二十四話 孝介の不安
洋介の危機を救った後に孝介の処分が京から言い渡されたが、後からやってきた千聖が詳しく教えてくれる。
「実は、孝介くん達はTPBが組織した保護団体に入っていただくことになりました」
「保護団体?」
千聖曰く、孝介達は保護団体に入り、そこで仕事をしながら学校に通うという形になる。
その仕事が他者を害するのではなく、他者の助けになることをするというものになる。
そこで精一杯働いて罪を償っていくという形になるらしい。
「なんで京さんはそのことを言わずにあんなことを?」
「いやあ、真鳥兄弟の絆を見たくてね」
「あなたは後でこの子達に焼肉を奢ってあげてくださいね」
「えっ……?」
龍助の質問に京がなんの反省も見せていなかったので、千聖がそんな彼に償いとしてこの後の夕飯を奢ってあげるように言ってきた。
そんな千聖の言葉に京は笑ったまま固まってしまった。
「もちろん、孝介くん達も食べていいですからね」
「えっ、でも……」
「こういう時は、素直に受け入れるのが一番なんですよ」
千聖の言葉に孝介達は嬉しそうに笑っていた。
先程まで涙でぐちゃぐちゃになっていた洋介が明るく笑っている。
兄と離れ離れにならなかったことが余程嬉しかったようだ。
孝介も小さくだが、笑顔で満ち溢れていた。
「良かったな。なんとかなって」
「はい。本当にありがとうございます」
「ありがとうございます」
龍助に声をかけられた真鳥兄弟は改めて龍助達にお礼を言った。
「さて、僕はそろそろ行きますが、約束を破ったら針千本ですからね」
「は、はあい……」
千聖はこの後用事があるようなので、ここで龍助達と別れる。
離れる間際でも京に釘を刺していたが、その表情はとても恐ろしいくらいに笑顔だった。
◇◆◇
「ふう、食った食った!」
焼肉屋から出てきた龍助が背伸びをしながらそう言った。
「お前らのおかげでほとんどの金が飛んでったよ……」
「まあまあ、美味しかったからいいじゃないですか」
落胆している京だが、龍助達はそんなことは気にせず、ただ焼肉を食べることができた満足感を味わっていた。
特に、真鳥兄弟は焼肉屋に来ること自体初めてだったので、とても喜んでいた。
「美味しかったね! お兄ちゃん!」
「そうだな。京さんに感謝しないと」
何はともあれ、初めての焼肉を堪能したようで、見ている龍助達が嬉しい気持ちになっていた。
「でも、俺達これから大変なんだよね?」
「心配しなくても、君のようにうっかり犯罪に手を出した人がいるから大丈夫だよ」
孝介の言葉に、京が普通に答える。
あの様子を見る限り、ふざけたりはしていないように感じ取れた。
京の言葉を素直に受け取れないのか、孝介の表情は曇るばかりだ。
「そんなに不安なら見学するかい?」
「見学?」
見学という言葉に反応した孝介と洋介。
何を言われたのかいまいち分かっていないようだが、それは龍助も同じだった。




