十話 盗まれた力
学校の異変を起こし、龍助達を異空間へと導いた孝介だが、彼は今、強い力をまとっていた。
「な、まさか暴走か!?」
「いえ、あれは恐らく龍助の力を一部奪って、あまりの力に驚いてるんだと思う」
叶夜の予測によると、龍助の力の一部を孝介に奪われたようだが、あまりにも強大な力に恐れをなしたという。
龍助の先程の胸の気持ち悪さは、孝介が力を盗もうとしていたせいらしい。
「ただ、何をして盗んだかまでは分からないわね」
「そこまで分かったら叶夜を疑ってしまうわ」
叶夜の言葉にツッコミを入れた龍助。
しかし、今は呑気にしていられるが、孝介は龍助の力を少しだけ持ってしまっているため、ある意味パワーアップをしたようなものだ。
どう出てくるかは孝介次第だが、油断しないことに越したことはない。
「ふう、少し驚いたが、これは良い!」
正気に戻って落ち着きを取り戻した孝介が立ち上がり、戦闘態勢に入る。
龍助達も構えたが、次の瞬間に孝介が姿を消し、龍助達の目の前に現れる。
一瞬驚く龍助だが、すぐに持っていた警棒で攻撃した。
しかし、攻撃が当たる直前にまたもや孝介の姿が消えた。
「これでもくらえ!」
姿を消した孝介の声が響き渡るのと同時に、龍助達の全方位から何かが飛んできた。
しかし、いち早くに気づいた叶夜が龍助達の周りに火を出現させ、その攻撃を防ぐ。
攻撃の正体はトランプなどに入っているジョーカーのカードだった。
「じゃあこれはどうだ!」
「無駄よ」
再び孝介の声を合図に、龍助達の真上から何枚ものジョーカーが降ってきたが、これも叶夜の魔法で蹴散らしてしまう。
「なっ!?」
今度は命中すると確信していたのだろう。孝介の驚きの声が響く。
そして、姿を隠していた人物が龍助達の前に現れ、じっと彼らを睨みつけている。
「あなた、詰めが甘いのよ」
「くっ……!」
悔しそうにこちらを見ていた孝介だが、その顔も一瞬で変わってしまう。
なんと龍助がいつの間にか孝介の目の前にまで迫っていたのだ。
慌てた孝介が懐からジョーカーのカードを取り出したが、時すでに遅し。
龍助が繰り出した警棒の攻撃が腕にぶつかってしまう。
「いっ!!」
「ここまで。大人しくしろ」
痛みのあまり、跪いてしまった孝介に龍助が警棒を向けながら脅す。
黙りこくった孝介を見て、降参したのかと思った龍助。
「馬鹿! 早く気絶させろ!」
「え?」
颯斗の大声に気づくのが一歩遅かった龍助に跪いていたら孝介が襲いかかる。
手にはナイフが握られており、無造作に振り回している。
不意をつかれた龍助の胸にナイフの刃先が近づこうとしていた。




