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宿命の力者  作者: セイカ
第一部 一章 開花編
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二十三話 任務内容の変更

 TBBが出入りしているという廃村にやってきて、まだ一時間も経っていないのに、すぐに任務内容が変わってしまった。

 初めはTBBが行っていることを探るだけだったが、これを阻止する方向へと変わったのだ。

 京が言うには、今魔法で出した心鏡に映っている多数の人々が危険な状態らしい。


「彼らはほぼ洗脳されかけてる」

「洗脳?!」


 物騒な言葉が出てきて驚いた龍助だが、力者の世界ではこういう非人道的な行いは多々あるらしい。

 その事実だけでも龍助は吐き気がした。


「前から思ってたんだけど、あれは魔法陣?」

「あれは『発動式』というものだよ。魔法や術を使う際に用いられる方式さ。あれは呪いに類するものだね」


 気分を変えるために話題を変えた龍助に京が簡潔に説明してくれた。

 要は結局魔法陣と同じものだと考えればいい。

 そして呪いという言葉に龍助は怖気づいてしまうが、今はそんな場合ではないと自分を鼓舞こぶした。


「彼らはおそらく、魔法による呪いで動けない上に洗脳されていってるってことだよね……」


 夜が少し怖がりながら京に聞くと、彼はなんの迷いもなく頷いた。


「この様子だと、何かの儀式に見立てているのかもしれない」

「そうだね。彼らは無理やり力をつけられそうになってるね」


 ずっと龍助達のやりとりを横目で見つつ、心鏡の中に映る映像を凝視していた颯斗の言葉の次に京が予想を口にした。

 京の予測では、白装束の彼らはただの一般人らしい。

 何かしらの方法で集められ、儀式を執り行わせて強引に力を身につけさせて力者にしようとしているのだと言う。


「急いだ方が良い。早速作戦を立てるよ」


 京の言葉に三人とも納得して、作戦を立てることにした。

 その前に、龍助は京達とお互いに連絡先を交換し、何かあればすぐに通達できるようにした。


「案外現実的なんだな……」


 TPBの本部でもそうだったが、連絡手段は念話などといったアニメ、漫画や小説でよく見る超能力ではなく、普通のスマホなんだなと龍助は落胆する。


「連絡するだけで毎度、毎度力を使うのも負担になるし、何より、なるべく俺たちみたいなのは少しでも一般社会に寄り添わないと」


 力者であることが悪いわけではないが、それだけでも一般社会から隔離されてしまう。

 下手をすれば人間扱いされない程だ。

 だからこそ、少しでも現実に寄り添いながら自分自身を生きるのだという。

 それを聞いた龍助は病院での一件を思い出して納得した。

 連絡先を交換し、改めて京が三人に心がけるべきことを伝える。


「いいかい? 絶対に俺からは離れないようにすること。仮に離れたら、すぐに連絡をして、隠れられる場所があれば隠れること」


 京がこれでもかというくらいに念を押してきた。

 特に龍助を睨むように見つめてきたのに対し、彼はそれから逃れるかのように目を逸らした。


「もう分かっているようだから、今後の行動を伝えるよ」


 これ以上言うのは野暮だと思ったのか、次の段階へ進むことにした京。


「作戦は単純そのもの。四人で施設に入って、さっきの部屋に突撃。そこで敵を捕まえて発動式を破る。だが、この発動式の打破は龍助に任せるよ」

「え? なんで?!」

「そりゃ、お前の魔眼の方が適任だからだよ」


 説明を一通り聞いた龍助は慌てた様子で問いただしたが、バッサリと両断するような答えを出されてしまう。

 万物の弱点を見れる彼の魔眼の方が発動式の解除に大いに役立つかららしい。


「分かりましたよ……」


 発動式を解除することはつまり、儀式をしている人達を救うのと同じことでもある。

 責任重大な任務と、失敗した時の不安に対して、龍助は緊張で手が震えた。

 そんな龍助の背中を一発叩く者がいた。


「大丈夫だよ。自分の力を少しでも信じてみないと!」


 緊張している龍助の不安を照らすようにいつもの明るい笑顔と活のある言葉が叶夜から飛んで来た。

 背中を叩かれ、力強い言葉をかけられたからか、龍助の中にあった暗い気持ちは少し明るくなる。


「ありがとう。出来る限り信じてみるよ」


 叶夜の言葉のおかげで、自身の力との関わり方を考えるようにした龍助。


(俺なりの力の使い方がもしかしたら見つかるかもな)


 龍助は両手を握ったり開いたりを繰り返しながら心の中で決心し、その手で頬を叩いた。

 任務遂行できるように気合いを入れ直したのだ。

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