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宿命の力者  作者: セイカ
第一部 二章 七不思議編
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二十二話 言い伝え

穂春が入院している福島病院の七不思議の現象を全て解決することに成功した龍助達。

今から彼らは、龍助とその妹である穂春の力のことを京から聞くところだった。


「君たちの力だけど、単刀直入に言うと扱うのが非常に難しい上にかなり危険だ」

「え? そんなに……?」

「ああ。あくまで俺たちの予想だが、君たち兄妹は代弁者の力の一部を持っているのだと思う」


京の言葉に何一つ理解出来ていない龍助達。特に一つのワードが気になっていた。

代弁者。それは確か何かの代わりに伝えたりする存在だと記憶している龍助はそれと力になんの関係があるのかさっぱり分からない。


「そうだね。まず力者の中で伝えられる有名な言い伝えの話をしよう」

「言い伝え?」


龍助の言葉に京は頷きながら話を始める。





◇◆◇





"これより語るは全てを救いへと導く者たちの言い伝え。


石と成り果てた世界に現れる救世の子達の言い伝え"


"楽園の者はお帰りを。ここは楽園でも奈落でもない


ただの石の世界”


"醜い生命がはびこる世界。美しい生命がはびこる世界。


生命たちはいつも争う。生命たちはいつも赤き水を流す"


"その中で光り輝く星と咲き誇る花。今は小さくとも


いつか世界を希望へと導いてくれる”


"数多の縁を結ぶ代弁者の欠片を持つ者を助けよう


星見の君たちと花見の君たちを助けよう”


"奈落に飲まれる前に、楽園を復活させよう"


"楽園を復活させるは真の代弁者。


空想より生まれし救世主"


"偉大なる父と母の末に祝福あれ。


偉大なる父と母の末に救いあれ"







◇◆◇






「以上が、力者達の間で言い伝えられているものだ」

「救世の子達……」


京から聞かされた言い伝えは太古の昔から存在していると言い伝えられている。

意味はもちろん分からないが、どことなく聞いたことがあるような懐かしさも感じられた。


(いや、聞いたことがあるぞ!)


懐かしく感じたのは、龍助達は昔からこの言い伝えを聞いていたからだ。

昔、小さい頃から祖母や母親から聞かされた昔話がそれだった。

まさか力者達の間で言い伝えられているものだったとは思わなかった龍助はある疑問を浮かべる。


「えっ? なんで母さん達はこの言い伝えを知っていたんだ?」

「そりゃ多分、君の家族が力者の家系だったからだろ」


京の言っていることが本当なら、祖母や母親がこれを知っていることに腑に落ちる。

まさかの事実に龍助だけでなく穂春も戸惑っていた。疑問に残るものもたくさんある。


「ただ、君たちが重要な力を持っているのは事実だ。だから、それを使いこなせるようにならなければならない」


おそらく、今までよりもさらに努力しなければいけないことは確かだと思う龍助。

京達の目的も気になるところだが、確かに使いこなすことで役に立つのもまた事実。


「ちなみに、龍助の能力は『星の力』、穂春ちゃんは『花の力』だと思われる」


二人それぞれの能力を教えてもらえたが、実際にどんな能力なのかはよく分からない。それは京達も一緒だった。

ただ、龍助の場合、力者になってから暴走になるまでの期間があまりにも短かったこと。

穂春の場合、目覚めてすぐに使うことが出来た彼岸花のこと。そのどちらもが、底知れぬ力を持った者にしか起こりえないことなのだ。


「これから君たちを狙う輩が多くなるかもしれない。それでも頑張れる?」


その言葉はかなり重いものだったが、彼らの答えは決まっていた。


「俺はちゃんと使えるようになりたい。だからやるよ」

「私も、まだ分からないことだらけですが、出来ることはしたいです」


龍助達の回答に京は満足気に笑いながら、彼らの背後を見た。


「じゃあ、俺たちはサポートを頑張らないとね」

「私も頑張るわ!」


龍助達の背後でずっと見守っていた叶夜が強い意気込みを語った。

颯斗は特に何も言わなかったが、拒否しない所をみると賛成していることがうかがえた。

この事件で話したおかげか、少しだけ彼のことが分かった気がした龍助だった。


(また、違う目的だけど、出来ることがあるのは良いな)


内心そんなことを思いながら穂春を見つめた。

彼女も同じ気持ちだったのか、龍助を見て笑顔で頷いたのだった。

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