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宿命の力者  作者: セイカ
第一部 二章 七不思議編
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十一話 指名手配犯

七不思議の一つ、「動き回る霊安室の死体」の解決のために霊安室へとやってきた龍助と叶夜と直春。

しかし、霊安室へと続く廊下の時点でたくさんの死体達に襲われ、窮地に陥っていた。


「どうやって姿を隠してたんだよ!」

「それより、早く振り払って!」


直春の指示に従い、龍助が掴まれてる足を振り払うとあっさり離されたのですぐに後退した。

死体達はまだ龍助達を襲って来る様子だ。


「まさか、死体に『亡霊(ゴーストボディ)』を付与するやつがいるなんてね」

亡霊(ゴーストボディ)?」

「対象を霊体化させる魔法よ」


龍助の疑問に叶夜が答えてくれる。

隠れていられたのは、亡霊(ゴーストボディ)という魔法で一時的に霊体化させられたからだと言う。


「そんな事ができるの?」

「そこそこの力を持った力者がいるようだね」


死体達を動かすだけでなく同時に霊体化させるのはそれなりの力がないと出来ないと直春は言う。

おそらく霊安室室には敵の幹部がいる可能性があるので、十分に注意と警戒が必要となってくる。


「その前にまずはこの死体達を一箇所に閉じ込めとかないと」

「どうやって?」

「僕に任せて」


そう言って直春は龍助達の前に立ち、両手でいくつかの形に組み合わせた後に手を合わせる。その瞬間、死体達が立っている床に大きな影が現れ広がっていく。

龍助達が立っている床以外の全体が影で覆われると一気に膨れ上がり、死体達を飲み込んでいった。


「な、なにこれ?!」


龍助の驚愕の声が響き渡った。

海水の波が引くように膨れた影が消えると、そこに死体達は全員いなくなっていた。


「こ、こんな一瞬で……」

「修行すればこれくらい使えるようになるよ」


とても不気味な魔法を使った直春が笑顔で言った。

そんな直春が少し怖く思うが、同時に京より頼りになるのではないかとも思った。

そう思わせるほど先程の魔法の使用時に京に負けないくらいの力を感じ取れた龍助だった。




◇◆◇




「そういえば、霊安室にはもう一つ現象があったよね?」

「ああ、長くなる霊安室へと続く廊下、だね」

「これも同一人物の可能性が高い」


七不思議の一つである霊安室への廊下は一見なんの変哲もないものに見えたが、もし廊下が伸びているなら死体達を操っている力者の仕業だと断言した直春。


「何で、分かるんですか?」

「魔法を使っている力が同じなんだよ。実質廊下にも魔法がかけられてるからね」


そこまで分かるのかと疑いたくなる龍助だが、彼も僅かに感じる力からして一つしかないと思った。

死体達を退けたので、霊安室の扉へと向かおうとする。

なかなか辿り着けないのではと予想したがあっさりと扉の前にまで到着した。


「今の時点では何もなし、か」

「ここからはどうします?」

「もちろん入るよ」


直春はそう言いながら扉をゆっくりと扉を開けた。

比較的静かな音で開いていく扉の先にあったのはズラリと決められた位置に並べられて置かれている(ひつぎ)

しかし、その棺のどれもが開けられているので、死体達が入っていたものだと容易に予測出来た。


「かなり気温低いね」

「霊安室だからね」


霊安室は死体を保存するために気温は低めに設定されているようだ。

普通の人なら寒くて仕方がないが、今ここにいる三人に寒さは関係ない。

龍助に関してはおなじみの能力であまり寒さを感じておらず、直春は軍人としての任務で慣れているようだ。

叶夜に関しては魔法で自身の周りの気温を上げているので問題がなかった。


「で、どうします?」

「この奥にも部屋が一つあるからそこへ行こう。あからさまに力を感じるからね」


直春が地下の奥にある霊安室のさらに最奥部に位置するところに一つの部屋がある。そこから確かに強い力を感じ取れた。


「ん? 入るまでもなさそうだね。出てこい」

「よく分かりましたね」


直春の声に答えながら出てきたのは一人の男だった。

肩まで伸びた髪を一つにまとめてくくっており、黒いコートを身につけている。

ある意味コートは暗闇に溶け込むためのものでもあるようにも思える。


「お前、指名手配者の吉田達也だな?」

「はい、その通りです」


直春に名を問われた男はかなり余裕の態度を取っていた。

丁寧な口調ではあるが、力を隠さずに発しているあたり、完全に敵対心を持っていることが龍助でも分かった。


「生きている人間の次は死体か?」

「そんな感じですな。まあ、あなたたちに教える気はありませんが」

「死んでもいらないよ。とりあえず、お前はここで捕らえる」


少しの会話でも、お互いに敵意をあらわにし、溢れている力がぶつかり合っている場面を見ていた龍助は密かに息を飲んだのだった。

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