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光り輝く学園生活  作者: とっきー
第一章 光る学園
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【第十話】 魔物の大規模出現 記憶

 泣いている女の子、跪いている玄兎、放心状態のいのり、くないを見つめぼーっとしている忍者姿の男。傍から見ればおかしな光景であったであろう。数秒か数十秒か、短くとも長く感じるような時が流れクレールと馬木がやってきた。


「何が……あったんだ?」


 そのクレールの言葉にはっとしたのか忍者姿の男はきりっとした。


「この子の両親は魔物によって殺されました。この子は自分が連れていきます。皆さんは早くここを出てください。では」


 そういうと女の子を抱え、魔物がいる方向へ突っ切っていった。


「違う……」


 いのりがぽつりと呟いた。そして我慢の限界に達したのかいのりは遂に泣き出した。


「違うの! 私のせいで……私が……! あの子のお母さんを……殺したんだ……。私に力があれば……二人を……守れたのに……」

「いのり……」

「お前のせいじゃ――」


 慰めようとする馬木をクレールが止め、首を振った。


「お前は玄兎の様子を見てくれ。疲れてるところ悪いが今魔物が来たら、戦えるのは私達二人だ」

「……分かった」


 馬木は玄兎の元へ歩み寄ってきた。


「玄兎、大丈夫か?」


 玄兎は未だ酷い頭痛にうろたえていた。徐々に玄兎の意識は薄れていった。


 


 玄兎は母親に抱きかかえられながら、魔物に対峙する父親の背中を見ていた。


『玄兎、明里! 必ず生きてくれ。それだけが父さんの願いだ』


 そう言って少し微笑む父親の横顔が見えた。母親は玄兎を抱え、その場を離れていく。少しずつ遠くなっていく父親の姿はやがて光り始め、消えてしまった。


 その後すぐに、逃げる母親と玄兎に魔物が追い付いてきた。母親は玄兎を下ろした。


『走りなさい! 走って逃げて! そして生きて! 私の分もお父さんの願いを叶えてあげてね』


 玄兎は一心不乱に走った。しかし後ろから魔物が迫っていた。


『はぁはぁ……』


 玄兎が後ろを振り返ったとき、魔物が手に持っている斧を振り下ろそうとしていた。そのとき、玄兎の後ろから白い光の矢が飛んできた。そしてその矢は魔物を貫き、魔物は地面へと溶けていった。


 薄暗い部屋の中、男は玄兎に話しかける。


『両親の仇を討つんだ。魔物を倒すことで、未来へ、希望を繋げるんだ』


 

 

 意識が少し戻る。


「希望……。そうだ希望を繋げなきゃ……」


 再び意識が朦朧とする。


 


 男が玄兎の前で何かを言っている。


『これからは○%×$として生きていくんだ』


 何かが書かれた紙に目を通し、男は無念そうな顔で呟く。


『やはりダメか……』


 燃える多くの建物と耳をつんざくような悲鳴の数々、そして光り輝く魔物の数々。玄兎は目の前で魔物の攻撃を受ける青年を怯えた目で見ていた。


『玄兎……! 逃げるんだ……! 希望を……繋ぐんだ……。せめてお前は――』


 何かを言おうとしたとき遂に青年は力尽き、その場で倒れてしまった。


 燃える建物の中、男は逃げることもせず、何かを見つめながらぼんやりしていた。


『これでは……ならば最後に……。皆、頼む……魔物を……魔物のいない世界を……!』




 玄兎は立ち上がった。すっかり頭痛も消え、身体は何かの呪縛が取れたかのようであった。

 

「うぉ! おい、玄兎、大丈夫なのか?」

「馬木くん、ありがとう。大丈夫。そちらこそ体は大丈夫なの?」

「あぁ。いのりの回復魔法のお陰でな。俺様はこの通りピンピンだぜ!」


 そういうと馬木は拳に電気を纏わせて見せた。それを見て安心した玄兎は馬木と共にいのりとクレールの下へと歩み寄った。


 クレールの胸元でいのりが泣いていた。クレールは顔を上げ、玄兎に話しかけた。


「松雪、体調はもう大丈夫なのか?」

「うん、もう大丈夫。ありがとう」


 玄兎はいのりに謝ろうとしたが、余計にいのりを追い詰めそうな気がしたため、結局何も言えなかった。


 いのりの涙が徐々に引いてきた頃、いのりのデバイスが鳴った。


「みーちゃんからだ……」

「私が出よう」


 そういうとクレールはいのりからデバイスを借り、電話に出た。


「ミア、私だ。クレールだ。何かあったか?」


 電話の先で何を聞いたのか分からないが、クレールの顔が急に焦り始めた。


「それは本当か? ……分かった。すぐ行く」


 そう言うとクレールは電話を切り、いのりにデバイスを返した。


「すぐに入口へ向かうぞ。この建物が囲まれている。いのり、急ですまないが動けそうか?」

「うん、大丈夫。ありがとう、くーちゃん。それと二人も」

「いのりさん、僕こそあんなときに動けなくなってごめん。あれは僕のせいだよ」

「いやあれは――」


 お互い自分の卑下が始まりそうなところで馬木が口をはさんだ。


「誰のせいとかそんなのはねーだろ! 悪いのは魔物だ。それに……」


 馬木は苦虫を嚙み潰したような顔をした。

 

「あいつらが俺様達に守られることを拒んだんだ。お前らは悪かねぇ。それでもお互い自分を卑下するってんなら、最初に倒れた俺様を責めてからにしな!」

「二人とも、今は急いで入口に向かうぞ」


 四人は魔物から隠れながら急いで入口へ向かった。


 その道中、ミアとクレール、いのり、玄兎の四人が開けた穴の前を通りかかった。そこには口喧嘩をしながら魔物と戦っている二人の学園生がいた。


「バスティアン! 貴様、邪魔をするな!」

「俺だって多くの魔物と戦いたいんだ。ラッシュくん、君が屋上へ行ったらどうだい?」

「どうやらこの戦いが終わったら本格的に吹っ飛ばされたいようだな」

「俺は魔物以外の相手に興味はないんだけどな」


 言い合いながら二人で多くの魔物を捌く二人を見て、口喧嘩しながらよくできるものだと玄兎は感動すら覚えてしまった。しかし、すぐに冷静になり、加勢することを考えた。


「これって加勢しなくて大丈夫なんですか!?」

「そうだな。では俺様が――」

「寧ろ足手纏いになる可能性すらある。私たちは入口へ急ぐぞ」


 玄兎は二人の戦い方を見て妙に納得した。一人は前方で魔物を殴り続け、もう一人は後方からクロスボウで魔物を次々と狙撃しており、玄兎が入る隙はほぼなさそうであったのだ。

 

 四人が入口に到着すると、一人の女性と一匹の妖精、そしてもう一匹のタコのような生物が魔物の足止めをしていた。妖精とタコのような生物は魔物と同様に光で構成されているようだった。

 女性は鎖のようなもので魔物の波を抑え込み、妖精のような生物は女性とタコらしき生物にキラキラしたものをかけ、タコのような生き物は口から水を吐き出し、魔物に攻撃を仕掛けていた。


「委員長! 助太刀に入ります」


 そこにいた女性は風紀委員長らしく、クレールが声をかけた。


「ルモンドさん! 助かります」

「私達も手伝います……!」


 風紀委員長はいのりを一瞥すると、何かを察したようでいのりの手伝いを断った。


「いえ、霧山さんは結構ですよ。無理をしてはいけません。私の代わりに杜若さんと連絡していてくれませんか? えっと……あなたを先日捕まえた人です」


 風紀委員長はそう言っていのりにデバイスを渡した。いのりはデバイスを借り、杜若と連絡を開始した。


「では、四人で頑張りましょっか。って、えぇ!? どういうことですか!?」


 委員長が後ろを向いて驚いたため、玄兎も後ろを確認すると一匹の魔物を追いかけて先程の二人が走ってきていた、その後ろに大量の魔物を引き連れて。


「やれやれこれはどういうことだろうね」


 バスティアンは苦笑いしながら紫色のオーラを纏った矢で先頭を走る魔物を打ち抜いた。

 

「バスティアン! 俺はもう戦っていいな? 考えるのは苦手だ」

「俺も難しいことは苦手だ。体を動かすとするよ。じゃ、こっちは君に任せるよ」


 バスティアンは入口側に加勢した。委員長があたふたしているとバスティアンが状況を説明しだした。


「学園中の魔物が恐らくここに集まってくる。俺達の今からのタスクは生き残ること、そして入口側の魔物を押込み外に出ることだ」

「でもそれでは囲まれてしまうのでは!?」


 玄兎にとって委員長の発言は最ものように感じた。

 

「外に出ればその分他の学園生の助けを借りられる。それに入口側なら後方で他の魔法使いが魔物に攻撃を仕掛けているはずだ。挟み撃ちに出来る」

「確かにそうですね……。やりましょう!」


 先程まで杜若と連絡を取り合っていたいのりが電話を切り、大声で叫んだ。


「光耀帝が……現れました……!」

「……まだ一日目だよ?」

「しかも周りに魔法使いの魔物が大量にいるみたいです……」


 光耀帝は、定期的に現れるものの、過去に討伐された記録が存在しないほど魔物の中では最強とされている魔法使いの魔物である。大規模出現の際には必ず出現していたが、今までの大規模出現では早くても三日目以降に現れておりあまりにも早い登場であったのだ。


「くくくっ……俺がやる。おい貴様、どこに現れた?」

次回の更新は5/17(金)の予定です。

感想やアドバイス、疑問点をくれると凄く嬉しいです。

考察とかも大歓迎です。

頭を空っぽにして読むのも大歓迎です。

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