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宿命の力者  作者: セイカ
第一部 七章 日月競技対抗戦編
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第五話 部活の勧誘

 前回何者かによって龍助の動画が拡散されていた。その影響で、多数の部活から近い日にある日月競技対抗戦の代表の勧誘を受けていた。


 しかし叶夜と舞日のおかげで騒ぎは収まったかと思えば、またその二人のおかげで龍助は運動が大得意という話になり、騒ぎは再発。


 結局、龍助がそれぞれの部活へ見学に行くということで話はまとまった。

 当の本人は乗り気ではなかったが。


「まず最初はサッカー部ね」

「サッカーは足しか使えないからなかなか難しそうだな」

「龍助が蹴るとゴールのネットが破れそうね」

「それ以前にボールを破裂してそうね」


 今現在向かっているのはサッカー部と野球部、そして陸上部が練習しているグラウンドだ。


 向かう道中の会話は、いかにも高校生、否、それ以前に普通の人間とは思えないものだ。

 部活へ向かったり、準備をしている他の生徒達の声や音で周りにはあまり聞こえていないので問題はなかった。


「サッカー部は、あそこだね」

「行ってみるか」


 サッカー部はグラウンドの端にあるゴール付近でパスを出し合ったり、リフティング、ゴールにシュートを決めるなどで練習している。


 その中でも、たくさんの選手に囲まれて色々と指示をしたり、アドバイスをしている男子がいる。

 他の生徒達と同じ練習着を着ているのでおそらくキャプテンだと思われる。


「お! 天地くん!まずはサッカー部に来てくれたんだね」

「他の部活にも行かないとなので少しだけお邪魔しますね」

「まあそうだね。見れる範囲で見て行ってくれ」

「ありがとうございます」


 歓迎してくれたキャプテンにお礼を言いながら、近くの木陰にあるベンチに座りながら見学を開始した。


 サッカー部は基本的には筋トレやシュートのイメージがあったが、それだけでなく、反復横跳びなど瞬発力を上げるトレーニングもしている。

 さらに、一部の生徒と顧問の先生がチームの編成や個人の練習はなにが良いのかなどの話し合いもしていた。


(やっぱりサッカーも体全体を使ったり話し合わないと出来ないんだな……)


 サッカー部の様子を一通り見て、そんな印象を抱いた龍助。


 見学を初めてから二十分程が経ち、そろそろ次の部活へと向かうことにした。


「それじゃあ、ありがとうございました」

「おう。また機会があったらいつでも来てくれ」


 龍助達はベンチから立ち上がり、キャプテンに立ち去ることを告げ、次の部活へと向かっていった。



 ◇◆◇



 次見学に行くのは野球部だ。

 野球部はサッカー部から見て真反対の隅で練習している。

 今は全員で素振りをしているようだ。バットをブンブンと綺麗なフォームで振っている。


「来たな! 野球部の魅力をとくと見ていくがいい!」

「は、はい。ありがとうございます」


 素振りをしていた生徒達の中にいた一人が龍助に気づき、即座にバットを置くと腕組みをしながら歓迎してきた。

 おそらくキャプテンで、余裕っぷりを見せたかったのだろうが、素振りで疲れている様子を隠しきれていない。

 なぜなら息を切らしているのが嫌でも分かったからだ。


「今丁度、素振り六百回していたところだ」

「ろ、六百?!」

「なんでも基礎が大事だからな!」


 野球部のキャプテンが言っていることはまさにその通りだが、いくらなんでも限度があると龍助は思う。

 しかし野球部ではない以上、下手に言わない方が良いだろうとも思って黙る。


「先輩……。少し、休憩したいです……」

「もちろんだ! 出来るようになったら戻ってくれ」

「ありがとうございます……」


 龍助達の間に入ってきたのは一人の疲れ果てた野球部員だった。

 素振りをするのが疲れたのか、息を激しく切らしている。部長の比にならないくらい。

 少し心配だったが、キャプテンは当たり前のように部員を休ませた。


(ちゃんと休ませるんだ)


 それが当たり前だが、心配していた龍助はそれが杞憂きゆうだと知って少し安心した。


「こういう休憩も練習の内なんですね」

「そうだ! 数などはハードルが高いが、その分休憩もある。基礎の基礎だ」


 キャプテンを見て、こういうお互いが気遣いをしながら無理のないように練習していくのもまたスポーツの大事なことなんだなと感じる龍助だった。

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