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宿命の力者  作者: セイカ
第一部 六章 学校編
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第三十二話 突然の威嚇と噂

 前回舞日の処置について、ある青年と口論になってしまったが、突然現れた千聖によって丸く収めることが出来た。


「それじゃあ。お前たちが責任持って償わせろよ」


 青年は皮肉っぽくそれだけ言って他の組織員を連れて作業に戻って行った。

 彼は今春永の代わりにTPBを取り仕切っている弟だという。

 初対面にも関わらず、龍助達を威圧してきていたのもあって龍助自身は苦手意識を持っていた。


「大丈夫ですか?」

「だ、大丈夫です。ありがとうございました」

「あの人は気難しい方なんですよ」


 千聖に心配された龍助は我に返り、すぐに答える。

 彼に助けられたのはこれで何回目か分からない。

 いつもいつもピンチになると助けに来てくれる所を見ると、まるで救世主のようだ。


「でもあの人の言うことも一理はありますから、これから舞日さんは頑張らねばなりませんよ?」

「はい。それは承知の上です」


 千聖に問われた舞日は覚悟が決まったように彼を見据える。

 おそらく彼女自身、龍助達の仲間になると言ってきたあの時から覚悟は決まっていたようだ。

 そんな舞日の回答に龍助は少し安堵した。


「天地くん。さっきはありがとう」

「え、あ、ああ。どういたしまして」


 舞日が突然千聖から龍助へと振り返ってお礼を言ってきたので、言われた本人も驚きつつ応答する。


 よくよく見ると舞日の瞳が青く一瞬外国人かと間違えそうになる。その点では叶夜と近しいものを感じた。

 叶夜も大変美人だが、舞日も負けないくらい美しい。

 二人がモデルコンテストなどに参加したら絶対に一二を争うくらいにはなるだろう。


 龍助が舞日に見惚みとれていると、背後から恐ろしいくらいの殺気を感じ取った。


 ゆっくり後ろを振り返ると、叶夜が鬼の形相ぎょうそうで龍助を睨んでいる。

 しかも力が溢れ出ていて、もはや威嚇いかくをしているようだった。

 なんなら言ってしまえば、叶夜が睨んでいるのは龍助ではなく舞日の方だった。


(えっ? なんでそんな怖い顔を?!)


 しかし理由が分からない龍助は自分に向けられていると思い込んでしまい、恐ろしく感じたのですぐに切り替えられるような話題を探した。


「そ、そういえば! 薬とかは回収できたのかな?」

「……まあもうすぐで全部回収出来るんじゃない?」


 唐突な話題転換に叶夜はいぶかしげな表情をするが、渋々その話に乗ることにした。

 周りを見てみると、組織員が大きな箱や資料、ファイルなどを持ち運んでいるところだった。


「さて、僕もそろそろ行きますね。ここには用事のついでに寄っただけなので」

「あ、はい! 今回も本当にありがとうございました!」

「僕は何もしていませんよ」


 謙遜けんそんする千聖を見て、龍助は彼が大分大人だと思える。

 若い見た目に反して、かなり達観している上に海よりも広い宇宙レベルの心の広さも持っているように感じた。


 千聖は言葉通り、すぐにその場を後にして空間から出ていった。


 ちなみに空間は京が力を注いで維持させているが、最後は消さないといけないらしい。

 空間を消すのはあの青年の役割になるとのこと。


「どんな魔法を使うんだろうな? あの人は」

「噂では魔法というより能力を使うらしいわ」

「能力か……」


 叶夜は前々から噂は聞いていたらしいが、詳しくは知らないそうだ。それは颯斗も同じだった。


 一度ぶつかり、苦手意識を持った相手だが、彼の能力がどんなものなのか純粋に興味を持つ龍助だった。

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