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光り輝く学園生活  作者: とっきー
第一章 光る学園
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【第七話】 光り輝く学園

 複合施設マジクランタの地下迷宮の待機列に並んでいるとクレールも合流してきた。


「全く……。急に呼び出すもんじゃないぞ、ミア」

「いいじゃない。いのりっていう問題児を間近で見張れるんだから」

「問題児じゃないもん! そうだよね? 玄兎くん?」

「うん、まぁ、今のところは……」


 三人がわぁわぁ言い始め、玄兎が宥めるというのを何回か繰り返しているとやがて順番が回ってきた。地下迷宮の中はほとんど洞窟のようなものであり、足場と明かりが整備されてるだけであった。


「ここでの目的はもちろん出口に到達することなんだけど、道中色んな仕掛けがあるから気を付けなさいよ。特に私たちは魔法使い専用ルートだから容赦ないわよ」


 そうミアが話していると、早速3つの分かれ道が現れた。それぞれの入口に近付くと左側のルートには赤い文字で400、真っ直ぐのルートには緑の文字で400、右側のルートには緑の文字で400と浮かび上がった。


「赤、緑、青の数字……魔力値か?」

「去年も同じものがあったけど、そうだったわよ。そこにいる人の合計が超えていればいいみたい」

「ふむ、じゃあ計算するか。いのりはR値の計算を、ミアはG値の計算を頼むぞ」


 二人は了承し、頷いた。玄兎は黙っていた。力になれないことを悟っていたからだ。


「あたしはR33、G139、B147よ」

「私は全部100くらいだよ」

「私はR181、G60、B79だ。松雪、お前はいくつなんだ?」


 玄兎は申し訳なさそうな顔をして、絞り出すような声で話した。

 

「……ぜろ」

「0って珍しいわね。っていうか初めて聞いたかも」

「私も」

 

 意外にも皆驚かないな、と玄兎が思っているとクレールは質問を続けた。

 

「ふむ、私も0とは初めて聞いたな。G値とB値は?」


 勘違いしてるだけであった。より情けなくなって、玄兎はさらに小さな声で呟いた。


「……全部ゼロです」


 三人とも聞き間違えたのではないかと思ったのか、もう一度聞いてきた。なので玄兎は次ははっきりと言った。


「RGB、どれも0です」


 クレールとミアもかなり驚いていたが、いのりが最も驚いていた。


「えっ! この前会長と特殊作戦隊の隊長と一緒にいたからてっきり凄い魔法使いだと思ったよ!」

「いや、これはこれで凄い魔法使いじゃない?」


 となると当然気になるのが魔法を使えるのかどうかである。クレールも気になったようで聞いてきた。

 

「松雪、お前は魔法を使えるのか?」

「うん、人の魔法を真似するのだけはできるよ」

「ほう、それは変わった能力だな」

「え、それって結構すごくない!?」


 玄兎は翔真から魔法のコピーに関して言っていいという許しが出たため三人に話した。いのりとクレールは感心をしていた一方で、ミアは何かを思いついたのか不敵な笑みを浮かべて言ってきた。


「あんたってさ、まだ会長と話す機会あったりする?」

「おいミア。あまり松雪を困らせるなよ」

「そんな大変なことは頼まないって。さーて! この迷宮で絶対に何か発見するわよ!」


 そう言うとミアは最初以上に張り切りだした。しかし、すぐに表情が怪訝な顔になった。


「……ねぇいのり。R値の合計いくつだった?」

「大体300だったよ」


 ミアの顔が引きつりだす。

 

「……クレール、B値は?」

「326だ」


 ミアは少し考えた後、叫んだ。

 

「……足りないじゃないの!」


 ミアの声が迷宮中に響き渡った。ミア曰く、数値未満のところに入ると迷宮ギミックとは名ばかりの訓練をさせられるらしく、四人で話し合ったのちに、三つのルートで(玄兎抜きの)多数決を行った結果、左側の赤のルートに進むことになった。


 赤のルートに早速足を踏み入れると広い空間が広がっており四人全員が入り終わると、全ての通路が塞がれた。そして、五体の魔物……を模したものが現れた。人を模した魔物が一体、大きな鳥のような魔物が二体、ミノタウロスのような魔物が二体現れた。四人は戦闘服にすぐに着替え臨戦態勢に入った。


「はぁ……めんどくさ。なんで学園祭の日にこんなことやんなきゃいけないのよ~」

「巻き込まれた私の気持ちを考えるがいい」

「私もほとんど巻き込まれたようなもんだよ」


 「僕もだよ」と言いたい玄兎であったが、半分は自分のせいであったため言うことをためらった。


「ミア、後方支援を頼む。いのりは後ろから攻撃しながら適宜支援してくれ。松雪は私の魔法を真似て共に前線で戦ってくれ」


 そう言うとクレールは氷の魔法でフェンシングに使われるようなフルーレ剣を作り上げた。そしてミアはクレールが作り上げた剣の周囲を風の魔法で囲み上げた。玄兎はそれらを真似て風を纏った氷の剣を作って見せた。


「あんたの能力って結構チートじゃない?」

「私たちひょっとして要らなくなるんじゃ……」

「その話は後だ、いくぞ! グレロン・ド・グラス!」


 そう言うと、クレールは氷の剣をその場で振った。するとミアが纏った風に乗り氷の礫が魔物の方へランダムに飛んでいった。同様に玄兎も剣を振り氷の礫を飛ばした。人のような魔物は手から炎を噴射して対抗し、鳥型の魔物、ミノタウロスの魔物はそれぞれ回避した。それに合わせるように、ミアといのりが後方から魔法を繰り出した。


「いのり! 私に合わせて!」

「うん! 任せて!」

「エアロカーゴ!」

「カラフル爆弾!」

 

 ミアが風の魔法を繰り出し、それに乗せてハート型や星型などカラフルで多様な物体をいのりが繰り出した。そしてそれが相手の噴射している炎にぶつかると大きな爆発を起こした。鳥型の魔物が翼をばたつかせ、煙を払おうとした。


「松雪、あの鳥に向かってさっきのをもう一度だ! 私は左を狙う! そして相手の懐に潜り込むぞ!」


 そう言って氷の礫をもう一度飛ばすと、クレールと玄兎は爆風の中へ突っ込んでいき、クレールが剣に纏っていた風で爆風を吹き飛ばした。そしてクレールは人のような魔物の元へ、玄兎はミノタウロスの魔物の元へいった。ミアが風の魔法で鳥型の魔物二匹を押しとどめ、いのりがもう一体のミノタウロスにひたすら爆弾を投げ込み足止めをしていた。


 すると突然地面が光りだした。


「え、えぇ? この施設魔物が生み出すところまで再現するの?」

「これ以上増えるのはさすがにきついな」

「そんな機能無かったはずだけど……」

 

 すると突然、大きなアラームが鳴った。


「違う……これは!」


『魔物の大規模出現を確認。魔物の大規模出現を確認。範囲は食堂を中心とした学園すべて。実体化は30~60秒後と予想。直ちにルミナリングの範囲外、またはシェルターへ避難してください。繰り返します――』


 学園中に校内放送が鳴り響いた――。

次回の更新は5/14(火)の予定です。

感想やアドバイス、疑問点をくれると凄く嬉しいです。

考察とかも大歓迎です。

頭を空っぽにして読むのも大歓迎です。

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