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宿命の力者  作者: セイカ
第一部 三章 入学編
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二十五話 見学

 五月二十日。今現在、龍助達はある施設へと足を運んでいた。


「さて、着いたよ」

「ここが……」

「そうだよ。ここが『エイドトゥオーダー』、『ATO』だよ」


 龍助達がやってきた来たのは、訳あって罪を犯してしまった子供たちを保護している施設「ATO」だ。

 ここでは犯罪に手を出した力者を保護し、人助けの仕事をさせているところだ。


「それじゃ、見学開始だ」


 そう言って進んでいく京について行く龍助達。

 ATOがある場所は、TPBから歩いて十分という非常に近い場所だった。

 建物の見た目としては横と奥に広がった正方形をしている。

 中は見た目通り、とても広かったが、階はここ一階と二階しかないようだ。


「ようこそ。京さん」

「やあ、田隅たすみ。今日はお願いするよ」


 龍助達、主に京に話しかけてきたのは、眼鏡をかけてヒールを履き、いかにもオフィスカジュアルコーデを着た女だった。


「この人は田隅たすみいづみさん。ここの責任者だよ」

「よろしくね」


 京の紹介に笑顔で挨拶してきたいづみ。


「よ、よろしくお願いします……」

「お願いします……」

「そんなに緊張しなくても大丈夫よ」


 緊張しまくりの真鳥兄弟にいづみは優しく話しかけてきた。

 その笑顔はとても明るく丁寧だったからか、孝介達は少し安堵した様子になっていた。


「それじゃ早速案内しますね」


 そう言っていづみは中の奥へと入って行き、龍助達も後に続いた。

 入ってみると、沢山の人々が作業をしている。

 ある人達は何やら魔具を作ったり、修理したりする手作業、ある人達はパソコンとにらめっこしている。

 している作業は皆それぞれ違うが、共通しているのは、みんな真剣に仕事をしていることだ。


「すごい……。皆動きが早い」

「慣れてきたらこうなるよ。初めは誰しも失敗したものよ」


 孝介の感想にいづみがそんなことを言った。

 孝介が不安そうに見ていることに龍助も気がついていた。

 彼女なりの気遣いだったのだろう。それが届いたのか孝介の表情も少し明るくなる。

 

「それじゃ、面談でもしましょうか」

「面談?」

「あなたたちのことを知らないと、こちらもどうすればいいのか分からないからね」


 いづみ曰く、犯罪に手を出してしまった経緯けいいやその時の気持ちを知ることで、その人の補助することが出来るらしい。


「それじゃ、京さん達はここで待っていてください」

「へぇい」


 いづみのお願いに京は気だるそうな声で返事した。

 かなりの時間待つことになるらしく、京はそれが嫌なようだ。

 しかし、その間施設の中を見るのは構わないと言われているので、その言葉に甘えて中を見て回ることになった。

 改めて中を見て回ってみると、やはり広さが尋常ではない。

 階数は少ないものの、これだけ広ければに窮屈に感じることは無いだろう。


「じゃあ俺たちは二階にでも言ってみようか」


 京の提案に龍助達は賛成して、二階へ向かうことになった。

 二階に行ってみると、広さは同じだが、下の作業とは違い、書類を点検し、整理している作業だった。


「へぇ。こんな作業もしているのね」

「これなら働きやすいかもな」


 龍助と叶夜がそんな感想を述べていたその時、龍助の耳にある音が止まる。

 それは硬いガラスを小さく割ったような音だった。


「ん? 今なんか割れた?」

「え? そんな音した?」

「待って、どこからした?」

「こっち」


 龍助の言葉に叶夜と颯斗と穂春は特に共感はしていなかったが、京だけは違った。

 聞かれた龍助がその音がした方へと向かっていく。

 音のした方に行くと、人がいない資料室へと辿り着いた。


「皆、気をつけた方が良い」

「わ、分かった」


 緊張感のある京の言葉を聞き、龍助達は念の為に構えた。

 三人が構えたのを確認した京がゆっくりとドアを開けてみる。

 しかし、特になんの痕跡もなくただ資料がずらりと並べられている棚があるだけだった。


「おい、出てこいよ。いるのは分かってる」


 京がそんなことを言うと、一つの棚の陰から人が現れる。


「よく見破ったね」

「やっぱりお前か」

「だ、誰?」

「TBBのトップだよ」


 龍助の質問に男が答える。

 なんの迷いもなく言ったことと、TBBのトップという言葉に龍助は驚きを隠せないでいた。

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