【第三話】 学園不思議研究部会
「それでは学園不思議研究部会を始めます、よろしくお願いします」
弱々しい声で喋る女性は学園不思議研究部長である。
「本日はゲストをお招きしております。自己紹介をどうぞ」
促されるまま、三人は自己紹介をした。
「ミアさんのお友達であり、あの日地下迷宮にいたということでお呼びしました。私の名前はセリーヌです、どうぞよろしくお願いします」
「よろしくお願いします」
挨拶を済ますと、セリーヌは本題へと入った。
「本日のお題は『誰が地下迷宮に魔法をかけたのか』です。ではまずあらましを……せっかくですので、ミアさん、お願いします」
「え、あ、はい!」
ミアは自分に振られることは想定外だったのか少し慌てていたが、すぐに落ち着きを取り戻し話し始めた。
「あの日、あたしたちは地下迷宮に入っていました。そして魔物との模擬戦を終えたその時です! 地面が突如光りだしたのです!」
仰々しく話すミアに対し、いのりと部員たちは大きなリアクションを取りながら話を聴いていた。それに困惑した玄兎であったが、クレールも同じようで二人は顔を見合わせ苦笑いした。
「慌てるあたしたち。急いで来た道を戻り、入口を目指したのですが、なんということでしょう! いつの間にか元の場所に戻っているではありませんか! どうしようかと右往左往しているあたしたちになんと救世主が現れたのです! なんと忍者姿の生徒が現れあたしたちを助けてくれたのです! そうしてあたしたちは無事地下迷宮を抜けましたとさ。……とこれがことのあらましです」
拍手が巻き起こった。玄兎も周りに合わせとりあえず拍手をした。拍手が収まると部員の一人が発言をした。
「う~ん、俺はその忍者が怪しいと思うな。まるで図ったかのように現れるのおかしくないか?」
「確かに!」
「私も怪しいと思うわ!」
部員は次々にその意見を肯定した。玄兎は怪しいとまでは思わないが、言われてみると、確かに不思議であるように感じた。地下迷宮であんな早いタイミングでいかに自分たちを発見したのか、それが不思議だった。
「その忍者の正体は!?」
忍者の正体探しが始まったが、セリーヌは冷静に諭した。
「皆さん、落ち着いて下さい。その忍者の正体が誰であれ、迷宮に魔法をかける理由はあるのでしょうか?」
「ん~? 確かに……?」
部員たちが考え込んだところでミアが発言した。
「あるかもしれません」
「というと?」
「学園祭にはマギフォビアンらしき人物がいたそうです。もしかしたら他にも居てそのうちの一人なのでは? 魔法使いを迷宮に閉じ込める、みたいな」
玄兎は勝手にあの忍者姿の男が学園生だと思っていたが、その可能性もあるのかと考えた。しかし、いくつか気になることがあるため、発言した。
「でも、あの人魔法使いだし、何より僕たちを助けてくれたよね? マギフォビアンの人がそんなことするかなぁ?」
「確かに?」
これに対して部員の一人が食い下がるように発言した。
「あれだろ、連中から金貰ったけど良心に苛まれたんだろ」
この発言により、部員たちの議論がやや過熱し始めた。
「う~ん、そんな悪いことをするような人には思えないけど……」
玄兎が小さく呟くといのりとクレールが同情した。
「性格は悪そうだったけど、そこまでするような人じゃなさそうだったよね」
「あぁ、私もそう思うな。口調が強い面はあったが」
部員たちの議論が続いている中でセリーヌが皆を静止し発言した。
「二つ、私から良いでしょうか?」
セリーヌはゆったりと話し始めた。
「一つ、もし彼がマギフォビアンの一派で、幻覚の魔法で魔法使いを苦しめるつもりだったならあまりにタイミングが良すぎませんか? 大規模出現のタイミングはどう分かったのでしょう?」
部員たちは考え込んだ。そして一人またも食い下がるように答えた。
「いや、そこに魔法使いを閉じ込めることだけが目的だったんじゃ?」
「地下迷宮である必要性がないと思いませんか? 魔法使いを閉じ込めたいだけなら教室でも良いですしね」
弱々しい声とは裏腹に強気に発言するセリーヌに玄兎はびっくりしていた。
「さて、何より今から話す二つ目が重要です。折角ですので……ゲストの御三方にお聞きしましょうか」
「はい! なんでもどうぞ!」
いのりはワクワクしながら応えた。
「学園七不思議その1.増える地下迷宮の仕掛けっていつから存在してるかご存知ですか?」
「知りません!」
いのりは考える素振りを見せることなく即座に答えた。一方でクレールは少し間が空いた後に答えた。
「100年前から、とかですか?」
「松雪さんはどう思いますか?」
セリーヌに聞かれた玄兎はクレールより短めに答えることにした。
「50年前位からですかね?」
「お二人とも不正解です。霧山さんが惜しかったですね」
「やったあ!」
知りませんと言い切ったいのりが正解に近いのがやや不服であったが、玄兎はそれを知るためにもセリーヌの話を聞くことにした。
「えっと、どういうことですか?」
「正解は……分からないです」
「えっと……?」
いのり、玄兎、クレールは頭に?マークが大量に浮かんでいた。それを補足するようにミアが説明した。
「昔すぎて正確に分からないのよ。この学園が出来てもう500年以上、地下迷宮は学園創設初期からあったみたいだし……」
「そういうことです。ですが、大昔からあったことは事実です。ともすると、その忍者の彼が学園七不思議に関わっているというのはいささかおかしい気がしませんか?」
玄兎からすると今回の件が学園七不思議に関係していると結論付けている方がおかしい気がするが、学園七不思議研究部とはそういうものかと無理やり納得した。
「う~ん……そうするとやっぱり生徒会が怪しい気がしちゃうのよねぇ……」
「えぇ、私もそう思います。それだけで結構辻褄が合いますからね」
ミアの発言にセリーヌが同意した。玄兎はなぜ生徒会が怪しいのか聞くことにした。
「何故生徒会が怪しいんです?」
これに補足するようにクレールも質問をした。
「やはりあの迷宮を管理しているが生徒会だからですか?」
「そうです。地下迷宮の仕掛けの変化は不定期ではなく定期的、それも数年おきに起きていますからね。今回は例年に比べて規模が壮大でしたが……」
「そういうこと!」
ミアが突然上擦った声でそう言うと玄兎の方を見た。玄兎は何か嫌な予感がした。
「だから松雪! あんたに生徒会の調査を頼むわ!」
出会った時からやけに生徒会に固執していた理由が分かった玄兎であったが面倒くさいので断ることにした。
「いや、やんない――」
「任せたよ! 玄兎くん!」
いのりが念押しするように言ったのを皮切りに他の部員も次々と期待をかけてきた。
「その……なんだ、無理するなよ、松雪」
隣に座ったクレールは呆れるように玄兎に声をかけた。
次回の更新は5/22(木)の予定です。
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