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光り輝く学園生活  作者: とっきー
第一章 光る学園
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【第八話】 魔物の大規模出現 出現開始

「来た道を戻って急いで上に出るぞ!」


 先程までの魔物を模したものは消え、出入口の封鎖を解かれたため四人は急いで来た道を戻り始めた。戻っていると何か違和感を感じたのかミアが口を開いた。


「なんかこの道おかしくない!?」


 来た道を戻っているはずなのだが一向に入ってきた入口が見えないのだ。同じく心配になった玄兎はミアに聞いた。

 

「この迷宮って戻れないような仕掛けがあるの?」

「そんなの聞いたことないわよ! 途中で嫌になって戻ってくる人もいるくらいだし」

「ど、どうするの? もういつ魔物が出てきてもおかしくないよ!」


 クレールが足を止めて考え込んだ。それに合わせるようにして他の三人も足を止めた。

 

「何してんのよ!」

「この道……さっきも見なかったか?」


 玄兎も確かにそれを薄々感じていた。それは他の二人も同じようで、今のクレールの発言により確信に変わったようだ。


「どうすれば……」


 全員が考え込んで数秒経ったとき、迷宮内に男性の声が響いた。


「この迷宮自体に幻覚魔法がかかってます。自分の光を渡すので、それで幻覚魔法を打破してください」


 振り向くと忍者の戦闘服を着た学園生と思しき男性が、既にいのり、クレール、ミアに緑の光を渡し始めていた。


「あの僕には――」

「あなたは自分で使えるでしょう?」


 そう冷たく言い放つ目の前の男性に玄兎は何も言えなくなってしまった。するとミアが玄兎を庇うように言った。


「その言い方は無いんじゃないの?」

「言い争いは好みません。早く魔法を使って迷宮から抜けてください。では自分はこれで」


 そういうと目の前から一瞬で消えてしまった。ミアは腹立っているようで今にも何かを言いだそうとしていた。そして、いのりも顔を膨らませていた。それを宥めるようにクレールが言った。


「ひとまず、彼から貰った力を使わせてもらって早く脱出しよう」


 そういうとクレールの両目が光り出した。そして、いのり、ミア、玄兎も同様にその魔法を使用した。幻覚が解けていくと玄兎達は先程までいた広い空間にいた。


「ここに戻されていたのか……!」

「急いで戻ろう!」


 四人は急いで地下迷宮の外に出た。


 迷宮の外に出ると既に魔物の実体化が始まっており、マジクランタ内を魔物がうろうろしていた。すると足音がしたためそちらに目を向けると、男の子が魔物にバレないように物陰に隠れながら出入口と反対方向に進んでいた。心配になり、四人で魔物に気づかれないように彼の元へと急いだ。


「何をしているんだ、早く逃げるぞ……!」


 クレールが後ろから小さな声をかけた。しかし男の子は首を振った。


「おとうさんがおかあさんとレアを捜しに行ったんだ。ぼくも行かなきゃ」

「レアはお前の妹か?」


 男の子は首を縦に振った。

 

「私たちが捜すからお前は逃げるんだ」

「嫌だ! ぼくが捜すんだ!」


 男の子は頑なだった。今にも泣き出しそうな顔でクレールをにらみつけていた。


「ちょっと! 敵が集まってきたわよ!」


 男の子の声に気付いたのか、魔物が五体ほど集まってきた。玄兎たちは後ろは行き止まり、前は魔物と囲まれており、戦うしかなかった。男の子はクレールの指示で四人の後ろに隠れた。


「やるしかない……!」

「本物の魔物が五体……大丈夫かな……?」

「やらなきゃ死ぬんだからやるしかないのよ」


 魔物たちはじりじりと四人に詰め寄ってきていたが、不思議なことに玄兎は数日前の魔物討伐のときとは違い至って冷静であった。すぐに氷の剣に風を纏わせ戦闘態勢に入った。それに合わせるように他の三人も動き出した。


「いくぞ! テール・グラッセ!」


 クレールは地面を凍らせそのまま魔物の足も拘束した。だがほとんどの魔物は意にも介さずずんずんと歩み寄ってきた。


「スコール・エンタイア!」


 ミアが風の魔法を繰り出し、凍らせた地面の上で魔物を滑らせた。


「カラフル爆弾!」

「飛んでけ!」


 いのりと玄兎が離れていった魔物に向けて魔法を放った。魔物はある程度ダメージを喰らった素振りを見せたものの、再び四人のところへ歩き始めた。それどころか魔物の数は十体ほどまで増えていた。


「このままじゃじり貧よ!」

「他の人が助けに来るまで続けるしかない!」

「それまでもつかな……」

 

 同じことを繰り返し更に魔物が増えた中、玄兎は覚悟を決めたように話し始めた。


「希望を……繋ぐんだ……。ミアさん! 敵を風で集めて!」

「そんな器用なこと出来ないわよ!」


 玄兎がどうにか出来ないかと考えているとクレールが口を開いた。


「何か案があるんだな?」

「うん、今なら……出来る気がする!」


 そういうとクレールはより氷の地面の範囲を広げ、遠方に半円の氷の壁を築いた。


「ミア! 全力で飛ばしてくれ!」

「そんなので上手くいくとは思えないけど……やるしかないか」


 ミアが風で敵を吹き飛ばすと、魔物が氷の上を滑っていきクレールが想定した通りに一箇所に魔物が集まった。


「意外と上手くいったわね」


 そして玄兎は片手を上に掲げ、大きな火の球を作り出した。


「これは……いのり、ミア! 私達も加勢するぞ!」

「うん! 分かった!」

「いのりはともかく、あたしの場合ほとんど致命傷は与えられないけどね……」


 そう言うと各々も魔法の準備を始めた。いのりは頭上に大きな爆弾を、クレールとミアはそれぞれ手に力を溜めていた。


「エクラ・ソレール!」

「どっかん花火!」

「ミトライユー・ア・グラス!」

「ウィンドドリル!」


 火球、爆弾、氷の礫、ドリルのような竜巻は大きな音を出し、氷の壁だけでなく周囲の物や壁を破壊しながら魔物を吹き飛ばした。周囲の魔物は一気に居なくなった。その威力に全員が驚いているといのりが口を開いた。


「こ、今回は弁償させられないよね……?」

「さすがに大丈夫だと思うけど……すごい威力……」


 呆然としていると次にミアが口を開いた。


「さっきの魔法はなんなのよ!」

「えっと……」


 玄兎が困っていることを察したのかクレールが話題を変えた。

 

「……魔物が新しく生まれる前にここら辺を探しきるぞ」


 男の子と共に家族の捜索を始めた。

次回の更新は5/15(水)の予定です。

感想やアドバイス、疑問点をくれると凄く嬉しいです。

考察とかも大歓迎です。

頭を空っぽにして読むのも大歓迎です。

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