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光り輝く学園生活  作者: とっきー
第二章 消えゆく半影
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【第十三話】 何でもお助け助っ人部

「いのりさん、最初は祭りの本部に行くで合ってる?」


 玄兎は呆けているいのりに話しかけた。いのりははっとしたように我に返り、明るく取り繕った。


「うん、合ってるよ!」

「どうせだからエリスさんから貰った券を使いながら行こう?」

「良いね〜、行こー行こー!」


 玄兎といのりもエリスから貰った封筒を開けており、その中身には感謝の手紙と屋台で使える食事券が入っていた。時間もまだ少しあるため、二人は屋台に行きがてら本部へと向かうことにした。


 いのりが甘いものが食べたいというので、まずは道中見かけた小玉すいかの屋台へと寄った。

 

「あら? いのりちゃんと玄兎くんじゃない? 久しぶり〜」

「こんにちは!」

「カトリーヌさんお久しぶりです」


 のんびりと喋るカトリーヌは園芸部所属であり、玄兎は学園祭準備のときに会って以来であった。


「ごめんね、今他の子たちは遊びに行ってるの〜。私一人で回してるからちょっと待っててね〜」


 そういってカトリーヌは喋りとは裏腹にテキパキと動き、二人に小玉すいかを渡そうとすると、いのりの顔を見て止まった。


「いのりちゃん何か考え事? 難しい顔してるわ〜」 

「え、本当? 何も無いから大丈夫!」


 気丈に振る舞ういのりであったが、カトリーヌにはお見通しのようで、気を遣ってくれたのかサービスをくれた。


「はい、これサービス。玄兎くん、いのりちゃんをよろしくね〜、うふふ」

「カトリーヌさんありがとう!」

「ありがとうございます、任せて下さい」


 二人は券を使いお金を払うと、小玉すいかを片手に抱えながら道中他の屋台も周りながら本部へと向かった。


「あの、お二人とも買い物しすぎでは……?」


 本部に着くと、美佳が玄兎たちを見て第一声そう言った。事実、玄兎もいのりもお面を着け、射的で取った景品も持ち、小玉すいかのみならず、他の食べ物もぶら下げていた。


「やっほー! いのりんに玄くん!」

「杜若さんまで!?」


 本部へとやってきた杜若も玄兎たちと同様お面を着け、片手にヨーヨー風船を何個も持ち、もう片手に大量の食べ物を持っていた。


「はい、これいいんちょのお面!」

「あ、あの私はそういうのは」

「だーめ! 折角いいんちょは可愛いんだから」


 そういって杜若は有無を言わせず小田切にお面を着けた。


「うん、やっぱり可愛いのが似合うね~!」

「小田切さん似合ってますよ!」


 いのりも杜若に同調した。

 

「い、一体どんなお面を着けたんですか!?」


 小田切はすぐさまデバイスを取り出し、カメラで自分の姿を確認した。


「あ、か、可愛い……」


 小田切は小さく呟いたつもりだろうが丸聞こえであった。


「よし、じゃあしゅっぱ~つ!」

「えぇ!? お面を着けたまま行くんですか!?」


 杜若は色んな荷物を抱えたまま小田切を引っ張っていった。


「じゃあ私たちも出発しよ!」

「さすがに荷物は置いていこ? ね?」


 いのりと玄兎も所定の手続きを終えて本部を出発した。


 人手が足りないなどと連絡が来たところを中心に手伝いに入り、落ち着いてきたところで雅人から位置情報付きのメッセージで『人手が足りん! 助けろ!』とのメッセージが届いた。


「いのりさん、なんか雅人から助けろってメッセージが来たけどどうする? 一回休憩してから行く? それかいっそ行かない?」


 いのりの返事を待たず、雅人から追伸が届いた。


『来ないって選択肢は無いからな?』


「エスパーかよ、こいつ」

「う〜ん、落ち着いてきたし、雅人くんのとこを手伝ってから休憩しよ!」

「おっけー……っていうか雅人は何をしてるんだ?」


 玄兎は内心不思議に思いながらも、雅人の元へと向かった。


 雅人に呼び出された場所は、花火の有料観覧席の場所であり、雅人は慌ただしく人を捌いていた。


「あ、やっと来たか! 悪いな、二人ともここでチケットの確認を頼むわ」

「うん、良いよ! それくらいなら任せて!」

「おっけー、任せろ」


 玄兎といのりは雅人に教えられた通りにチケットを確認し、人を捌き始めた。少し時間が経つと、飲み物を持ったエリスとメラニーがやってきた。


「ごめんね、二人まで巻き込んじゃって」

「大丈夫ですよ!」

「はい、これ。ちゃんと二人とも水分は取るのよ」


 そう言ってメラニーは二人の後ろに飲み物を置き、すぐにエリスと共に去っていった。その後も暫く働いていると、徐々に人が落ち着き始め、雅人、エリス、メラニーが祭の運営スタッフらと共にやってきた。


「すみません、お二人ともありがとうございました。こちら大したものではありませんが、お礼のお品物です」


 そう言ってスタッフの人たちからクッキーを貰い、二人はスタッフの人と交代した。

 

「いやぁ、ライブだけじゃなくてここまで手伝ってくれて皆本当にありがとう! 助かったよ~」


 エリスは玄兎たちに感謝した。


「お礼なら今後たっぷり返してもらうから気にしないで」


 メラニーはいたずらっぽく笑いながら言った。それに呼応するように雅人も答えた。

 

「俺はエリスちゃんの頼みならお礼が無くたってなんでも聞くぜ!」


 いのりも雅人たちに続いた。

 

「私たちも部活だから気にしないで下さい。ね、玄兎くん?」

「はい、むしろ貴重な体験が出来て良かったですよ」

「本当に皆ありがと〜! この後花火だけど皆で一緒に観る?」


 これには雅人がさすがの早さで答えた。


「見る見る!」

「雅人、約束忘れてない?」

「あ」


 雅人は玄兎、いのり、ミア、クレールと共に花火を見る予定があったのだが、完全に忘れている様子であった。


「ごめんなさい、エリスさん。私たちあと他の二人と花火を見る予定があって……」

「そっちさえ良かったら皆で一緒に見ない? 私たちの為に特別席用意してくれてるからさ」

「よし、二人を呼ぼう!」


 何故か雅人が仕切りだした。


「本当に良いんですか? じゃあ確認してみます!」


 好意に甘えることにしたいのりはミア達に電話をかけた。 


「おっけーでした!」

「じゃあまた30分後位に集合でいい? 私着替えてくる!」


 そう言ってライブのときの格好のままであったエリスは駆けていった。雅人は女性を一人にするわけに行かないとのことで、メラニーと共に残ることになった。

 

 いのりと玄兎はミアたちと合流するために移動していたのだが、道中二人はしばらく黙っていた。というのもいのりが何か考え事をしているのが玄兎にも分かったからだ。


「ねぇ玄兎くん。私ってさ、やっぱり人助け向いてないのかな?」

 

 いのりは淋しげな声でぽつりと言った。


「どうしてそう思うの?」

「だって部活動でだって迷惑をかけてばっかだし、あの時だって目の前にいながらあの子たちのパパとママを助けられなかった。それに私だけ奪還作戦に後ろ向きで……私は……」


 いのりは泣きそうな顔になり黙ってしまった。


「あはは、ごめんね! せっかくの祭りなのに!」


 いのりは突如として明るく振る舞った。苦しそうに笑ういのりを見て、玄兎はスルーできなかった。


「ねぇ、いのりさん。無理しなくていいよ。一回全部吐き出そう。話なら聞くよ」

「う、うん……ごめん、ごめんね、玄兎くん……」


 いのりは今まで我慢をしていたのか決壊したように涙が溢れこぼれた。一度落ち着いて話をするため、近くのベンチに座った。


 少し話をすると、徐々にいのりは落ち着いてきた。そしていのりは玄兎に問いかけた。

 

「玄兎くんは奪還作戦が怖くないの? また誰かを目の前で失うかもしれないんだよ?」

「……怖いよ。僕だってまた目の前で誰かが殺されるのは見たくない。でも、それでも目を背けてたら助けられる人も助けられなくなる。それは嫌なんだ」


 いのりは俯いて言った。


「玄兎くんは強いね」

「僕だって弱いよ。でもいつでも頼れる人がいるから何とか前を向けてるんだよ」


 玄兎は会長や雅人の顔を思い浮かべながら話していた。


「いのりさん、僕は何でもお助け助っ人部の副部長なんだよ? 部長としてではなく、いのりさん個人としてたまには頼ってよ。力になれるか分からないけど、頑張るから」


 いのりは少し驚いたような顔をした後に笑った。


「ははっ……ありがとう、玄兎くん。それじゃ早速頼らせて貰おっかな?」


 まだ完全には立ち直れていなそうであったが、少し明るさを取り戻したいのりを見て玄兎は安心した。


「うん、任せて、頑張るよ」

「もうちょっとここでお喋りして」

「もちろん」


 柔らかな提灯の灯りと共に、二人の穏やかな声も夜空へと溶けていった。

次回の更新は12/15(日)の予定です。


感想やアドバイス、疑問点をくれると凄く嬉しいです。

考察とかも大歓迎です。

頭を空っぽにして読むのも大歓迎です。

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