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光り輝く学園生活  作者: とっきー
第四章 星々の戦い
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【第二話】 虫喰む花のそばで

ジョナサンの発言に対して大宮は飄々と答えた。


「ただプライベートで来ただけですよ。学園の皆さんには祭りに来て頂いてますし、こちらもこうして顔を出そうと思いましてね」

「なるほど。急に今年から来たくなった、と」


 ジョナサンは含みを持たせるように冷たく言い放った。


「他に聞きたいことはありますか? なんでもお答えしますよ」

「それは良い。是非お話を聞かせて頂きましょうか」


 玄兎は自分が場違いであることは感じており、逃げ出したい気持ちとなっていた。


「松雪くん……であってるかな? ここまで案内ありがとう。あとはこの男に案内を頼むから行っていいですよ」

「は、はい。それでは」


 松雪は逃げるようにその場をそそくさと離れ、馬木を探すのを再開することにした。その際、ジョナサンは一切玄兎の方を見ることはなく、ただまっすぐ大宮を睨んでいた。


 マジクランタ前の駐車場へと着くと、花壇の手入れをしていたカトリーヌが玄兎に話しかけてきた。


「玄兎くんじゃない? 久しぶりねぇ〜」

「カトリーヌさん、お久しぶりです」


 玄兎は軽く返事を返すと、カトリーヌは玄兎の顔をじっと見つめた。

 

「……あらぁ? そんな疲れた顔して何かあったの?」 


 玄兎は自分自身では気付いていなかったが、先程の気疲れと雅人に付き合わされた疲れが顔に出ていた。


「まぁ……色々あって」

「あんまり抱え込んじゃいけないわよぉ? 困ったらいつでも頼ってちょうだいね」


 カトリーヌは真剣な顔つきで玄兎に言った。それならばと玄兎は馬木のことを聞くことにした。


「あの、カトリーヌさん。馬木くん……って分かります?」

「あ〜、あの元気で礼儀正しい子ね〜。分かるわよ」


 馬木が礼儀正しいという評価というのは予想外だったが、玄兎は突っ込まず話を進めることにした。

 

「今日馬木くんをどっかで見ませんでした?」

「見てないわねぇ。捜してるの?」 

「あぁ、いえ。それなら良いんです」


 馬木を捜してはいるものの、大事にするのも違う気がしたため、玄兎は誤魔化すことにした。

 

「そう? ……これから遊び? 呼び止めちゃってごめんなさいね。楽しんできてね〜」

「いえいえ、情報ありがとうございました!」


 カトリーヌは気を遣ったのか深く追求することはなかった。玄兎はカトリーヌと別れ、そのままマジクランタ入り口へと向かった。


「あれは……馬木くん?」


 玄兎はマジクランタ内で曲がり角へと消える馬木を見つけた。早歩きで駆け付け、同じ所で曲がったが、馬木は見つからなかった。ただマジクランタ内にいることが分かったため、パピヨンへ連絡することにした。


『もしもし? どうした?』

「姉御。馬木くんをマジクランタ内で見かけました。見失っちゃいましたけど……」

『そうか、助かったよ。場所が分かれば安心だ。あとは私たちに任せてくれ。ありがとな』


 パピヨンとの電話が切れた。玄兎は特にその後やることも思い付かなかったため、軽食を食べた後、自分の寮へと戻ることにした。


「あらぁ? もう遊び終わったの〜?」


 帰り道、まだ花壇の手入れをしていたカトリーヌと遭遇した。


「はい、後は家でだらだらしようかと」

「だったら〜……」


 カトリーヌはニコニコしながら玄兎に近付いてきて玄兎の手を引っ張った。


「え? 何ですか?」

「はいこれ。手伝ってもらおうかしら〜、うふふ」


 玄兎は土で汚れた軍手を手渡された。


「いのりちゃんもよく手伝ってくれてるし、助っ人部は優しい子ばかりで助かるわ〜」


 何でもお助け助っ人部は二人しかいない上に、玄兎は自主的ではなく半強制的だったが、反抗する気にもならなかったため、玄兎は大人しく手伝うことにした。


「こうしてね、土を弄って花を見ていると嫌なことも忘れられる気がしない?」

「確かに……。それになんだか懐かしい気持ちになりますね」


 玄兎に花の世話をした記憶は微塵もなかったが、不思議と懐かしい気持ちを感じていた。

 

「でしょ〜? 玄兎くんが分かってくれて嬉しいわ~」


 カトリーヌはニコニコしながら、なんらかの幼虫を掴み潰していた。


「……よく平気で触れますね」

「いのりちゃんもよくやってるわよ〜。もしかして……玄兎くん虫が苦手なの〜? ほら〜、何も怖くないわよ〜」


 カトリーヌはもう一匹摘み上げ、玄兎に渡そうとした。

 

「無理です! 絶対無理です!」

「も〜、玄兎くん、そんなんじゃダメよ〜?」

「そうだよ! ダメだよ、玄兎くん!」


 後ろを向くと、いのりとミア、そしてクレールが立っていた。


「あらぁ、三人とも、こんにちは」

「こんにちは!」


 三人が挨拶を済ませるや否やいのりは素手でカトリーヌの持つ幼虫を掴み、玄兎に見せびらかした。


「ほらほら玄兎くん! 大丈夫だよ!」

「大丈夫じゃないよ!」

「え〜! あっ! みーちゃん、くーちゃん! 見て見て!」


 いのりが振り向くと、ミアとクレールはそこには居らず、二人はいつの間にかいのりから距離を取っていた。いのりが二人に近付き、虫を見せようとすると、二人は必死で制止した。

 

「やめろ! 近付くな!」

「早くその虫を離しなさい!」

「え〜……この子は可愛いのに……」

「可愛い!?」


 いのりの思いも寄らない発言に玄兎は思わず反応してしまった。それを聞いたいのりは嬉しそうに玄兎の顔に幼虫を近付けた。


「ほらほら玄兎くん、よく見て! よーく見ると顔とか可愛くない?」

「う〜、近付けないで〜!」

「うふふ。でも害虫だからちゃんと潰さなきゃダメよ〜」

「はーい!」


 いのりは可愛いと言っていたのに、容赦なく地面に落とし花壇の石を拾い上げすり潰した。


「これで良し、と!」


 いのりは石を元に戻し、手を叩いた。


「ねぇねぇ、玄兎くん。これから一緒にプリ機行こうよ!」


 いのりは突拍子もなく、玄兎を遊びに誘った。玄兎は正直興味が無かったため、断ることにした。


「いや、まだカトリーヌさんの手伝いが残ってるし……僕は遠慮するよ」

「も〜玄兎くん、女の子の誘いをそう簡単に断っちゃダメよ〜? 行ってきなさい。ねぇ? いのりちゃん?」

「そうだよ〜……一生懸命おしゃれしたんだから!」


 いのりは制服を着ており、はっきり言って今までと何が違うのか玄兎には分からなかった。


「……はぁ」

「あー、こりゃ松雪分かってないわ」

「うん? どこか変わったのか?」

「あんたも大概ね……」


 玄兎だけでなく、クレールもどこが変わったのか分かっていなかった。


「じゃあ10秒以内に当てられたら今日は勘弁してあげよう! さぁ、どこでしょう! 10、9、8」


 カウントダウンが始まった。


「え〜……髪を切った! 髪を染めた! 髪型を変えた! 髪になんかつけた! 髪に……」

「もうアウトだよ!」


 玄兎がテキトーに答えたからか、いのりは頬を膨らませ怒っていた。髪以外の変化に頭が回っていない玄兎は他にどんな髪の変化があるのか真剣に考え込んでいた。


「む〜……」

「こらこら玄兎くん。女の子を怒らせちゃダメよ〜?」

「そうは言ったって……」


 いのりを見ると、いのりはじっと玄兎を睨みつけていた。


「あ、あの〜……ごめん。付いて行くし、なんか奢るから許して……」

「そんなのじゃ許さない! 気付くまでこうする!」


 いのりは宣言通り玄兎をじっと見つめたまま動かなかった。


「うふふ。玄兎くん、頑張るのよ」

「松雪〜、早くしてくんない? あんた待ち」

「えぇ!」


 変化が分からない以上、おしゃれに関して疎い玄兎に当てることはほぼ不可能に近かった。そしてそれはクレールも同様で、真剣に考え込んでいた。

 

「……ミア、私に教えてくれ。どこが変わったんだ?」

「……あんたも参加しなさい」


 玄兎とクレールの無謀な挑戦が始まるかと思いきや、二人の助け舟かのようにクレールの電話が鳴った。


「今日は電話が多いわね」

「部長? どうされました? ……ちょうど目の前です。私が対応します。……はい、任せて下さい」


 クレールは突如真面目な顔つきになり、電話を切った。


「なんかあった?」

「マジクランタで不審な動きをする人物がいたらしくてな。仕事が終わったら連絡する。また後でな」


 そう言ってクレールはマジクランタへと向かっていった。


「あらあら、大変ね~」

「クレールさん、大丈夫かな?」

「あんたは人の心配するより早くいのりの機嫌を直した方が良いわよ」


 いのりはまだ玄兎のことをじっと見つめ動いていなかった。

 

「あの〜、プリ機? には付いてくからさ……。もう許して……」

「嫌だ! 絶対当ててもらう!」


 玄兎の挑戦はまだ終わっていなかった。

次回の更新は8/27(水)の予定です。

感想やアドバイス、疑問点をくれると凄く嬉しいです。

考察とかも大歓迎です。

頭を空っぽにして読むのも大歓迎です。

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