表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
光り輝く学園生活  作者: とっきー
第四章 星々の戦い
44/47

【第九話】 要塞攻防戦一日目 vs.ラッシュ

「あ、あわわわわ……噂は本当だったんですかぁ!? 松雪さん、一体何をしたんですかぁ!?」

「いや僕にも分からないです!」


 クララのあまりの驚きっぷりに玄兎も思わず大きな声で答えてしまった。


「おい、貴様。俺の要望はただ一つだ。俺と戦え」

「えぇ?」


 玄兎は一体なぜ自分が執着されているのか理解が出来なかった。


「だちこー、なにしたの?」

「何もしてないんだけど……」


 リュカにまで心配され、玄兎は身に一切覚えが無いものの、何かしてしまったのでは無いかと脳みそをフル回転させた。


「返事はまだか? やらないというのなら核を壊す」

「はは、まっさか〜……」


 冗談だと思いラッシュの顔を見たがその目は本気だった。


「えっと……あの、戦う前に一つ聞いていいですか?」

「それは戦うという意志で良いんだな?」

「……はい……」


 玄兎はラッシュの気迫に押され、戦うという選択を半ば無理やり選ばされた。


「構えろ」

「えっ――? あぶっ!?」


 ラッシュは物凄い勢いで玄兎との間合いを詰め、その拳を振り抜いた。その拳は玄兎の眼前でピタリと止まり、クララとリュカ、そして玄兎は驚きのあまり体をビクつかせた一方、赤熊は表情こそ驚いていたものの、体はビクともしていなかった。


「反応が遅い」


 ラッシュはつまらなそうに言い放った。玄兎は目の前の拳に気圧され、呼吸をするのが精一杯だった。


「だが、くくっ……そうか。良いことを思い付いたぞ」


 ラッシュは何かを思い付いたように笑い出し、拳を振り下ろした。


「おい、そこの女」

「なんですか?」


 ラッシュは玄兎の隣に立つ赤熊に話しかけた。


「貴様も混ざれ」

「はあ。断る選択肢は無さそうですね」


 赤熊は呆れたようにため息をついた。

 

「よく分かってるじゃないか」


 対照的にラッシュは満足気に笑っていた。


「貴様ら二人、戦わないのなら邪魔だ。ここをどけ。戦うというなら――」

「滅相もないですぅ! 失礼しますぅぅぅ!」

「え、ぼくまで!?」


 ラッシュの凄みに押され、クララはリュカを連れて大慌てで離れていった。ラッシュも玄兎、赤熊から再びを距離を取り、構えた。


「貴様」

「はい、何でしょう!」


 玄兎はラッシュの呼びかけに、背筋を伸ばし返事をした。


「俺が戦う理由はただ一つだ。強者との暇つぶしだ。いくぞっ!」


 玄兎は自分がなぜ強者認定されているのかを聞きたかったが、もはやそんな猶予は残されていなかった。ラッシュは先程以上のスピードで玄兎に向かって一直線に迫ってきた。だが、その拳の一振りは玄兎から大きくそれた。


「幻覚魔法か……くくくっ! 良いぞ! 面白い!!」


 ラッシュは標的を玄兎ではなく、赤熊へと切り替え、赤熊へと迫り、赤熊に向かって拳を振り抜いた。赤熊はさらりと躱したものの、表情は完全に戸惑っていた。


「なぜ見えて……」


 玄兎には分からなかったが、赤熊はラッシュに幻覚魔法をかけ、自分の姿を消していた。


「もっと愉しませろっ!!」

「いけ、鎖!」


 玄兎はラッシュが赤熊に追撃しようとしたところを、小田切の魔法、鎖を用いて止めた。


「ふむ」


 だが一瞬でラッシュは鎖による拘束を解除した。


「幽閉の月霞!」

 

 その一瞬をつき、赤熊はラッシュを靄のようなもので包み込んだ。


「松雪さん、攻撃を」

「はい! ――エクラ・ソレール!」


 玄兎はラッシュを覆う靄目掛けて攻撃を仕掛けた。だがそれに合わせてラッシュはこちらに向かって走り出した。


「月翔の擾乱!」


 赤熊は予期していたかのようにすぐに魔法を繰り出した。するとラッシュの勢いは突如加速した。ラッシュは急激に速くなったためか、バランスを崩した――のは一瞬だった。


「ぬるい」

「――っ!」

「松雪さん!」


 すぐに態勢を立て直すと、むしろその勢いを利用して思い切り玄兎を殴り飛ばした。


「立て」


 ラッシュは倒れ込む玄兎の目の前に立ちはだかって冷たく言い放った。玄兎はなんとか立ち上がると、ラッシュは攻撃することなく、話を続けた。


「俺が今使っている魔法をコピーしろ」


 玄兎は、なぜラッシュが自分の魔法のことを知っているのか気になったが、それ以上に何をコピーすれば良いのか分からなかった。


「うーん、と……えい!」


 とにかく意識を集中させると、今まで使ったことが無いような魔法のイメージが浮かび上がった。そのイメージのまま体を動かすと、玄兎は体が軽くなるのと同時に力が湧いてくるのを感じた。


「くく、くくくっ……! やはりか……! おい、女!」

「何ですか?」


 ラッシュは今までで一番機嫌が良さそうに赤熊に話しかけた。


「貴様は後だ。邪魔が入らないように見ておけ」

「はぁ……。好き勝手言ってくれますね」


 赤熊は文句を言いつつもその場を離れた。


「さぁ……全てを使い俺を倒してみろっ!」


 ラッシュは先ほどの魔法を何重にもかけた。玄兎も真似してかけようとした――


「うっ……」


 が、3重にかけたところで体が悲鳴を上げたため、慌てて2重に戻した。


「はぁっ!」


 そんなことはお構い無しにラッシュは先程以上のスピードで玄兎を殴り飛ばそうとした。だが体が今まで以上に軽くなった玄兎はなんとかその攻撃を後ろに跳ねて躱した。


「ふぅっ!」


 だが容赦なく襲いかかる連撃を玄兎は何とか躱し続けるものの、防戦一方となり、中々攻撃に転じることが出来なかった。


「あ、そうか!」


 このまま躱し続けていても埒が明かないと考えた玄兎は、雅人の魔法で空へと飛び立った。


「なんとか! ど! 水鏡!」


 そして玄兎は空からレミーの魔法でラッシュを水の渦へと閉じ込めた。そしてそこへ矢継ぎ早に様々な魔法を送り込んだ。


 ――ゴーーーーッッ!!


「えっ!?」


 だが、少し経つと水の渦は突如大きな竜巻へと変わり、その竜巻は玄兎をも呑み込んだ。


「~っ! ……ウィンド、ドリル!」


 玄兎は竜巻に巻き込まれながらも、竜巻の中心地に立つラッシュ目掛けて魔法を放った。ラッシュは竜巻を即座に解除し、玄兎の攻撃を躱した。一方で玄兎は慣性により、地面と平行に投げ出され、そのまま地面へと墜落した。だがラッシュの魔法のお陰か、不思議と痛みは無かった。


「くっはっはっはっ! 良いぞっ! もっと! もっとだっ!」


 いつの間にかラッシュの全身は物凄い風で覆われ、ラッシュからは常に強い向かい風が飛んできているため、容易に近付くことが出来なかった。


「それなら……! まれでぃ……毒!」


 玄兎はバスティアンのマレディクション・デュ・ブリュムを繰り出した。


「隙だらけだっ!」


 だが、毒霧がラッシュの足下に発生するよりも早く、ラッシュは玄兎に殴りかからんと迫ってきた。


「いっ――!」


 ラッシュは風圧を利用して後ろに下がろうとする玄兎を後ろから風で押し込み、挟み撃ちにした。そうしてガードをする間もなく、玄兎は二度目の攻撃をまともに喰らってしまい、痛みのあまり動けなくなった。


「……貴様一人ではこんなものか。つまらん」 


 ラッシュはうずくまる玄兎を見下し、冷たく言い放つと踵を返した。


「次はあの女と――」


 ――ヒュン!


 ラッシュの目の前を毒々しい見た目の矢が通過した。


「……くくっ……今回参加したのは間違いじゃなかったようだな……! バスティアンッ!」

「はぁ……なんでこんなことに……」


 木の裏にはボウガンを持ったバスティアンが立っていた。玄兎は逃げたかったものの、痛みのあまり黙って見ていることしか出来なかった。


「大体君が参加するなんてどういう風の吹き回しだい? 松雪くんと戦いたいなんて言ってるらしいが……あの噂は嘘なんだろう?」

「俺に勝ったら教えてやる。行くぞっ!」


 ラッシュはバスティアンの質問に答えることなく、すぐに戦闘態勢を整えた。

 

「全く……俺は人との戦いは嫌いだって言ってるだろう?」

「知ったことかっ!」


 ラッシュは容赦なくバスティアンに詰め寄り殴りかかろうとした。


「ヴァーグ・コロジーヴ!」 


 だがバスティアンは難なく躱し、風を纏うラッシュに向けて毒の液体を大量に放出した。


「だが俺は人に負けるのはもっと嫌いなんだ」 

「くははっ! 良いぞっ! 俺が求めていたのはこれだっ!」


 ラッシュは先程よりもより強力な風圧を作り出した。玄兎にはもはや目を開けることすら難しくなっていた。


「松雪さん、急いでここを離れますよ」

「え?」


 玄兎はいつの間にか後ろに立つ赤熊に引っ張られ、森の中へと入り込んだ。

次回の更新は9/3(水)の予定です。

感想やアドバイス、疑問点をくれると凄く嬉しいです。

考察とかも大歓迎です。

頭を空っぽにして読むのも大歓迎です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ