十二話 放課後のお誘い
孝介の襲撃があって一週間、あの後は特に何もしてくる訳でもなく、いつものように学校生活を送っていた。
「今のところなんにも襲って来ないな」
「まあでも、しんどいかもだけど警戒はしとかないと」
龍助の言葉に叶夜も共感していたが、引き続き警戒を緩めないようにしようと言ってきた。
警戒ばかりしていると頭が痛くなってくるが、仕方の無いことだと割り切るしかないとも思う龍助。
「でも、龍助は緩めててもいいと思うよ」
「いや、俺も警戒はしておくよ」
龍助の気持ちも考え、気を遣った叶夜だが、それは逆に申し訳ないと考えた龍助は警戒する意志を示した。
いくら元の力が弱い力者でも、相手の力を盗むことが出来る孝介はかなり厄介だ。
「俺の力を盗んだって言ってたけど、その分俺は弱くなったのか?」
「いいえ、力は力源がある限り力は戻るの」
叶夜によると、力は力源から流れており、それがある限り力が弱ることはないとのこと。
「そうか……」
「でも、力源自体を奪われたらもう力はなくなってしまうけどね」
その事に安堵した龍助だったが、叶夜が追加で口にした。
サラッと恐ろしいことを聞いてしまったので、何がなんでも絶対に警戒を緩めないようにしようと決心した。
◇◆◇
「龍助! 今日空いてるか?」
放課後、いつものように龍助が叶夜達と帰ろうとしていたら、響也と智彦が話しかけてきた。
この後遊びに行かないかの誘いだと察した龍助はどうしたものかと悩んでいる。
二人と遊びたいのは山々だが、孝介に狙われている今、二人と行動するのは危険でもあるからだ。
「ねえ。それって私達も一緒に行っていいかな?」
どうしたものかと悩んでいると、聞きなれた女子の声が話しかけて来る。
声の主がいる方へ向くと、そこにはやはり叶夜が立っており、彼女の後ろには颯斗と穂春もいた。
「おう。もちろん良いよ! な? 響也」
「もちろん歓迎だよ」
響也と智彦の二人は快く受け入れてくれたので、今日は六人で寄り道だ。
向かったのは学校から徒歩約十分のところにある喫茶店だ。
六人いるので、座れないかもと思ったが、その店は大人数で来る客もいるので、それ専用の席がある。
そこが空いていたので、龍助達はそこへ座った。
お代はそれぞれ払うという名目で各々頼みたいものを注文した。
「何気に光金さんと海道くんと穂春さんと一緒するの初めてだな」
「そうだな。いつも四人で帰っちゃうし」
隣に座っていた響也と智彦が興味深そうに叶夜達を見ている。
最近は孝介のことで手一杯で二人のことを忘れていたのだ。
それに関しては心底申し訳ないなと思う龍助達。
「光金さん達は龍助とどういう繋がりで?」
「私達は趣味で繋がっただけよ」
「趣味って?」
響也の質問に叶夜がそういう設定にして答える。
どんな趣味という智彦の質問には内緒ということにしていた。
「でもまあ、こうして話せたのも何かの縁だし、仲良くしよ」
「もちろん! ね? 颯斗」
「あ、ああ。よろしく」
響也と智彦は元から優しくフレンドリーな性格なので、叶夜達とも上手くやって行けそうだと龍助は確信した。




