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宿命の力者  作者: セイカ
第一部 七章 日月競技対抗戦編
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第七話 部活の決定

 波乱はらんの一日を過ごした翌日、龍助は教室で部活のことで考え込んでいた。


 昨日部活の見学をしてみて、何とか二つに絞り込むことは出来ていたが、その残り二つの所で悩んでいる。


「龍助。おはよう」

「お、おはよ」

「だいぶ悩んでいるみたいだね」


 龍助が一人悩んでいると、響也と智彦が挨拶をしてきてくれた。

 一瞬驚いたが、龍助もすぐに挨拶を返す。

 昨日の今日というのもあり、二人とも龍助の心配をしている様子だ。


「まあ二つに絞り込むことは出来たけどな……」

「どの部活?」


 龍助が考えた結果、二つの部活にまで辿り着く。

 智彦が乗り気で聞いてきて、龍助は隠す理由がなかったので即座にその二つの部活を口にする。


「剣道部か空手部の二つ」

「なるほどな。確かに龍助にはもってこいだな」


 伝えられた部活を聞いて、響也も智彦も納得している様子。

 二人とも龍助が運動神経が良く、その中でも武道を得意としていることは知っている。


「まあ龍助なら空手っぽいよな」

「確かにな。一年の時も学校に侵入した殺人犯を倒してたしな」


 響也達の話で龍助も去年のことを思い出す。

 実は去年の今頃、殺人犯がこの月桜高校に侵入したことがあったのだ。

 龍助達のクラスも避難している中、最悪なことにうろついていた犯人と出くわしてしまう事態に陥っていた。


 しかし犯人が一人の生徒を殺そうと襲いかかるも、龍助が間に入り、返り討ちにして押さえつけた。

 その後は教師たちの加勢もあって殺人犯を拘束することに成功したのだ。


 龍助はその件から学校内でもそこそこ有名人になったことがあった。


「龍助ならそう簡単には負けないんじゃないか?」

「そうかな? 俺より強いやつは多いと思うぞ」

「まあ、出てみるだけでも良いと思う」


 悩んでいた龍助だが、響也達の言葉で決心がついた。


「じゃあ空手部にするか」

「決まったようで何よりだな」

「ありがとな。二人とも」


 悩んだ末、響也達の言葉で背中を押されて今回は空手部として大会に出ることを決めた。



 ◇◆◇



 最後まで考え抜いた結果、今回は空手部の一人として大会に参加することにした龍助。


 本日の授業全てを終わらせて、部活の時間になり、まずは誘ってくれた部活に断わりを入れておく。

 大変な思いはさせられたが、せっかく誘ってくれたことに変わりはないため、そういう意味でもきちんと断っておくのも礼儀だ。


「龍助ー。今から部活に行くの?」

「ああ。先に他の部活を断ってくるところ」


 龍助が部活に向かう途中、叶夜と舞日が話しかけてきた。

 二人にももう参加する部活を報告している。


「今から全部一人で断るのは大変じゃない?」

「まあ、すぐに終わるだろ」

「私たちも手分けして断って来てあげるわ」

「それは有難いけど、こういうのは自分でやった方が……」

「なんでも一人でしようとしたら心身共に持たないよ。遠慮せずに、私たちに頼りなさい」

「……ありがとう」


 龍助一人で全ての部活を断るのはしんどいだろうと叶夜と舞日が手伝うと言ってくれた。

 最初は断ろうとしたが、二人の圧に負けてお願いすることにした。


「じゃあお願いするよ」

「あとで響也くん達にも声掛けて手伝ってもらいましょ」

「まだ二人とも教室に残ってたからね」


 龍助がお願いすると、二人とも笑顔で快く承諾してくれた。


 そして叶夜が、まだ教室にいる響也と智彦にも手伝ってもらおうと提案してきた。

 さすがに悪いなとは思うが、二人なら手伝ってくれるだろうと思ったので、この後お願いすることにした。


 少しでも手伝ってくれるという有難みを龍助はこの時再確認したのだった。

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