【第二話】 女子会with玄兎
集合場所であるマジクランタのフードコートへ着くと、ミアとクレールが先に着いていた。
「お待たせ〜」
「私も今来たところだ。昨日に続き朝から大変だったな」
「転校早々本当に大変ね〜……なんか憑いてんじゃないの?」
思い返してみれば、大規模出現から始まり、謎の少女の声、祭りの襲撃、支配地域の奪還決定と転校してから数週間の間に起きたとは思えないほどであった。
「本当にね。これ以上何も起きなきゃ良いけど」
「ま、確実に起きるでしょうね」
「あぁ、私もそう思うぞ」
「えぇ……」
こんな反応をしているが、玄兎も内心、まだ何か起きるだろうなという予感を感じていた。
「それであんた、今日のうちの部会で何を話すか分かってる?」
分かるわけが無いので、玄兎はテキトーに答えた。
「なんだろ、あの祭りの七不思議とか?」
「そうね、クレールが花火のときの話題をやたらと避けていることについては話し合いが必要ね」
「お、おい、そんなことないだろう!」
クレールは焦っているのか、飲み物を飲むペースが速くなった。
「へ〜、そう? じゃあ聞くけど、あの時何を話したか覚えてる?」
はっきり言えば玄兎も覚えていなかった。というのも途中から恥ずかしさのあまり何も頭に入らなかったからだ。
「だから言ってるだろう! あの後のインパクトが大きすぎて覚えてないと!」
「ねぇ、あんたはこの言い分どう思う?」
ミアは玄兎に問いかけた。正直に言えばクレールの話しぶりから嘘だと思うが、玄兎自身もほとんど覚えていないため、庇うことにした。
「ダウトだね!」
玄兎が庇う前に見知った声で見知った人間がクレールを突き放した。
「な、お前いつの間に!?」
「あら、やっぱりいのりもそう思う?」
「うん、何のことか分からないけど、くーちゃんが言い訳してるのは聞こえたよ」
そう言いながらいのりは玄兎の前に座った。
「こうなったら死なば諸共だ!」
クレールは強く言い放ち玄兎の方を見た。玄兎は何か嫌な予感がした。
「松雪! お前に答えてもらうぞ! 何を話したか!」
嫌な予感は的中した。玄兎は無理やり話を戻そうとした。
「で、今日の部会は何を話すの?」
「おい!」
「松雪はシンプルにあれが恥ずかしかったんだもんね~」
「あぅ……」
口に出されて言われると情けなくなり、玄兎も甚大なダメージを負った。
「えぇ、玄兎くん恥ずかしかったの!?」
「うぐっ……」
いのりの追撃に玄兎はますます恥ずかしくなった。
「私は嬉しかったから気にしなくて良いと思うよ!」
いのりのフォローで余計に情けなくなり、玄兎は落ち込んだ。
「わ、私も恥ずかしかったからだ!」
「えぇ、本当にそれだけ〜?」
「本当だ!」
クレールの声はますます大きくなった。周りがクレールの方を向いているのをクレールが察知したのか、クレールも玄兎同様恥ずかしくなり、下を向いてしまった。
「どうするの皆? もう全員揃ったけどどっかお店入る?」
「穴があったら入りたいな……」
「同感だ……」
「はいはい! 私行きたいお店ある!」
玄兎とクレールのテンションとは対照にいのりはとても明るかった。半ばいのりのテンションに押される形で四人はいのりの行きたいお店へと向かうことになった。
そこはマジクランタ内にあるお店で、3階に位置しており、ベランダで飲食することも可能なお洒落なお店であった。
「あ〜、ここ私も気になってたのよね〜」
「でしょでしょ!」
四人は早速中へ入った。平日ではあるものの昼前、かつ学園内の人口が多いのもあり、そこそこの人数が既にお店に入っていた。
「いらっしゃいませ〜。お好きなお席へどうぞ〜」
奥から聞こえてくる店員さんの声のままに四人は空いているベランダ席へと座った。
「うわぁ、綺麗ね〜」
ミアの言う通り、すごい景色であった。一度、屋上に登ったが、あの時は景色を見る余裕も無かった上に、今はお店の雰囲気もあってか、より大層に感じられた。
「すごい景色だね! 私の前の学校見えるかなぁ?」
皆で景色を楽しんでいると、店員さんがやってきた。
「こちらお冷になります。そちらにメニューが表示されますので、そちらから注文をお願いします」
そういうと、ガラス調の机からメニューが浮かび上がった。
「これとこれとこれとこれ! あとは……これ!」
「おい、頼みすぎじゃないか?」
いのりは迷わず次々と注文を決めていった。玄兎もメニュー表を見て、注文しようとすると、かなりお洒落な料理が多く、一品一品の量は少ないように感じられた。そのため玄兎もとりあえず4品程注文をした。
「そういえばさ、結局今日って何話すの?」
玄兎はミアが注文したのを見計らって質問をした。
「あの大規模出現のことよ」
「というと?」
学園不思議研究部で話すようなことが想像できず、玄兎はミアに更に質問をした。
「あたしたちってさ、地下迷宮にいるときに大規模出現が起こったじゃない?」
「うんうん」
「あの時何が起こったか覚えてる?」
玄兎はあの時のことを思い出した。
「あ〜、なんか迷宮に魔法が――」
「そう! その通り!」
玄兎が言い終わる前にミアが答え合わせをした。
「それが学園七不思議その1.増える地下迷宮の仕掛けに関係してるんじゃないかって話になったのよ」
「それで当事者である私たちも呼ばれた訳だ」
「学園七不思議の一つが解決しちゃうかもね!」
する訳がない、と思ったが、ノリノリな人が二人いる以上そんなことは口が裂けても言えず、玄兎はとりあえず肯定することにした。
「そうだね、するかもね」
「あ! 思ってないのに言ってるでしょ?」
いのりにあっさりとバレた。更にミアが見透かすように言った。
「あんたテキトーに肯定しとけば良いと思ってるでしょ?」
なぜそこまで分かるのか不思議でたまらなかった。そして何故かクレールに説教をもらった。
「玄兎、肯定する気持ちは良いと思うが、もうちょっと上手くやれ」
一体何故なのか。良かれと思って肯定したのに総スカンである。
「あ、そうだ、クレールに言ってなかったわね。いのりと私が何を喋っていたのか」
「あぁ、そういえば有耶無耶になっていたな」
「スト〜〜ップ! なんで今の思い出すの!?」
いのりが露骨に慌て始めた。玄兎は他人を慌てさせる才能のあるミアという女性が恐ろしく感じ始めていた。
「なんだいのり、私には教えてくれないのか?」
「玄兎くんに聞かせたくないの!」
「えぇ……聞かせてよぉ……」
ミアはにやにやしながら言った。
「いのりがこの話が嫌ならクレールの――」
クレールはすぐに察し、ミアの口を抑えた。
「その話も無しだ!」
「……じゃあミアちゃんが入学したての頃の話する?」
ミアはクレールに口を抑えられながらももごもご話した。
「それはぜったいにだめ!」
四人はその後も祭りの話や他愛ない話で盛り上がった。
次回の更新は5/21(水)の予定です。
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