十四話 再決戦
響也と智彦の二人と放課後を共にしていた龍助達は今、再び現れた孝介と対峙していた。
ここは一通りが極めて少ない草原の道だったので、戦うには丁度いい場所だ。
今度は力に自信があるのか、ニヤニヤと不気味に笑っている孝介。
「今度はそう簡単にやられはしませんよ」
「結構な自信だけど、後から言い訳するなよ?」
龍助と孝介の言葉合戦が繰り広げられていたが、それを終わらせたのは孝介だった。
「なら、最初はこうだ!」
孝介が叫んだのを合図に、龍助達の足下の地面が膨れ上がってきた。
すぐに地面を使った攻撃だと察した龍助達は一目散にその場を離れた。
離れた所を狙ってなのか、龍助の方に数枚ほどのカードの攻撃が飛んできた。
空中だったこともあり、かわすのは不可能なので、龍助は警棒でカードを蹴散らす。
「これならどうだ!」
着地した龍助に一枚のカードを投げてきた孝介。
そのカードは余裕で避けられるものだったので、龍助はそれをかわした。
しかし、その隙を狙ったかのように孝介がテレポートで龍助の背後を取った。
(しまった!)
今度の攻撃は命中すると思われたが、直前にどこからともなく飛んできた魔弾が孝介を追い払ってくれる。
その魔弾が颯斗のものだと気づくのに三秒もかからなかった。
魔弾をかわして距離を取った孝介だが、特に攻撃してくるわけでもなく、様子を伺っている。
「前と動きが変わってない気がするんだけど……」
「背後を取られた人に言われたくないんですけど」
お互いがお互いを挑発している中、龍助はある事に気がつく。
それは孝介がまとっている力のことだ。
先程までは前に戦った時となんら変わりがなかったが、今の彼からは少しだが、強い力が溢れてきている。
「くそ、なかなか収まらない……」
力を忌々しそうにしている孝介を見て、彼は力をコントロールしきれていないとその場にいた全員が確信する。
ならば、今がチャンスと思った龍助達は一斉に動き始めた。
まず颯斗の魔弾で孝介を誘導していく。
テレポートを使いながら避けていくが、その先には叶夜と穂春が仕掛けた発動式が待っていた。
「う、動けない……!」
「これでテレポートは使えなくしたわよ」
叶夜達が仕掛けた発動式の魔法は「硬直」。
その名の通り、相手の動きを硬直させるものだ。
それは、人体に限らず、魔法の使用に対しても有効となる。
つまり、動きと魔法を一時的に封じたということだ。
そして、それを待っていたかのように龍助が孝介に素早く近づいた。
「は、はや……!」
硬直している孝介はどうすることも出来ないでいた。
それに対して少し申し訳なさはあったが、龍助は自身の拳を魔眼で見つけた弱点の腹へと食い込ませる。
そして、弱点をつかれた孝介は苦痛の声を上げながら、気絶してしまった。




