしこまらなくていい。私は長官の概剛(がいごう)豪己(ごうき)だ、よろしく。』

手を差し出してくるので手を握ろうとするが、その手はすり抜けてしまった。

『ハッハ。ホログラムなのを忘れていた。こういうところはホログラムの悪い点だな。』

またもや明るく笑いながら話す。この人はなかなか気さくな人のようだ。

「毎回言いますが上の人にため口で話すはなかなか難しいのですが」

漆川が言うと、俺もそれに同意する。

「同じくです」

長官は苦笑する。

『そうか。私は相手がため口でいいといったときはそうするようにしているのだが。あと、私はその意味ではなくそのあいかわらずの緊張した姿を解いてくれという話だ。』

それに対して、漆川は少し目を見開く。

「なぜわかったのですか?前と比べると感情を隠すのはうまくなっていると自負しているのですが。」

すると長官はさも当然のように答える。

『なるほど。顔から表情を消すのはうまくなっている。だが、()()()()()が微妙にぎこちないぞ?』

ホログラムの少し荒い映像からそこまで見抜くという技術を見せる長官。そこまで見抜けるようになるとはどこまで過酷な訓練や戦いをしてきたのか。そのようなことを考えていると、長官が目を細める。

『それに比べて君はすごいな。まったく筋肉が緊張している時に見せる不自然な動きがない。』

そのことを見抜かれた俺は、

「結構神経が図太いので、緊張したことはほとんどないですね。」

冷静に言葉を返す。その言葉に長官は満足したような表情を見せる。

『それは大事だ。練習の時と全く同じ動きができるということだからな、伸びがわかりやすい。というわけで本題に入るとしよう。今日()()()を読んだのはほかでもない。訓練や知識をつけてもらうためだ。』

その言葉に漆川はすこし驚きを表情ににじませる。

「私は彼をここに連れてくるために呼ばせたのではないのですか?」

その言葉に長官は首を振る。

『本当はその予定だったのだが、さっき入口で彼の波長を図ってもらった結果、君には彼と《結びの契り》を結んでもらうことになったのだ』

その言葉を聞いて彼女は納得した様子を見せる。

「すみませんそれは何ですか?」

わかっていない俺に長官は答える。

『それは後で知識を教わるうえで知るから大丈夫だと思うぞ』

「わかりました。」

ここまでの会話に理解を示したようすに納得したようで、

『では、ここで解散とする。漆川くんには少し待ってもらいたいのだがいいかね?』

「かまいません」

漆川は了解の意思を示す。

『では漆川くんは隣の部屋で待って訓練をして待っていてくれ。七瀬くんはここで待っていてくれ。私が消えたら教師の人がホログラムで現れてくるはずだから。』

「はい」

ここまで言うと彼は消えてしまった。そして漆川も部屋から出ていく。

「じゃあまたあとでね」

「ああ」

静かになった部屋で少し待つと、ホログラムで女性が現れた。

『こんにちは、私は瀬里(せり)由香(ゆうか)、あなたにこれからいろいろと教える教師です。よろしくお願いします。』

「よろしくお願いします。」

青いストレートの長髪をポニーテールにし、ビシッとスーツを着こなしている。眼鏡からは鋭い眼光が放たれており、エリートの秘書と言われたら即座に納得してしまうような人だった。そして彼女の説明はとてもシンプルでわかりやすかった。

彼女によると意素というのは一部の人たちにだけ備わった特別な能力。基本的に何かを核にすることによって《核武装》を発現、異能力を使えるようになる。熟練すると、核武装を使わずともある程度異能力を使えるようになるらしい。基本的に意素は遺伝的なものであり、まれに突然変異のように現れることがあるらしい。それが俺だという。

そして《意素課》のすることは基本的に覚醒者の回収と動物が覚醒した時の処分、ペットが覚醒した場合記憶を操作していったん回収し、暴走の危険性を精査したうえで処分が決まるらしい。意素を扱うにはある程度の知能が必要なため、知能が低い生き物は暴走がしやすい。そして大型の案件で言うと敵対組織の排除。この前漆川が戦闘を行っていた相手もその組織に所属するらしい。その組織は今の中では一番規模が大きく《悪夢再来(リバースナイトメア)》というらしい。

異能力には系統のようなものがある。

結界系統は結界を得意とし、作り出した札によってさまざまな効果を結界に持たせる。この前漆川が使っていたのは結界系統の者が作った札によるものだ。結界が得意なものは特に人を防御や、人払いをするのが得意であるものが多いが、まれにほかの系統の術を結界の中で発現させるタイプの者もいるらしい。

治癒系統はもちろん人の傷などを治癒する能力が含まれるが、ものを修繕するもの全般がこの部類に入る。これらの人は基本的に戦闘というよりはそのあとの作業で活躍する。戦闘での負傷者を治癒したり、崩れた建物を直したりする。

最後に戦闘系統だ。戦闘系は《核武装》に、防具と武器を持つ。防具は基本的に変化することはないが、武器は変化する。意素使いは鎌倉のころからいたらしく、基本的に刀と弓の間で形態変化していたが、外国の文化が入ってくるにつれ、弓に銃が混じり始めたようだ。中には大砲に変化したものもあるらしい。そこから西洋剣も交じりだしていった。近代になると機関銃や狙撃銃までと、銃の種類は多様化していった。

基本的にはこの系統だがまれにこれ以外の系統を有するものもいるそうだ。

自分は戦闘系に属するのでそれに対する細かい説明が入る。

『戦闘系の発現はまず防具。それから近接武器が現れ、訓練や戦闘経験を多く積むと遠距離武器が使えるようになります。この流れは意素を遠距離でも精密にコントロールすることができるようになる必要があるからです。さて、ここまでが今のところ知っておけばよろしいことだとおもいます。ここまでいろいろ座学でしたが、重要なのは実践です。さて、ここまで質問はありますか?ないならば漆川さんをお呼びします。』

そこでさっきから気になっていたことを聞く。

「すみません。さっき長官が言っていた《結びの契り》とはなんですか?」

鋭い表情を、忘れていたという顔に変える。

『すみません。最重要事項でしたね。はい、これから漆川様と結んでいただくこの契りは互いを強化するために必要なことです。しかしこの契りはお互いの波長が合っていないと行えないためほとんどの人は行いません。この契りによってお互いの意素同士を干渉させ、そこで反応を起こし意素の力を爆発的に増やします。しかし、波長が合っていないと弱体化、最悪の場合死に至ります。これがほとんどの人が《結びの契り》を行わない理由です。以上でよろしいでしょうか?』

ここまで説明してくれた彼女に感謝の意を述べる

「とても分かりやすい説明でした。ありがとうございました」

感謝を伝えることは今後の動きでつながりを持つ人に好印象を与えるため、今後動きやすくなる。

『では、漆川様を呼びましょうか、あなたの《核武装》を調べるうえで重要なので。』

彼女は立ち上がり俺たちは会議室を出て漆川の部屋に向かう。隣の部屋に行くと制服から動きやすい服装に着替えた漆川がひたすら素振りを行っていた。その動きは無駄がなく、合理性を追求した型になっている。それを瀬里はとめる。

『すみません、少しいいでしょうか。彼の異能力を調べるうえであなたの手伝いが欲しいのです。あと、その恰好はやめていただけると助かります。多分青少年からしたら目に毒ですので。』

確かに漆川は露出が多かった。スポーツブラのような、へそが露出し、谷間がとても強調されているトップスに動きやすいのか伸縮性が高いボトムスが、体にぴっちりと張り付き、そのスレンダーな体形をこれでもかというほど見せつけている。

「わかりました」

——ラノベとかだったら照れる場面なんだろうが、まあ、所詮は現実。そのようなことはないか。だがこのような裏世界という設定はなんだかラノベっぽいな。

くだらないことを考えていると、彼女は別の部屋に入っていった。

一分もすると彼女は普通のジャージを着て戻ってきた。

『では少し模擬戦を行っていただいてもよろしいでしょうか?』

それに対し、おれは一つ質問する。

「俺の攻撃は敵とみなした相手の細胞を壊死させる技があるのですがどうやると回復するのかわかりませんが大丈夫ですか?」

それに対して瀬里は少し顔を驚かせる。

『細胞の壊死ですか。前例にない異能力ですね。なので治療ができるのか怪しいのでそれは使わないでもらえますか?』

当然の判断だと思うが、

「すみません。戦う時点で相手を敵とみなしてしまう可能性があるのですが今回は《核武装》の調査だけにすることにしませんか?」

『わかりました。実戦は後で漆川様の映像を見せてもらうことにしましょう。お願いします』

この前の戦闘で《核武装》の展開のコツはつかんだので、それを再現する意味としてもこの機会を吐かせてもらう。胸の上に揺れる赤い花に意識を集中させ、それが砕け散りそのかけらに覆われる様子をイメージ、

死へ(Dance to)(the)舞え(Death)血燐(ブラッディ)鮮花(リコリス)》』

火が花が咲き誇る赤と黒のコート。手には白い彼岸花があしらわれた、血塗られた短刀。その不吉な名前と格好を前にするが瀬里は特に気にした様子もなく細部まで観察する。しばらく静かな時間が過ぎるがその静寂を破るように瀬里は言葉を発した。

透き(Seek)通れ(Through)硝子解析(グラスアナリシス)》』

ふと見ると瀬里の手には透き通る正二十面体のガラスが握られ、それが白い光を出しながら様々なグラフなどが映っている眼鏡となった。そのデータを手にいつの間にか持ち出したボードに書き留めていく。そこでふと沸いた疑問を尋ねる。

「異能力ってホログラム越しでも使えるんですか?」

それに対して彼女はこう返答した。

『種類によります。私の場合は()()()()人間の異能力や身体能力を数値化するというものです。なので視認すれば例えばカメラ越しでも見ることができます。私は珍しくカメラ越しでも視認しただけで情報を集めるものなので現地に赴くことがほぼないのです。そして先ほど意素は遺伝性であると伝えましたが私は両親が戦闘系であるにもかかわらずそれが遺伝せず、まったく別の系統になったというそのような意味でもまれなケースです』

「ありがとうございます。」

その後しばらく分析が行われ、それは30分ほどで終了した。

『興味深いデータをありがとうございます。今日はこれで終了です。この後の予定は漆川様が把握していると思いますので。』


「凪白ちゃんうちで同じことやらない?」

「うらやまけしからん……」

「ドアのシステムかっけえ!」

と思った人はブックマークをお願いします!

また、↓に☆があるのでこれをタップしてくれるとと評価ポイントが入ります!

この一瞬で消え去るモチベの炎の燃料になるから押してくれると嬉しい!

書き方をこうしたほうがいいんじゃない?など辛辣なコメントもお待ちしてます!(ほめるコメントも大歓迎!)

もう一話投稿するから読んでね!

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