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宿命の力者  作者: セイカ
第一部 二章 七不思議編
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十七話 解決への道のり

七不思議の六つ目と対峙している龍助達は今かなりの苦戦を強いられている。

霊体の上に魔眼を使えるようになっている片目女を突破するのはかなりの困難だった。


「これはかなり大変だぞ。龍助達は逃げるんだ!」

「わ、分かった!」


京に指示された龍助達は急いで手術室から脱出しようとしたが、龍助はあることに気がつく。

片目女の胸から赤い糸のようなものが伸びており、それは手術室の外へと繋がっていた。


(なんだ? あの線は)


不思議に思いつつ、急いで手術室から脱出した。

手術室を脱出した龍助達三人は中に逃がしてくれた京達を心配していたが、自分たちに出来ることはないことも分かっているので、途方に暮れていた。


「なあ、この赤い線はなんなんだ?」

「赤い線? なんのこと?」


実は先程龍助が見た線はずっと遠くまで繋がっているが、叶夜達には見えていないようだ。

もしかしなくてもこの線が見えているのは龍助だけのようだ。


「もしかすると、龍助の魔眼、縁を見ることが出来るんじゃないの?」

「縁?」


叶夜曰く、龍助が見えているのは片目女とあるものが縁で結ばれているものだという。

魔眼の中でも特別な力を持っているものがあり、その者達の縁などを見ることもできるらしい。


「彼女から伸びてるんだよ」

「もしかすると、解決のヒントになるかも!」


龍助の言葉に叶夜が閃いたように言い出した。

そして、龍助が見えている線を辿って先にあるものを見つけ出すことになった。

線を辿っていく龍助達だが、それは右や左に曲がったり階段を降りたりしていく。


「結構伸びてるな……」

「絶対なにかあるわ」


叶夜が確信しているかのように自信を持って言うが、これでもし何も無ければ本当に詰んだも同然だ。

せめてヒントになるものがあることを心から祈る龍助だった。




◇◆◇





片目女から伸びていた線はある部屋の中に入っていた。

それは、資料室と書かれていた。


「ここね?」

「ああ、この部屋に伸びてるよ」


伸びていた線の先には一体何があるのか心配になっていくが、とりあえず、入ることにした。

ドアである引き戸からは耳を塞ぎたくなるような鈍い金属音が響いてくる。

引き戸を開けるとそこにはたくさんの本棚に資料が並べられている。

ジャンルごとに分けられているのでどこがどういう資料を置いてあるのか分かりやすかった。


「あれ? あそこに何かある」


本棚が立ち並ぶ中、場違いなものが隠すように置いてあった。

それは人が一人は入れそうな細長い長方形の箱だった。

本棚などに気を取られていたが、赤い線はこの箱へと繋がっている。


「この中に何かが入ってるみたい」

「……開けてみましょ」


開けるのは龍助だが、片方の手にはもしもの時用に警棒を準備していた。

箱をゆっくりと入っていたものを見て龍助達は驚愕する。

その中に入っていたのは片目女と同じ顔と姿をした女性の体だった。


「こんなところに隠されていたのか……」


龍助が箱を閉めようとした時に僅かに彼女から息をしているのを感じ取った。


「ッ! ちょっと待って! この人まだ生きてる!」

「えっ?! 嘘、生きたままここに入れられてたの?」


叶夜のツッコミも最もだが、それよりも龍助には気になることがあった。


「え、じゃああの霊体の彼女は一体……?」


頭の中で情報が散らかっている龍助は助けを求めるように叶夜達に視線を向けた。

叶夜達は少し考え込んだ後に思い出したかのように手を打った。


「確か片目女は自分の体も探していたはずよ!」

「なら、早く運ぶぞ」


真相は分からないが、確信を持つことが出来た龍助達は彼女の体をおぶった。

おぶった体は氷のように冷たく、とても軽く感じる。それだけでも彼女がしばらくこの箱の中で放置されていたのがうかがえる。


「とりあえず、急いで戻って、京さんたちに相談しよう」


一刻を争う事態なので、急いで資料室を飛び出した龍助達。

息はあるものの、体温も下がってきているのがとても心配になってくる。

このままでは本当に死んでしまうのではないかと。




◇◆◇




ようやく手術室に到着した龍助達はドアを開いた。


「京さん!」

「な、お前たちなんで戻ってきた?!」

「彼女の体を見つけました!」


戻ってきた龍助達に驚いた京だが、龍助がおぶっている人物を見て目を輝かせた。


「よく見つけたね! 龍助、頑張って隙を作らせるからその時に肉体を彼女に近づけるんだ!」


京に頼まれた龍助は彼らが片目女に隙を作らせると言っていたので、それを見極めることに徹した。

一瞬の瞬きもせずに龍助は見つめる。片目女に隙が出来上がることを望んで。

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