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光り輝く学園生活  作者: とっきー
第二章 消えゆく半影
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【第十二話】 それぞれの想い

「――皆、今日はありがとう! これはせめてものお礼だよ」


 締めの挨拶が終わると、エリスは一人一人に何枚かの紙が入った封筒を手渡した。皆がその場で開けようとすると慌てて止めに入った。


「待って待って! あの……恥ずかしいから私が居なくなってから開けて? でも祭りが終わる前までには開けてね、出来れば早く」

「おぉ? 楽しみだなぁ!?」


 雅人は隣で大盛りあがりし、それに釣られるように他の何名かも盛り上がっていた。


「それじゃ、皆共鳴石回収するよ」

「エリスちゃん! 俺に任せて!」

「エリス様! 私がやります!」


 エリスが共鳴石を回収しようとすると、雅人とエリスガチ勢が率先して名乗りを挙げ、エリスが何も言っていないにも関わらず、すぐに共鳴石を集めエリスに渡した。


「うん、数はおっけーだね。二人ともありがとう!」


 締めが済んでいるにも関わらず、皆その場から動かなかった。その状況を察したのかエリスが笑いながら言った。


「もう何も無いよ? 皆、祭を楽しもー!」

「「おー!!」」


 エリスはメラニーと共に去っていった。何名かがその場に残っていたが、玄兎もそのうちの一人であった。


「松雪、あんたさ、明日の夕方時間空いてる?」


 雅人と喋っていると、ミアが話しかけてきた。


「うん、空いてるよ。何かあるの?」

「ご名答! あたしたちの部会に参加してもらうわ!」


 ミアはとても嬉しそうであった。一方でミアのこの発言が羨ましかったのか、ここまで静観していた雅人が口を挟んだ。

 

「あ、俺も参加する!」

「あんたは良いわ。来なくて良いよ。いや来ないで」

「なんでそんなこと言うの……?」


 ミアは拒絶するように答え、雅人は分かりやすい位落ち込んだ。それを見兼ねたのか、クレールといのりが入ってきた。


「まぁまぁ、ミア。そこまで言うことないだろう」

「そうだよ〜! まぁ、雅人くんは確かに来なくていいんだけどね」


 いのりの思わぬ追撃に雅人はショックを受けていた。

 

「うぐっ、いのりんまで……。優しいのはくーたんだけだよ~……」

「実際来なくて良いのは事実だからな」

「くーたんまで!?」


 雅人はクレールの方を見て助けを求めたが、クレールにも軽くあしらわれたため、完全に撃沈した。


「そういうことらしいから雅人、諦めたら?」


 玄兎が撃沈する雅人に話しかけると、雅人は急な真剣な顔になった。

 

「待てよ? 俺がみーたんの部活に入部すれば良いのでは?」

「ぜっっったいに嫌!」


 即座にミアが拒絶した。


「それでいのりと松雪、二人とも時間は大丈夫なのか?」


 玄兎はデバイスを取り出し、時間を確認した。

 

「うん、まだ大丈夫」

「あと何分?」


 いのりが玄兎に聞いた。


「あと一時間位は大丈夫だよ」

「じゃあさじゃあさ、皆で灯篭流しに行こっ!」


 いのりは皆で灯籠を流しに行くことを提案した。雅人が喜ぶ一方でミアは嫌そうな顔をしていた。


 灯籠を受け取り、各々メッセージを書き、川へと流しに来た。広いスペースを見つけ、皆で移動する最中、玄兎の耳に聞いたことのある声が飛び込んできた。


「いよいよか……」


 そう呟きながらすれ違った男を見ると、それはラッシュであった。意外な人物が祭りにいたため、玄兎は内心驚いていた。


「玄兎くん、どうしたの? 誰かいた?」


 いのりが振り返る玄兎に不思議そうに聞いた。

 

「いや、ラッシュさんが居たから」

「あの人毎年来てるわよ。何だかんだ結構律儀よね〜」

「誰それ?」

「うちの学園でトップクラスの魔法使いだ」


 クレールがそう説明すると雅人は目を輝かせてはしゃいだ。


「まじ!? 戦いたい!」

「戦えるタイミングがあるとしたら来月だろうな。あの人が来るとは思えないが」

「来月って何かあるの?」


 戦えるタイミングがあるとは思わなかったため、玄兎は思わず聞いてしまった。


「来月は要塞攻防戦よ」

「皆同じチームになれると良いね!」

「あんたは松雪と同じチームにはなれないわよ」

「要塞? チーム?」

「超楽しそう! 玄兎! ますます特訓だ!」


 混乱する玄兎を置いて、本当に理解しているのかは分からないが、雅人は盛り上がっていた。それをフォローするようにクレールが話した。


「詳しいことはそろそろ説明が来るだろうから、楽しみにしておくことだ」

「ふっふっふ……、誰が相手だろうと絶対に勝つ!」


 雅人は強く意気込んだ。


「はいはい、頑張ってね」

「雅人くん、応援してるよ!」

「がんば〜」

「楽しみだな」


 皆、各人各様に雅人を応援した。


「……あの、なんか皆テキトーじゃない?」


 五人は川へとやってきて、皆で一斉に灯籠を流した。皆、しばしの間黙っていたがいのりがぽつりと呟いた。


「再来月、私たち大丈夫かな……」


 この発言は全員が聞こえていたはずであったが、しばしの間全員黙ってしまった。


「はぁ〜……考えないようにしてたけど、そうよねぇ……」

「あ、ごめんね、みーちゃん」

「良いのよ。これで考えるなって言うほうが無理あるわ。それに仮にもあたしの国の一部だもの。あたしは取り返したい。……死にたくは無いけどね」


 ミアは流れる灯籠を見つめ続けていた。目を閉じ、手を合わせていたクレールは、手を合わせたまま喋った。


「何があっても私が護ろう。そして今度こそ、皆の目の前で誰かを殺させたりはしない、誓ってな」

「二人とも強いね」


 いのりはぼそっと呟いた。


「僕は……」


 玄兎は、あの時のレアとリュカ、そしていのりを思い出して口に出した。


「もう誰も悲しませたくない。誰かが泣いている姿は見たくない。だから……」


 だから『戦いたくない』のか、だから『魔物を殲滅したい』のか玄兎には相反する気持ちが二つ湧き上がり黙ってしまった。


 ちょっとの沈黙が続いた後、ここまで黙っていた雅人が立ち上がった。


「もう決まったことなんだろ? だったら俺は出来ることを全力でやる。自分に変えられないことを考えたってしょうがないだろ」

「あんたの悪いところはそういうとこよ。誰もがあんたみたいに前向きに考えられる訳じゃないの」


 ミアも雅人に引き続いて立ち上がったため、皆も釣られるように立ち上がった。


「あ、そうだ! エリスちゃんから貰ったやつ開けなきゃ……」

「ちょっと? 話聞いてる? もしも~し!」


 雅人は落ち着きなくエリスから貰った封筒を開けた。そして中に入っていた手紙らしきものを取り出して一読すると走り出した。


「悪い、みんな! 俺エリスちゃんのところ行ってくる! 待ってて、えりすちゃ~ん!」


 雅人はそそくさと去っていった。


「なんな訳!? あいつは!?」


 ミアはぷんすかと怒り始めた。それを宥めるようにクレールが言った。


「まぁまぁ、ああいう奴じゃないか。それにちょうどこれから玄兎といのりは部活で抜けるだろうしタイミングとしては良かったんじゃないか?」

「それはそうね」


 ミアはすぐに平静を取り戻した。そしてクレールとミアは後ろでとぼとぼ歩いているいのりに聞こえないように、玄兎に話しかけた。


「ちょっと、松雪。いのりの様子をちゃんと見ていてあげてね」

「あぁ。平然を装っているが、やはりあの時のことが頭から離れないんだろう。松雪、お前も無理だけはするなよ」


 玄兎は小さく頷いた。そしていのりを呼んで久しぶりの二人での部活動が始まった。

次回の更新は12/14(土)の予定です。


感想やアドバイス、疑問点をくれると凄く嬉しいです。

考察とかも大歓迎です。

頭を空っぽにして読むのも大歓迎です。

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