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光り輝く学園生活  作者: とっきー
第一章 光る学園
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【第三話】 松雪玄兎という魔法使い

「授業はどうだった?」

「ひゃい!」


 西門前に立っていた翔真が話しかけてきた。その様子から察したのか翔真は心配そうな顔で言う。


「……その様子だとまともに受けられなかったようだな」 

「魔物討伐なんてしたくないですよぉ……。死んじゃいますよぉ……」

「なに、恐れることはない。俺たちが戦うのは弱い魔物だからな」


 今まで魔法使いではなかった玄兎からすれば魔物に弱いも強いもないのである。玄兎は魔法を使えるかすら不明であり、それが不安に拍車をかけていた。


「さて、ではそろそろ戦闘服に着替えて出発しようか。お前の戦闘服がどんな感じになるか楽しみだな」

「うぅ……、そんな転校して初日じゃなくても……」


 そんな言葉は意にも介さず翔真はデバイスを取り出し早速戦闘服に切り替えた。一瞬光に包まれ、翔真の制服は瞬く間に戦闘服へと切り替わった。翔真の戦闘服は白を基調としており、服には金色のラインが、そして背中には深紅のマントをつけていた。玄兎はそのカッコよさ、そして威厳に見惚れ先程までの恐怖や不安は一瞬で消え去った。


「か、かっこいい……」

「そうか? ありがとう。今となっては皆見慣れているから新鮮な反応が貰えて嬉しいな」

 

 そしてすっかり気分の上がった玄兎はデバイスを取り出し、早速戦闘服に切り替え始めた。


「へーんしん!」

「はっはっはっ! そんなことを言うやつは久々に見たな。……ほう。それが戦闘服か。カッコよくていいじゃないか」


 玄兎の戦闘服は、黒いローブに黒いズボン。所々に赤、緑、青の装飾が施されたシックなデザインとなった。玄兎は思った以上に自分の戦闘服が魔法使いっぽかったため更に気分が上がり、魔物討伐に意欲的になっていた。


「おぉ、これが僕の戦闘服……! さぁ、討伐に行きましょう!」

「ふふ。急にやる気になったな。いいぞ。早速向かうとするか」


 二人は学園を出発し山を下り木々が生い茂る樹海へと入っていった。


 


 少し歩くと樹海の中とは思えない程明るい場所に到着した。その中央には斧を持った人型の光り輝く魔物がいた。玄兎たちに気付いている様子はなく、のそのそと練り歩いていた。


「あれが今回の討伐対象だ」

「ひっ! やっぱり無理です! 退散です!」

「まぁ、待て」


 逃げようとする玄兎の手を翔馬が掴んだ。


「あいつはこっちに気付いていない。色々試してみよう。まず……魔法の使い方は分かるか?」


 玄兎は翔馬の顔を見て落ち着きを取り戻しつつあったが、後ろに見える魔物にまだ恐怖を感じていた。

 

「えっと……」

「安心しろ。お前のことは何があっても俺が守る」

「……ちょっと待ってくださいね」


 玄兎は急いでデバイスを取り出し、魔法の使い方について確認した。


【R(赤)値:高→攻撃魔法の威力:高

 G(緑)値:高→補助・回復魔法の威力:高

 B(青)値:高→妨害魔法の威力:高

 

 覚醒したものは、共鳴石が近くにあることで魔法を使用することが出来るようになる。(共鳴石はデバイスに付属済み)共鳴石でなぜ魔法を使えるようになるかは未だに不明。(中略)魔物は光で構成されており、魔力もまた光で構成される。魔物は地面から生まれる。生まれる前には数十秒間その場所が光る(通称:ルミナリング)ため、見つけた場合即座に逃げること】


「つまり既に使える状態というわけですね。……で、どうやって使うんですか?」

「こう……体の内からドーンと出す感じだ」


 翔真が身振り手振りで教えてくれたため、玄兎はとりあえず翔真の真似をしたが何も起こらなかった。翔真は少し考え込んだあと、思い出したかのようにポケットから一枚の紙を取り出した。


「なるほど、その手があったか。玄兎、今から俺の緑の魔力値を少し渡す。それで魔法が使えるか試してみてくれ」

「光を渡すって、そんなこと出来るんですか?」

「一部の魔法使いだけだがな。さて早速やってみよう」


 翔真の体が淡い緑の光に包まれ、その光は次第に玄兎の周りを包み込んだ。すると玄兎の頭にいくつか魔法のイメージが浮かび上がった。そのうちの一つのイメージのまま自然と体を動かすと生徒会長を炎のような障壁が包み込んだ。


「これが……魔法……」

「なるほど。通常の魔法は一人じゃやはり使えないか。後は特殊魔法だが、こればっかりは確認のしようがないからな」


 翔真は少し残念そうな顔をしていた一方で玄兎は高揚していた。他人の力を借りたとはいえ魔法を使えたということが何より嬉しかったからだ。こうなると当然使いたくなるのが派手な攻撃魔法だ。玄兎は会長に赤の光を貰おうと考えた。

 

「会長! 攻撃魔法を使ってみたいです!」

「ふふっ。遂に魔物と戦いたくなったか」


 翔真に言われ玄兎はチラッと魔物を見た。鋭そうな斧にたくましい腕、生身の人間であれば勝ち目はない。魔法を使うことは命をかけて魔物と戦うことなのだ。玄兎は攻撃魔法を使いたいと言った自分を恨んだ。


「いえ、やっぱりいいです」

「そうか。お前の障壁魔法、感謝する。では、パパっと終わらせてしまおうか」


 翔真はポケットから紙を取り出し目を通し、小さな声でつぶやいた。


「なるほど、エクラ・ソレールか」


 そして翔真は片手を空に掲げ、赤い炎で出来た球を作り出した。炎の球がある程度の大きさになると、ようやく魔物は玄兎達に気付き振り向いた。しかし、既にもう遅かった――。


「いくぞ! エクラ・ソレール!」


 大きな炎の球は魔物を飲み込んだ。そして魔物は地面に溶けるように消えていった、と同時にそのタイミングでデバイスに『討伐完了』とメッセージが届いた。玄兎は魔物が討伐できた安心感を感じつつも体に違和感を感じていた。一方で、翔真は誇らしげな顔をしながら玄兎の方を振り向いた。


「どうだ? 俺の魔法は?」

「めちゃくちゃかっこよかったです!」

「魔法の名前はどうだった?」

「あんまり気にしてませんでしたけどかっこよかったと思いますよ!」

「そうか、副会長に考えてもらって良かった。どうも俺のネーミングセンスは悪いみたいだからな」


 翔真がポケットから出していた紙は副会長からのメモだったようだ。玄兎は生徒会長が考えた魔法の名前が気になったが、それ以上に気になっていることがあった。


「あの、会長。魔物討伐が終わった後なんですけど、魔法を使ってみていいですか? 今なら使える気がするんです」

「お? 本当か? やってみろ。楽しみだな」


 玄兎は片手を空に掲げた――すると次第に大きな炎の球が出来上がっていった。翔真は驚きの表情で、玄兎の魔法を見上げた。


「これはさっきの魔法か……?」

次回の更新は5/10(金)の予定です。

感想やアドバイス、疑問点をくれると凄く嬉しいです。

考察とかも大歓迎です。

頭を空っぽにして読むのも大歓迎です。

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