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宿命の力者  作者: セイカ
第一部 二章 七不思議編
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二十四話 穂春の復活

福島病院で直春の昔話を少し聞いた龍助は現在中庭でこれからの話に入るところだった。


「さて、これからのことだけど、やっぱり穂春ちゃんもTPBに連れていくよ」

「やっぱりそうなるよね……」


力者の力に開花した穂春もTBBに狙われている可能性が十分にあるのでTPBで保護をすることは決定している。

正直龍助はあまり穂春を危険なことに巻き込みたくないが、力を使いこなせずに過ごしたら一般人を傷つけかねない。

ここは仕方ないと割り切る龍助。


「修行に関しては龍助と穂春ちゃんは別でしてもらいます」

「えっ?! 何で」

「強い力を同時に使うと何が起こるか分からないからだよ」


修行を一緒にする気満々だった龍助にとって、京の言葉は衝撃的だった。

彼曰く、一度に同じ場所で強すぎる力を使うと何が起こるか分からないからで、特に龍助と穂春の力は特段危険な可能性があると言う。

その理由に何も言えず、落胆しつつ納得した。


「穂春ちゃんの修行は叶夜と千聖が見てくれるよ」

「千聖さん。力の使い方も教えられるんだね」

「あれはもはや人間じゃないかもな」


龍助の言葉に京が付け加えるように言う。

力者のサポートをするだけではなく、育成をすることも出来るのはある意味万能と言っても過言ではない気がする龍助。

今後の方針も決まったことで、後は高原先生に報告する内容を考える京。

京が考えている間、龍助は自分の妹が力者になって一緒に修行が出来る喜びの反面、危険なことには巻き込みたくないという過保護な気持ちもある龍助だった。








◇◆◇








現在朝の八時半、福島病院から一晩別の施設に移動していた一部の医者や看護師、入院患者たちが戻ってきた。

その中で高原先生も穂春のお見舞いをしにやって来ていた。


「穂春ちゃん、本当に体調は大丈夫?」

「はい! おかげさまでだいぶ元気になりました」

「そう……。本当に良かったわ……」


穂春が目を覚ましたことに喜んでいた高原先生がこれでもかと体調を心配していたので、穂春はめいっぱいの笑顔で答えて安心させた。

龍助に続いて穂春まで通り魔に遭って、意識不明になったのだから気が気でないのも無理も無い。


「高原さん、少しお話いいですか?」

「あ、はい! 先生、なんでしょう?」


高原先生を呼んだのは千聖だった。

てっきり京が話をするのかと思ったが、どうやら千聖に丸投げしたんだなと龍助は考える。


「京さんという方は人を使うのがお上手ですね」

「いや、絶対千聖さんが優しいだけだよ」


兄妹でそんな話をいくつかしていると、すぐに高原先生と千聖が戻ってきたが、その後ろから京も入ってきていた。


「穂春ちゃん。大丈夫なの? しばらくリハビリするっていうのは」

「はい。もう決めたことなので」

「そう。まあ、龍助くんがいるから心配は要らなさそうだけど、無理はしないでね?」


高原先生のお願いに穂春は一度頷いて了承する。

それを見た先生もそれ以上何も言わずに立ち上がり、京達の方へと振り返る。


「それでは先生方、よろしくお願いいたします」

「はい。責任をもってお預かり致します」


先生に頭を下げられた京達も二人で一緒に頭を下げた。

その後、高原先生は穂春の荷物を取りに一度施設へと戻って行った。


「君たちの先生、かなり理解があるね」

「当たり前だよ(じゃないですか)!」


京の呟きに二人して突っ込んだ。

流石の京も驚いてしまい、その様子を見てクスクスと笑った千聖。


「それじゃ、院長への報告のために僕はこれで」

「じゃあ俺も行こっと。いた方が話は早いし」


そう言って京と千聖の二人は病室を後にした。

今残っているのは龍助と穂春だけだ。


「穂春、本当に大丈夫か? 力者のこと」

「確かに初めは信じられませんでしたが、これも私なんだなと思いましたよ」


穂春の回答に龍助は感心する。

自分の時は受け入れるのに時間がかかってしまったが、妹の場合はすぐに受け入れていた。

穂春は自分よりは強いのではないかと予想した龍助。

そんな予想外の妹を見くびっていたのではないかと反省した。


「力に関してはまだ分からないことだらけですが、コツコツしていけば、丁度いいかもしれませんね」

「そうだな」


自分ではどうしようもないことだらけだが、コツコツと積み重ねたら何かしら出来ることが増えていくと穂春は言う。

それには龍助も同じ気持ちだった。

妹の成長ぶりに驚きつつ、負けないように自分も成長していこうと考えた龍助だった。

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