プロローグ
七月二十九日。暑さが増してくる夏の日。
東京都中央区の中にある東京ドーム三つ程の大きさの施設では、あるイベントの準備のため、賑わっていた。
「おーい! こっちの準備も手伝ってくれ」
「了解! こちらの準備は終わりましたからすぐに行きます!」
「これはどこでした?」
「それはあそこに置くんだ」
この施設の名は「競いの館」。
様々な種目のイベント会場としてよく利用されている所だ。
全てのスポーツの大会だけではなく、文化系のイベントなどにも使われている。
まさに真のイベントの楽園と言える場所だ。
今この会場では三日後に行われるイベントの準備をしており、皆忙しくしている。
毎年この時期恒例の高校生特大イベント「日月競技対抗戦」に向けて。
◇◆◇
学校での事件から数日が経った夏の日、暑さが猛威を振るうこの時期、龍助はへとへとになりながら学校へと向かっていた。
(いくらなんでも暑すぎるだろ……)
今の時代、昔よりも地球温暖化が進んで気温が狂っている。
どうしようもない暑さに龍助含む人類はいつも暑いと唸る日々だ。
(魔法や能力でどうにかできねえのかな?)
このとんでもない暑さに力者達はどう対応しているのかが分からない。
だから龍助は、地球温暖化を食い止められる力を持つ力者が現れることを祈るばかりだった。
「龍助! おはよう!」
「龍助くん、おはよう!」
「お、おお二人とも、おはよう……」
龍助が心中祈りのポーズで祈っていると、突然背後から二人の少女達の声が話しかけできた。
唐突だったので、ビクッと肩が上がる。
後ろへ振り向くと、そこにはいつもの明るい光のような笑顔を浮かべている叶夜と雪のように美しい銀髪を持ち、笑顔だが落ち着いている舞日がいた。
実は二人とも、龍助に好意を抱いているのが先日判明した。
龍助としては嬉しい話だが、その反面大分気まずくなって困っている。
「龍助? どうしたの?」
「い、いや何でも!」
「そんなに意識せずにいつも通りに接してくれたら嬉しいな」
「そうね。その方が私も嬉しいわ」
叶夜と舞日から前と同じように接してほしいと頼まれ、一瞬反応に困ったが、あまり動揺しては二人に悪いとも考えた。
「そうだよな……。悪かった」
「良いのよ」
「ええ。私たちも多少いつも通りにするからさ」
特に告白したからと言って何かをする訳では無いから安心して欲しいと二人から言われる。
アピールはするらしいが。
別に龍助はそこを心配している訳ではなかったが、二人の気持ちを紳士に受け止めようと思った。
「それより! あともう少しで始まるわね!」
「始まるって何が?」
「忘れたの? 日月競技対抗戦よ」
舞日に言われ、龍助は思い出す。
日月競技対抗戦。それは自分たちが通う月桜高校含む全六校が集まり、対戦する特大イベントだ。
六校の名前にはそれぞれ「月」と「日」の文字が入っているので、日月競技対抗戦と呼ばれている。
それぞれの高校の全部活の大会が一箇所で行われるという規模のでかいイベント。
そして更に全校の部活の代表だけでなく、全生徒が応援に来ることになっているため、とても大掛かりだ。
「まあ俺たちは応援だけだから関係ないだろうな」
「まあそうかもね」
「それでも応援は頑張らないとね」
三人は日月競技対抗戦の話で盛り上がりながら学校へと向かって行くのだった。




