クラス転移と暴言
「さーて、今日も数学やっていくぞ〜」
「お、今日は全員揃ってるのか。珍しいな!」
「来たんだな〜隆!先生嬉しいぞ!」
「はぁ?一々うるせえな、今日の範囲はあんま分かんなかったんだよ。なんか文句あんのか?」
「相変わらず予習はしてるんだな〜!良いことだ!」
教室に少しだが笑いが生まれる
素行は悪いが勉強はできる男、そう思われてるんじゃないだろうか。それがオレだ
まぁあと身体的特徴を挙げるとしたら身長188センチ、体重は知らねえがガタイはでかい方だ
教師が新しいチョークを取りに教室を出た瞬間、クラス中に眩い光が放たれ全員の視界を白に染める
「はあ?どこだここ」
未だチカチカしつつもオレの目に入ってきたもの、それはいかにも神聖で荘厳ですって感じの建物と玉座。そして、きっと女王と複数人の騎士だった
「うおおおおおお!異世界転移だ!本当にあったんだ!!」
ある人のその言葉を皮切りに理解できる者も増えてきた
イセカイテンイ?ああ、異世界転移か。最近よく聞くやつだろ?てことはアイツらは異世界人で、オレらを転移させたヤツってことか。わざわざ呼ぶほど俺らは強いのか?そうとは思えねぇけど
「おい!ここどこだよ!てかてめえら誰だよ!!」
隆の言葉に、騎士たちは激昂する
「貴様!それは女王様にも言っているつもりか!女王様、こんなやつは計画に不要なのでは」
「よいのです。転移者のみなさんも突然この場所に来て気が動転しているのでしょう」
なるほどな、異世界転移には最初っから強いタイプと弱いタイプが存在する。
だが、この強気な反応を見るにオレらはすぐに騎士にどうにかされるほどには弱いが、ポテンシャルはあるって感じだと見た。あとはクラス委員長、頼んだぜ
「武沢くんまずは落ち着いて相手方の話を聞こう。自分たちは今何も分かっていない状況だ」
「先程はすみませんでした。私達は日本という国から来た学生です。あなた方と、この転移について話を聞かせて頂いてもよろしいでしょうか」
「当然の疑問だと思います。ですがまずはこちらの都合で申し訳ないですが、スキル判定を行っていただきます」
おいおい、ずいぶんとそちら都合だな。いや、そもそも呼んだ時点でそっち都合か
そう言われたのち、1人の騎士が学生の前に出た
「私は鑑定のスキルをもっております。スキルを調べるため、1人ずつ前に出てきてください」
元々前の方にいたクラス委員長が周りを一望したあと、そのまま前に出る
「では私から受けさせていただきます」
「それでは。
おお!これは、最初からこんなものが。あなたのスキルは勇気の剣、不屈、氷魔法です」
「それはどのようなスキルで、そして強いのですか?」
「スキルの詳しい説明は教会でしか見られないのですが、それらのスキルはかなり有力だとされています!」
ほうほう、教会ねぇ?詳細は神のみぞ知る的なあれなのか?
「はいはーい!じゃあ次はわたし!」
この後もある程度差はあるが、かなり強そうなスキルが述べられていく
「こ、これは…申し訳ありませんが、あなたのスキルは何も無いようです。まさかこんなことがあるとは」
「え、そ、そうなんですか。ぼ、僕はみなさんと同じ訓練にはついていけないですよね?それなら、邪魔になってしまうのですぐにでもこの城から出ようと思うのですが」
「すぐに出ていただく必要はありませんが、そうですね、全員分の鑑定が終わった後、少し私たちの方で会議をしますので、そのあとにお伝えしようと思います」
さて、最後はオレの番か。蛇が出るか鬼が出るか
「あなたは、剛力、身体強健。この2つです」
お、おお。決して悪くは無い、悪くはないが…これだけか
「それでは全員分終わりましたので、みなさんにはそれぞれの部屋に行っていただいて、お待ちいただけたらと思います」
玉座の正面、つまり俺たちの後ろにあった扉が開き外から数人のメイドが入ってくる
「それでは転移者のみなさんは私たちの後ろをついてきてください」
転移者はメイドの後をついていき、各自の部屋に連れられる
「へえ、ここがオレの部屋か。思ったよりシンプルだが質自体は悪くなさそうじゃねえか」
「ありがとうございます。それでは、失礼いたします」
さて、それじゃあスキル考察といきますかってしたいけど、特に余地ないよな。剛力とかどうせ力が強くなるだけだろ、一時的か恒常的かぐらいか?あと、身体強健。これなんてまさに名の通り、健康で丈夫
まずい、これはオレ相当考えないと生き残れないぞ。搦め手の類がいっさいないから、実際の実力だけで戦わないといけない
けど、さすがに最初はトレーニングか誰でも勝てるような敵としか戦わないだろうから、一旦鍛えるか
筋トレして寝よ