墓荒らしとミイラ男
いい加減新作書かなきゃなぁ……
とりあえず読んでもらえると嬉しいです。
そう古くない時代、エジプトの市街地の外れにあるホコリが舞う薄暗い室内で、二人の男が睨み合っていた。片方の男の手には鉄製のナイフを握られていて、もう片方の男は身体に包帯のような物で巻かれていた。
「やい、貴様なぜ蘇った」
ナイフを握る男は目の前に対峙する包帯男に言った。その声音は少し動揺と怯えが滲む。包帯男の隣には薄汚れた棺が開いていた。
……包帯男の正体は古に葬られたミイラだったのだ。そしてこの場所は彼の墓であり、ナイフの男は墓荒らしだった。
「分かってるのさ、お前の墓にはお宝がたんまりあるんだろ?」
額から一筋の汗が流れてナイフの男は指で拭き取る。しかしその言葉にミイラ男は首を左右に振る。まるで宝は無いとばかりに。
だが、ナイフの男は信じられない表情をして、手のナイフをミイラ男に突き立てようと駆けた。
「もう一度葬ってやるぜ!」
男はナイフをミイラの左胸部分に包帯越しに深々と突き刺した。
「やった! ザマァ見やがれ!! アハハハハ!!」
男は汗だくの顔で震えながら、ナイフが刺さったまま仰向けに倒れたミイラに勝ちを宣言し、すぐさま棺を漁る……だが、男は唖然とした顔になった。
何故ならその中にはお宝など無かったからだ。あるのは女物の服装に包まれたミイラだった。
「なんだこりゃ……俺はこんなもののために此処に来たってのかよ!! ふざけるな!!」
望んだ結果にならなかった男は激昂し、女物の服装のミイラを踏み潰そうと右足を上げた瞬間、頭上から、ガラガラと轟音を立てながら天井が崩れて、ミイラごと男を覆い尽くしまった。
男は絶命し、そして、ミイラは再び安息を手にしたのだった。
終